こんにちは、三原です。
前回、基本的なセットオフェンスの形をご紹介しました。
そして今回は、NBAでよく見るセットオフェンスを紹介します。
NBAだと、ちょっとした変形セットが多いんです。
あなたがミニや中学生の指導者だったとしても、女子を教えているとしても、知っていて損はないと思います。
YouTubeでも解説しています。
音声だけでも学べるようにできているので、聞き流しでもぜひどうぞ。
NBAでよく見るセット6つ
今回紹介するのは、6つです。
- ホーン
- 5アウトディレイ
- ホーク
- コーナー
- エルボー
- ランダム
もちろん、他にもいろいろあるんですが、最近はこのあたりが主流かな、と。
ミスを減らしてシュートを増やすことが勝ちにつながるという考え方のもと、とてもシンプルなものが多いです。
パスを多く回したり、カットやスクリーンを多用したりというよりは、得意な人に得意な場所から1対1させるという感じですね。
具体的に紹介します
それでは、1つずつ見ていきますね。
まずはホーンから
ホーン
ホーンセットは、
- トップにガード
- エルボーに2人
- コーナーにシューター
というセットです。
5人を結ぶと、「牛の角」みたいなので、ホーンと呼びます。
ゴール下に広くスペースが取れるのがメリットです。
アクションはいろいろありますが、よく見るのは
- ハイポストにパス
- ウィークサイドにカット
- ゴール下がノーマーク
という動きです。
ここからフレックスアクションに入ることが多いです。
また別のアクションとしては、パスではなくてドリブルから入ることもできます。
1と5のピックですね。
これに合わせて、4はフリースローラインの後ろあたりでスクリーンをセットします。
こうすると、スクリーンした5に、4がスクリーンすることになって、すごく守りにくいプレイになります。
これ、スペインピックっていいます。
ちなみに、スペインピックについてはこの記事で詳しく紹介しています。
ガードに能力のあるチームには使えますよ。
ぜひお読みください。
5アウトディレイ
これが最近は一番多いですかね。
5人全員が3ポイントラインの外に立ちます。
しかもセンターの5がトップにいるのがミソです。
ふつうセンターって、リングの近くに立つじゃないですか?
それをあえて一番遠くにおく。
するとディフェンスも外に出るので、相手のビッグマンを苦手な外に引っ張り出すことができます。
狙いはもちろん、ゴール下にドライブすることです。
このように、センターがわざと遅れて走り、ゴール下に入らないで始めるセットを「ディレイ(遅れ)」と呼びます。
よくあるアクションは、ドリブルハンドオフですね。
- 1が2にダウンスクリーン
- 同時に5がドリブル
- 2がスクリーンを使って上がる
「シカゴ」とか「ズーム」とか呼ばれるアクションですが、今のNBAでとっても多いです。
ドリブルハンドオフがガチッとかかれば、2はドライブできます。
ディフェンスがスイッチしたら、5がダイブすればいい。
どちらにしても、ペイントアタックがかんたんにできますね。
さらに動きをつけ加えたければ、ウィークサイドでピンダウンスクリーンを入れましょう。
ただし、動きを増やせば増やすほど、スペースがごちゃごちゃすることにもなります。そこは注意してプレイを作りましょう。
ホーク
アトランタホークスで長年ヘッドコーチをつとめたヒュービーブラウンという方がいます。
とても熱血な、すばらしい殿堂入りコーチです。
そのブラウンさんが好んで使っていたので、今でもホークスの名前が残っているセットです。
ハイポストとローポストに2つのスタック(かたまり)を作るセットです。
入り方はこんな感じ。
- 1がドリブル
- 4と3でUCLAカット
- 3に入らなくても、4にはかんたんにパスできる
という流れから、
- 3はスペーシング
- 2がポップアウト
- 「4→2→5」とローポストまでパスをつなぐ
という流れです。
ホークセットのすばらしいのは、ふつうならディフェンスが固く守るはずのハイポスト、ローポストにかんたんにパスが通ることです。
ハイ、ローをスタックにしておいて、パスが通しやすくなるという、魔法のセットと言えますね。
コーナー
コーナーセットは、1−4の変形です。
ふつうは3がウイングに立つんですが、あえてコーナーに立って偏ったスペースにします。
こうすることで、逆サイドのヘルプを完全になくすことができるデザインです。
プレイの1例としては
- 2が4にパス
- 3がフレアスクリーン
- 2がコーナーでパスをもらう
とします。
こうすると、ベースラインドライブに対してまったくヘルプがいません。ガラガラですね。
このように、ヘルプできないアイソレーションにしてしまうことが、コーナーセットの目的です
エルボー
エルボーセットは、ホーンセットの変形です。
4、5番が、ドリブルがつけるような器用な選手であるとき、有効なセットです。
レブロンジェームスがキャブスにいるときに、よくやってた印象がありますね。
4と5でピック&ロールすると、コーナーからカバーに行けません。
がんばってコーナーからカバーに出れば、シューターをノーマークにしてしまうという寸法です。
エルボーセットほどのスペースはないですが、ペイント内で2対2をするなら、おすすめのセットになります。
ランダム
ランダムはセットプレイというより、考え方です。
- 1がボールを持つ
- コーナー、逆のウイングに広がる
- センターはボールの逆
というように、最大限にドライブするスペースを取ります。
そして、1対1でやっつけて、レイアップに行く。
それをカバーが出たら、他の人にアシスト。
とってもシンプルですが、必ずシュートに行ける。理論上は完璧です。
最初のドライブを、ピックから入ることもできます。
もちろん、ドリブラーやシューターにスキルがあることが前提ですが、NBAではその選手がそろっていますので、このランダムバスケットボールをやるチームは多いです。
有名なのはジェームスハーデンがいたロケッツとか、ちょっと前のスティーブナッシュがいたサンズとかがそうですね。
このランダムが流行ってから、世界のバスケットボールが変わりました。
原型はドリブルドライブモーションです。
NBAは真似が多い??
この記事を書いているのは2021年です。
その時点での話を書いているので、5年後や10年後は、今とはまったく違ったセットがNBAで流行っているかもしれません。
というのは、NBAは真似がとても多いリーグだからです。
どこかのチームが成功したら、みんなそれを真似します。
- レイカーズのトライアングルオフェンス
- スパーズのモーションオフェンス
- ヒートのドリブルドライブモーション
- サンズの7秒オフェンス
他にもいろいろありますが、歴史的に、NBAは成功例をどんどん真似して、発展していったんです。
コーチたちの自分のプライドより「良いものは良い」と謙虚に学び、勝ちにこだわる。すばらしい文化だとわたしは思っています。
わたしたちも、このような積極性は真似したいですね。
「いいな」と思ったものを、どんどん真似するところから始めてみましょう!
記事を最後までお読みくださり、感謝しています!
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