戦術講座

プレスディフェンス【バスケ戦術講座 第6回】

こんにちは、三原です。

「プレスディフェンス」は必ず練習しておくべきです。

プレスディフェンスができれば

  • 試合のテンポを制することができる
  • 大逆転の可能性がある
  • 速攻を多く出せる

など、良いことがいっぱいあります。

しかし、プレスは突破されるとかんたんなシュートチャンスを与えてしまうデメリットもあります。

毒でもあり、薬でもあるプレスディフェンス。

この記事で、ぜひ正しく学んでください。

YouTubeでも解説しています。

音声だけでも学べるように作ってありますので、聞き流しだけでもぜひどうぞ。

ボールを取りに行くディフェンス

プレスディフェンスを定義すると、

三原さん
三原さん
ボールを取りに行くつもりのディフェンス

ということです。

ふつう、バスケットボールはボールを奪えません。

ドリブルしているのと横取りしようとしたって、なかなか取れない。そういう競技なんです。

だから、多くの場合、ディフェンスは

  • 取りにはいかない
  • そのかわり、抜かれないようにする

という考えでプレイします。

それでも、なんとかしてボールを奪いたい。

そんな目的で行うディフェンスのことを「プレス」と言います。

プレスは「トレードオフ」

抜かれないために守るのと、ボールを奪いに行く守り。

どっちが強そうかといえば、そりゃプレスの方が強そうですよね。

でも、実際はそんなことないんです。

なぜなら、取りに行けば行くほど、抜かれやすくなるからです。

プレスと抜かれるリスクは「トレードオフ」の関係なんですね。

トレードオフとは、一方の魅力を手に入れるためには、もう一方の魅力を捨てないといけない、ってこと。

安田くん
安田くん

昼ごはん『カレーにしようかな。そばにしようかな。

うーん。決めた。そばにしよう』

三原さん
三原さん
ということは、カレーは食べられないってことになるね

これがトレードオフです。

  • 取りに行けば行くほど、抜かれやすい
  • 取りに行かなければ、抜かれない

という単純なトレードオフで成り立っています。

  • プレスはハイリスク、ハイリターン
  • 引いて守ればローリスク、ローリターン

ということです。

しかも、相手のオフェンス能力が高ければ高いほど、プレスの効果は薄れて、やられるリスクの方が高いです。

NBAとかのトップレベルで、プレスをするチームがほとんどないのは、このためです。

あそこまで行くと、プレスするよりも、やられる確率の方が高まるんですね。

でも、プレスはやっておいた方がいい

でも、プレスは練習しておいた方がいいです。

なぜなら、これを読んでるあなたのチームであれば、ミニや中学、高校がほとんどでしょう。

そのカテゴリーであれば、効果が期待できるからです。

  1. 接戦で1歩抜け出したいとき
  2. 負けていて、なんとか追い上げたいとき
  3. 同じ実力の試合で、流れを自分たちに引き寄せたいとき

こんなときのために、プレスは準備しておくべきでしょう。

特に負けているとき、プレスがないと、そのまま試合が終わってしまいます。

でもプレスがあれば、もう一度勝負を仕掛けることができるのです。

基本はマンツーマンプレス

プレスは大きく分けて2つあります。

  1. マンツーマンプレス
  2. ゾーンプレス

で、基本はマンツーマンですね。

1対1で守り切るつもりでマッチアップしつつ、ボールをはさみにいくディフェンスになります。

覚えてほしいのは、ラン&ジャンプとローテーションです。

ラン&ジャンプ

まずはこんな感じで、マンツーマンでマッチアップします。

それぞれが1対1です。

マンツーマンプレスでは、ボールをサイドラインに追い込めが合言葉です。

がんばってボールをそっちに誘導しましょう。

そうすると、サイドラインがあるので、必ず行き止まりになります。

この瞬間に、横からX3が飛び出してきて、ダブルチームです。

ただこのときにですね、ずっとダブルチームしているとパスをさばかれて抜かれてしまいます。

なので、はさむのは一瞬で、すぐに1対1に戻ります。

このとき、X1とX3はマークマンをスイッチさせます。

このように

  1. 一瞬だけダブルチーム
  2. すぐに1対1に戻る
  3. マークマンをスイッチする

という方法の仕掛けを「ラン&ジャンプ」といいます。

目的は、びっくりさせるだけ。

ダブルチームを長い時間やらないかわりに、リスクを最小限にしたプレスです。

ローテーション

今は1と3のところで行った、横のドリブルに対するラン&ジャンプでした。

この後、続くプレイとしては3がタテにドリブルを進めることです。

タテに進まれることはあんまり嬉しくないですが、よくあります。

これもラン&ジャンプで対応しましょう。

ボールに一番近いX5が飛び出します。

こうすると、一瞬だけ5がノーマークになるので、びっくりしたボールマン3は、5にパスを出すはずです。

そこをX4が思いっきりカットを狙いますスパン!!

カットできれば最高です。

でもできないときはどうしましょ?

そんなときはローテーションです。

近い順に、マークマンを入れ替わって、1対1の状態に戻します。

こんなふうに、ラン&ジャンプとローテーションで、リスクを最小限にしながらプレスを仕掛ける。

この方法が、マンツーマンプレスの基本になります。

配置がかんたんなゾーンプレス

マンツーマンが最強のディフェンスであり、基本です。

でも、1つデメリットがあります。

それは、マークマンが動くと、それについて行かなきゃいけないってことです。

ラン&ジャンプするには、ボールの近くに誰かいることが前提です。

でも、うまいオフェンスはそれを見越して、オフボールが動きます。

そんなとき、オフェンスの動きに関係なく、自分たちのディフェンスの形を決めてしまうこと。それがゾーンです。

ゾーンプレスには、大きく分けて2種類あります。

  1. 1−2−1−1
  2. 2−2−1

要は、一線目が奇数なのか、偶数なのかって話です。

うるさい1−2−1−1

1−2−1−1は、ボールを奪いに行くタイプのプレスです。

ガチャガチャとうるさいタイプのディフェンスです。

ダイヤモンドのような形を保ちながら、積極的なダブルチームを仕掛けることが目的です。

特に試合に負けてるときに、なんとかボールを奪いたいときは、1−2−1−1のプレスがいいでしょう。

ボールを奪いやすいってことは、トレードオフで、突破されやすいってことも覚えておきましょう。

静かな2−2−1

一方で、2−2−1は、静かなプレスです。

ボールを取りに行くというより、時間をかけさせて、心理的なミスを誘います。

ダイヤではなく、「ボックス」の形を保って、ボールの移動に合わせてボックスを動かします。

そして、バチバチのダブルチームはせず、「大きなダブルチーム」をします。

距離をとって、X1とX2で「八の字」に立つ感じです。

相手がドリブルを始めるまでは、その間合いはつめません。

2−2−1は静かに追い込み、ボールを奪いに飛び出すわけじゃありません。

なので、スティールできる機会は減りますが、トレードオフで、突破されることも少なくなります。

ボールか?ショットクロックか?

マンツーマンであれ、ゾーンであれ、共通して言えるのは

  1. ボールを取りに行くのか
  2. ショットクロックを削るのか

このどちらの目的でプレスするのかを、決めておくべきです。

何度も言いますが、トレードオフの関係なので、ボールを取りに行けば、それはリスクが増えます。

そして、相手のレベルが高くなればなるほど、ボールはなかなか取れません。

一方で、ボールは取れなくても、時間をかけさせることはできます。

ボールを取りに行くのではないので、抜かれるリスクも減ります。

プレスの結果として、時間を削れば、苦しいシュートをさせることになり、結果としてマイボールになる確率が高まります。

そして、NBAなどのトップレベルがプレスをするときは、ほとんどが時間を削るタイプだってことも、ぜひ覚えておいてください。

ABOUT ME
三原学
1981年、東京都生まれ。早稲田大学大学院卒。学生時代にマネージャーとなり、バスケ指導者を志す。 22歳から高校バスケ指導を始めて、早稲田実業高校ではウインターカップ出場、関東新人大会優勝。現在は母校の安田学園高校で監督を務める。選手が主役のチーム作り「ボトムアップ理論®︎」により、日本の部活動モデル校を目指している。 2024年から早稲田大学男子バスケットボール部のヘッドコーチも務める 日々学んでいる指導体験をブログやYouTube「バスケの大学」で発信して、総フォロワーは30,000人を超える。 日本バスケットボール協会公認A級コーチ、ジュニアエキスパートコーチ。ボトムアップ理論®︎エキスパートコーチ。 月刊バスケットボールにて「まんが戦術事典」を連載中。著書多数。
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