こんにちは、三原です。
この記事をお読みの方は、バスケの指導者で、
そう悩んでいることでしょう。
そんなあなたに断言します。学ぶべきはフレックスオフェンスです。
なぜならば
パスとスクリーンを連続させたフレックスを学ぶことで、きっとあなたのチームにも使えるアイデアが見つかることでしょう。
わたしはバスケの大学YouTubeで、数多くの戦術について解説してきました。
その中で、もっとも視聴された動画がこちらです。
これをブログ記事にてまとめました。
図がたくさんあるので、短時間で、効果的に振り返れるのがブログの良さですね。
ぜひあなたのチームにお役立てください。
フレックスとは何か
まず、フレックスオフェンスのメリットをお伝えします。
- ポジションに関係ないオフェンスである
- 連続したパスとスクリーンのオフェンスである
という2つが、フレックスのメリットです。
ポジションに関係ないオフェンスである
バスケットボールにはポジションがあり、ポジションごとに役割があります。
もちろんこれらは、適材適所の選手がいるに、越したことはありません。
ちなみにポジションについては、以下の記事を見てください。
ただし、中学生や高校生でチームを作ると、ポジションに人が足りない問題が必ずや起きてきます。特に
というのは、どのチームでも抱える問題じゃないでしょうか?
そんなときに、使えるのがフレックスです。
フレックスは、ポジションに関係なく、全員が動き回るオフェンスです。
これは、小さいセンターでも、活躍できることを意味します。
背が低くて迷ったら、フレックスをやりましょう。
連続したパスとスクリーンのオフェンス
パスとスクリーンが連続するところも、フレックスの魅力です。
最近は、ドリブル主体のバスケットが流行っていますが、それは特定の個人をうまくすることには向いていますが、チーム全員をうまくするのには適していません。
一方フレックスは、全員が均等にパスを回して、全員にシュートチャンスがあります。
選手の育成、上達という点でも、フレックスは優れています。
フレックスの動きの解説
では、具体的なプレイの動きを解説します。
まずはこのツイートをご覧ください。
フレックスオフェンスって昔からあるけど、今でもすごくよく使われてます。ホーンセットからフレックスが今の流行り。やっぱりいいものはいい。 pic.twitter.com/OoIqaF5GWX
— 三原まなぶ🏀バスケの大学 (@coach_manabu) October 11, 2020
このツイートの動画に、基本的なプレイがつまっています。
まず、フレックスは2ガードのセットです。
そして、カギとなる動きは3つあります。
- 横パスに横スクリーン
- すぐにダウンスクリーン
- ボールを展開
この3つです。
(1)横パスに横スクリーン
まず1から2にパスをします。
コートを横切るようなパスです。
これに合わせて、4がコートを横切る動きをします。
- 1から2に横パス
- 5がバックスクリーン
- 4が横切るカット
ということです。
これに対して、スクリーンがかかってノーマークになれば、パスを通して2点です。
ゴール下のノーマーク。ズドン!
最高ですね。
(2)すぐにダウンスクリーン
で、すぐにダウンスクリーンします。
- さっきまでスクリーンしていた5
- その5に1が
- ダウンスクリーン
ということです。
これでハイポストにもノーマークのチャンスが生まれます。
(3)ボールを展開
ここまでやったら、フレックスの動きは1セット終了です。
1はバランスを取り直します。
そして、今度は逆サイドで
- 4が3にスクリーン
- すぐに2がダウンスクリーン
- 4がハイポストに上がる
という動きをくり返します。
これがフレックスです。
実にシンプル。かんたんでしょ?
でもこれがもう50年以上も世界中のバスケシーンで使われているんです。
本当に有効なプレイなんです。
2メンと3メンをくり返す
子どもたちに教えるときは
- 2メンサイド
- 3メンサイド
という言葉をわたしは使うようにしています。
そのほうが、わかりやすく伝わるからです。
この図を見てください。
- コートを縦半分に区切る
- 2人いる方が、2メンサイド
- 3人いる方が、3メンサイド
という考え方をします。
下の図だと、黄色く塗られてるのが3メンサイドです。
ここから、パスを展開して、フレックスアクションをしました。
すると今度は、逆サイドが3メンサイドに変わっている。
これ、わかりますかね。
つまりフレックスオフェンスは
と伝えてあげることで、すごくイメージがしやすくなります。
ぜひこの視点、覚えておいてください。
なぜフレックスを使うと強くなるのか
ではなぜ、フレックスを使うとチームは強くなるのでしょうか。
時代を超えて、フレックスは使われているのでしょうか。
主な理由は次の2つ。
- 大きなセンターがいなくても可能
- 守りにくいスクリーンの連続である
ということです。
(1)大きなセンターがいなくても可能
バスケはシュートを入れる競技です。
シュートは入りやすいところから打つべきで、当たり前すぎる話ですが、一番入りやすいのはゴール下です。
ゴール下でシュートしたいから、みんな背の高い選手がほしいんです。
でもフレックスであれば、背が低くても、スクリーンプレイでゴール下のチャンスを作ることができます。
このツイートのように、しつこく動いて、チャンスを作ればいいのです。
フレックスオフェンス本来の目的は、
・ボールキープ
・スクリーンぶつける
・2点シュートを打つ
なので、あえてこのくらいせまいスペースでやるのも、ひとつのやり方です。
pic.twitter.com/gcqhP1doBS— 三原まなぶ🏀バスケの大学 (@coach_manabu) January 22, 2022
わたしは、自分のチームに、このように教えています。
個人ではなく、組織で点を取ればいいんです。
そしてその組織プレイの基礎が、フレックスというわけです。
個人で点を取れなければ、点を取れるプレイを作ればいい。私たちはスクリーンプレイを大事にしています。1対0を作るのが正しいバスケット🏀 pic.twitter.com/T47qEgP7fO
— 安田学園高校バスケットボール部 (@yasudabasket) December 30, 2021
(2)守りにくいスクリーンの連続である
フレックスはスクリーンの回数も多いですが、その1つ1つがそもそも守りにくい動きになっています。
- バックスクリーン
- スクリーン・スクリーナー
です。
バックスクリーン
ボールを守っている1にはX1がマークしています。
ディフェンスはボールを持っている人には、一生懸命つくものです。
しかし、パスを出された瞬間、どうしても気を抜きます。
そのとき、見えない背後からスクリーンする。
これが一番ぶつかるんです。
フレックスでは、このディフェンスの死角を狙ったバックスクリーンが計画されています。
スクリーン・スクリーナー
もう1つの守りにくいスクリーンが、スクリーン・スクリーナーです。
1が3にバックスクリーンしました。
X1はそのスクリーンの対応に必死です。
そんなとき、今度は5がX1にスクリーンしてきます。
これもディフェンスにとっては、視野の外からの「びっくりスクリーン」になります。
来るとわかってても対応がむずかしいのです。
ちなみに、スクリーン・スクリーナーについてもっと詳しい話は、この記事で解説しています。
ぜひこっちもお読みください。
こうしたスクリーンが計画されているので、非常に守りにくく、今でも世界中でフレックスは行われています。
ホーンオフェンスとフレックスオフェンス。まったく違う2つのオフェンスを組み合わせるとこうなります。オフェンスに悩んでいる方は、2つのものをうまく組み合わせるとおもしろいかもしれないですね。pic.twitter.com/ahPxzLi1ZF
— 三原まなぶ🏀バスケの大学 (@coach_manabu) November 20, 2020
フレックスは昔、「基本的にこれをやろうというレギュラーオフェンスでしたが、最近はワンポイントで使われることが多くなっています。
pic.twitter.com/Lxwzictmwl— 三原まなぶ🏀バスケの大学 (@coach_manabu) September 8, 2021
よくある悩みに答えます
では、最後に、わたしの経験上、よくある質問にお答えします。
サイドにパスしてもいいのか?
もちろん、パスはどこにしてもいいです。
こんな感じで、サイド(コーナー)にパスをするのは全然OK。
むしろやってください。
で、パスした後の動きは、
- 3メンサイド
- 2メンサイド
でちょっと変わります。
3メンサイドはUCLA
まず3メンサイドでパスを出したとき、UCLAカットをするといいでしょう。
2メンはスタガードスクリーン
2メンでパスしたときは、ボールと反対にスクリーンです。
ただこのとき、3メンサイドでは「フレックスアクション」してますから、実際にはこうなります。
つまり2が3といっしょにスタガードスクリーンをかける形ですね。
スタガードとは「時間差スクリーン」のこと。
複雑なスクリーンの1つです。
似たようなプレイは、この記事をどうぞ。
スイッチされたらどうするか?
スイッチされることは、よくありますね。
たとえばバックスクリーン。
1をX2が守る。つまりマークマンの交換をするってことです。
しかし、スイッチされたら、スクリーンした人にチャンスがあります!
という合言葉をぜひ覚えておいてください。
ディナイされたらどうするか?
パスコースをディナイして、パスを展開させてくれない。
これも困りますね。
このときは、ディフェンスが激しければ激しいほど、ハイポストが空きます。
そこにパスをつないで、バックドアカットです。
これができなくても、2メンサイドの2人が入れ替わっただけなので、スペーシングは保たれます。
そのままフレックスを続けられます。
これも絶対に覚えておきたい、戦術の基礎ですね。
全員をうまくして、戦術で勝つ喜びを
以上がフレックスオフェンスのすべてです。
最近ではドリブルのスキルが注目されています。
そして、戦術も個人が1対1を仕掛けるタイプのものが、増えてきています。
でも、ドリブル主体のバスケは、おもしろいのでしょうか?
わたしはよく疑問に思います。
1人がボールを長く持つってことは、ボールを持たない子も増えるってことです。
さらに、ボールを持ってる人は、全員に見られます。
ディフェンスにも見られるわけで、守りやすいんです。
一方で、パスを主体とする戦術は、全員がボールを触ることになります。
全員がうまくなるチャンスがあるし、戦術的にも誰が攻めてくるのか、的をしぼれません。
パスとスクリーンを主にしたフレックスオフェンスのような戦術の方が、良いことが多いのです。
育成年代には、戦術は必要ない。そういう意見もあります。
でもわたしは、育成年代こそ、戦術が大事だと思っています。
- 自分の役割を知る
- 何を練習したらいいか、明確になる
- チームで1つのプレイを作る喜び
こういったものは、戦術がなければ、絶対に味わえません。
わたしはそう考えています。
この記事があなたのお役に立つことを願っています。
がんばってください!
記事を最後までお読みくださり、感謝しています!
このブログをお読みのあなたは、きっとバスケの悩み、特にチームづくりのことでいろいろと悩んでいることでしょう。
そんなあなたはぜひ「バスケの大学メルマガ」をのぞいてみてください。
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