戦術講座

チェスマッチという考え方 【バスケ戦術講座 第31回】

こんにちは、三原です。

バスケ戦術講座、今回で最終回となります。

毎回読んでいただいたあなたに感謝します。

さて今日は「チェスマッチ」という考え方です。

チェスって、あのボードゲームですね。将棋みたいな。

バスケの試合は、たんなるプレイだけじゃなく、頭脳戦だよって話です。

YouTubeでも解説しています。

わたしのYouTubeは、基本的にトークばかりなので、聞き流しでも大丈夫です。

日常のながら時間にぜひどうぞ。

バスケは「後出しジャンケン」

ジャンケンは、なぜ勝つのが難しいんでしょうか?

それはかんたんで「同時に出さなきゃいけないルールだから」です。

じゃんけんぽん!の瞬間に、自分もうち手を出しますが、相手が何を出すのかはわかりません。

では逆に、「後出しをしてもいい」というルールだったらどうでしょう。

絶対に勝ちますね。

安田くん
安田くん
グー出します
三原さん
三原さん
じゃあパーを出そう

 

安田くん
安田くん
パー出します
三原さん
三原さん
じゃあチョキを出そう

 

安田くん
安田くん
チョキ出します
三原さん
三原さん
じゃあグーを出そう

とてもかんたんなことです。

ではこれをバスケットボールに置き換えてみましょう。

ボールを持った人が1対1をやるとします。

安田くんがオフェンスです。

ディフェンスが下がっている
安田くん
安田くん
じゃあシュート打とう

 

ディフェンスが出てきた
安田くん
安田くん
じゃあドリブルで抜こう

 

という判断が、後出しジャンケン的な判断です。

ディフェンスの状況を見て、そしてプレイする。

言葉で言うほどかんたんではないかもしれませんが、理論的にはこうするのが正しいバスケです。

バスケはいくらでもフェイクしていいし、先に動き出していい。

相手の出方を見てから、後に動き出してもいいんです。

陸上でいうフライングがナイスプレイになるし、ジャンケンでいう後出しがナイスプレイです。

これをコーチ同士の駆け引きで考えること「チェスマッチ」といいます。

コーチングの後出しジャンケンがチェスマッチ

ここからは具体例をあげますね。

ぜひヘッドコーチになった視点で、読み進めてください。

あなたのチームがオフェンスをしています。

相手チームはマンツーマンです。

それを見たあなたは、こう指示を出しました。

三原さん
三原さん
インサイドの5で攻めろ!

 

この指示がうまくいき、インサイドで連続得点します。

それに対して相手はタイムアウト。

相手のコーチはこう指示を出します。

相手のインサイドを止めるぞ。2−3のゾーンディフェンスに変更だ。

 

こうなると、さっきまで攻めていた5を、2人がかりでマークできます。

これでインサイドは抑えられちゃいました。

そこであなたは考え、気づきます。

三原さん
三原さん
2−3ゾーンはゴール下が強いな。でも、ハイポストは手薄だ。

 

そして次なる具体的な指示を出します。

三原さん
三原さん
ハイポストにフラッシュしろ!

 

この指示で、今度は4がジャンプシュートを成功させます。

相手は今度はそうはさせまいと、ハイポストを潰しに来ます。

ハイポストをつぶせ〜!

ハイポストが潰された。

ゴール下は相変わらず手厚い。

ということは、攻め手はどこだろう?

あなたは見極めて、こう指示を出します。

三原さん
三原さん
ウイングが空いてるよ。そこから3ポイント打っちゃえ!

 

3ポイントを続けて入れられた相手チームはたまらずタイムアウト。

今度はゾーンの形の変更を指示します。

シューターに打たせるな。3−2ゾーンに変えるぞ!

 

さあ、これでがっちりと抑えられてしまいました。

困りましたね。

でも、あなたはタイムアウトを取り、このように指示します。

三原さん
三原さん
4と5が同時にハイポストに立て。必ずどちらかにパス出せるはずだから、そこからシュートしてごらん。

 

これがうまくいき、4と5が続けてハイポストからシュートを決めます。

相手チームは最後のタイムアウトを取り、こう指示を出します。

・・・マンツーマンに戻せ!

巡り巡って、マンツーマンに戻りました。

そうしたら、あなたが言うことは、もうわかりますね。

三原さん
三原さん
もう一回、最初のようにインサイドから攻めよう!

ということで、どっちが勝ったかはおわかりですね?

この試合、あなたのチームはチェスマッチに勝利し、相手チームは常に後手を踏んでいます。

きっとこの試合は、あなたのチームが勝ったことでしょう。

これがチェスマッチです。

コーチはとにかく試合を見よう

選手にファンダメンタルが必要なのは、大前提です。

それぞれのシュート力だったり、パスが正確に出せることが、チェスマッチの大前提になります。

でも、逆に言えば、コーチのチェスマッチ的な指示がなければ、選手の能力を最大限に活かすことができません。

なので、相手がどういう戦いをしてるのかを見抜き、その弱みを突くための作戦が、絶対に必要です。

こういった目を養うには、とにかく試合を見るのが一番です。

例えばあなたがミニバスの指導者であれば、ミニの試合をたくさん見るのは当然として、高校生やBリーグ、NBAなど、まったく違ったカテゴリーの試合も見ることをおすすめします。

いろんなバスケットに触れることで、感性を磨くのです。

それがチェスマッチの感性につながります。

理想は選手の主体性を育てる

そして、コーチ自身のチェスマッチだけでなく、選手にも「チェスマッチ的思考」を育てること。これがすごく大事です。

わたしは特にボトムアップ思考でチームづくりをしていますから、ここはこだわりたいところ。

コーチの指示を忠実に守るのも大事ですが、コート上の選手たちで会話ができて、変化・修正できるチームの方が絶対に強い。

なので練習の段階で「どうやるのか」だけでなく「なぜやるのか」をしっかり教えて、思考力を育てることです。

この講座で、バスケの戦術についてはいろいろとお伝えしました。

何かがあなたのお役に立ち、選手の主体性を伸ばすのにつながれば、嬉しく思います。

ABOUT ME
三原学
三原学(みはらまなぶ)。1981年東京都生まれ。安田学園中学校高等学校教諭。同校高校男子バスケットボール部ヘッドコーチ。「ボトムアップ思考」による選手主体のチームづくりを目指す。また、YouTubeやブログでわかりやすく戦術を解説する「バスケの大学」を運営。日本バスケットボール協会公認B級コーチ、B級審判員。早稲田大学大学院修士課程(人間科学)修了。
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