オフェンス

プリンストンオフェンスとは? わかりやすく

こんにちは、三原です。

今回は「プリンストンオフェンスとは? わかりやすく」というお話です。

この記事を読むメリット

  1. プリンストンオフェンスの具体的な動き方がわかる
  2. なぜそのような動きをするのか、その考え方が理解できる
  3. あなたが指導者ならば、自分自身の「こだわり」を作るきっかけになる

YouTubeの動画では実際の映像も含めて解説しています。そちらもぜひ見てみてください。

そもそも、プリンストンとは?

プリンストンオフェンスとは、その名の通り「プリンストン大学」が長年使っていたオフェンス戦術です。

プリンストン大学は、日本でいうと東京大学のように、学業面は世界一のレベルだけど、バスケ選手は「入学した選手で何とかがんばる」という感じのチームです。

実際はリクルートするんでしょうが、UCLAとかケンタッキー、デュークのような即NBAみたいな人材はいないわけです。

それでも何とか勝たせたい。そう考えた執念のコーチが伝説のピート・キャリルです。

この人が考えたオフェンスがプリンストンオフェンスなのです。

プリンストンオフェンスは「わかってても止められない」、「スカウティング不可能」と言われたオフェンスで、相手コーチが対策を練って、対応すればするほどヒラリとかわされてしまうような不思議なオフェンスでした。

もっとも有名になった試合が1996年のNCAAトーナメント1回戦。

プリンストン大学の対戦相手は超名門UCLA。しかも、UCLAは前年度優勝校で、主力選手がそのまま残っていて、2連覇間違いなし!みたいなチームでした。

誰もプリンストンが勝つなんて思ってなかった。そんな試合はピートキャリルの術中にはまり、43-41というロースコアでプリンストンが勝っちゃったのです。

しかも残り3秒で決めたシュートは、プリンストンオフェンスの代表的なバックドアプレイ。

歴史に残る名勝負によってプリンストンオフェンスは世界中に知れ渡り、NBAや各国の代表チームも、そのオフェンスをまねしたのです。

ピート・キャリル自身も、NBAサクラメントキングスでオフェンス専門コーチも務めたことがあります。

ちなみにわたしの解説している動画は、UCLAとの伝説の試合を題材にしています。

プリンストンオフェンスの考え方

さて、ここからが大事です。このブログで一番大事なところです。

プリンストンオフェンスとは、その考え方とはいったい何なのか?

それは

  • 1対1を避ける
  • バックドアを多用する。
  • ディフェンスが収縮したら3Pシュート

という考え方のプレイです。

下の図を見てください。

ウイングで#2がボールを持っています。トップに#1がいます。

#1がディフェンスのAの前を通ってカットしたとします。

そこにパスが入っても、#1とAの「1対1」の状況です。

そうなると#1とA、能力の高い方が勝ちます。

自分のチームが強ければそれが良いのでしょうが、プリンストン大学は能力の低いチーム。

ここでは戦わないのです。

どうするかというと、前をカットせず、後ろをカットします。「バックドア」です。

このようなバックドアは、パスが通れば完全にノーマークのレイアップになりますよね。

だから身体能力が関係なくなるのです。

そして、バックドアへのパスが通らないとすれば、逆側のCのディフェンスが#1に寄っていることが原因になります。

そうすれば、#3がノーマークになり、3Pシュートが打てるわけです。

  • バックドアカットでレイアップ
  • ディフェンスが2人寄ったら、パスを飛ばして3P

この2つを徹底的にやり続けるのがプリンストンオフェンスです。

このオフェンスで必要なのは

  • パスの技術
  • タイミングを合わせること
  • 3Pシュートの正確性

になります。

おわかりの通り、これらは「もともとの運動能力」がいっさい関係なく、すべて「練習次第で伸ばせる」わけです。

練習すればするほどうまくなるオフェンスを考え、練習で鍛えて試合に勝たせる。

ピート・キャリルは「うちには良い選手がいないから」とか言い訳をせず、試行錯誤をくり返した天才コーチだったということがわかりますね。

基本となる「ローポストシリーズ」

では実際の5人の動きを解説します。

2ガード、2ウイング、1ポストのセットです。

#5のセンターは固定しますが、#1から#4はあまりポジションに関係なく、全員ができるようにしてください。

イメージとしては外回りの4人は全員がポイントガードであり、全員がシューター。そんなイメージです。

#1から#2にパスをしたら、#1は逆サイドのコーナーまでカットします。

#2は#5のローポストにパスをします。

#3がトップに上がり、ここからオフェンスがスタートです。

まずは3対3のスプリット

#5にボールを入れたら、#3はトップの#2にスクリーンをします。この動きを「スプリット」と言います。

図では右サイドで3対3をやっているわけです。逆の左サイドが2対2です。

さて、スプリットは普通であれば、#2はスクリーンを使って45度に行き、パスをもらってシュートです。

ただ、そこはプリンストンオフェンス。積極的にバックドアを狙います。

45度と見せて、ゴールにカットです。

ディフェンスはゴール下に収縮しますから、スクリーンをした#3がトップに開けばノーマークになり、3Pが打てます。

バックドア or 3P

という考え方がこの3対3でやっているのがわかりますね。

 

逆サイドに展開

3対3で攻め切れないときは、ボールを逆の左サイド(2対2のサイド)に展開します。

普通では、ドリブルをせずにパスを回してボールを#1まで流しますが、

ただ、そこはプリンストンオフェンス。積極的にバックドアを狙います。

#3がトップからドリブルをします。そのドリブルに合わせて、#4はちょっと近づくふりをしてバックドアです。

このドリブルをするのが「バックドアしてね」というサインになっています。

#4のバックドアにパスが入らないときは、きっと#1をマークしているAが寄っているはずです。そのときはパスを飛ばして#1が3Pシュートです。

 

フレアースクリーンでもよい

#3から2対2のサイドにパスを展開するときは、ドリブルからバックドアだけでなく、フレアースクリーンを使うこともあります。

フレアースクリーンとは、#1がコーナーからスクリーンして、#4をコーナーに行かせるスクリーンです。

普通では、コーナーにパスをして#4に3Pシュートを狙わせます。

ただ、そこはプリンストンオフェンス。積極的にバックドアを狙います。

#1がスクリーンしたらバックドア。ゴールに向かってカットです。

くり返しくり返し、しつこさがプリンストンオフェンスの武器

今までがプリンストンオフェンスの基本的な形です。

しかし、1回のカットやスクリーンでシュートに持ち込むことは稀です。むしろほとんどありません。

そうではなく、「しつこくくり返す」ことこそがプリンストンオフェンス最大の武器です。

ショットクロックをフルに使い切り、1本のシュートを作る。

穴があくまで何度も何度もバックドアする。

時間をかけると、シュート本数が減り、得点はロースコアになります。

それもプリンストンの狙いなのです。

  • シュートの本数が増える
  • リバウンドの回数が増える
  • 背の高い、運動能力の強いチームが有利になる

そう考えて、能力差が出ないように、プリンストンはわざとゆっくり攻めるのです。

速攻もあえて出しません。

昔はアメリカの大学のルールが、ショットクロック35秒だったり、45秒だったりしました。

その時代の流れもプリンストンは活用して、自分たちの弱点を極力隠したのです。

ドリブルチェンジがハイポストフラッシュのサイン

ディフェンスにパスコースを読まれて、パスが回らなくなったらどうするか。

このときはセンターの#5がハイポストにフラッシュしてパスをつなぐのですが、ここにもプリンストンは一工夫あります。

ガードが「ドリブルチェンジをしたら」ハイポストにフラッシュというサインなのです。

図のように、ガードの#1が左サイドにドリブルすると見せて、右にチェンジします。

そのチェンジの瞬間、#5はハイポストにフラッシュです。

そして、#5がボールを持ったと同時に、#2はバックドアカット。

もはや芸術レベルのプレイです。

まとめ

  • プリンストンオフェンスはバックドアカットを多用する
  • バックドアにディフェンスが寄ったら3Pが打てるようになっている
  • しつこくくり返して、時間を使う
  • 運動能力が低いチームが、格上のチームに勝つための作戦
  • パス、シュート、タイミングが命
  • これらは練習によっていくらでも上達が可能。

プリンストンオフェンスは今の中高生でもできるのか?

最後に、わたしの意見を述べます。

わたしは男子の高校生を15年指導してきました。いろいろなチームを見てきましたが、日本の学生レベルでプリンストンオフェンスを完全にやっているところはほとんど知りません。

正直、やっぱり難しいのだと思います。

なぜなら「当時のアメリカと今の日本ではルールが違う」というのが最大の理由です。

ショットクロックが35秒や45秒だった時代は、プリンストンオフェンスのしつこさが最大に生きることでしょう。

しかし今は24秒。むしろ最新のルールでは実質14秒でオフェンスしなければなりません。

プレイが単純化して、スキがあればシュートを狙う。というのが現代のバスケットボールなのです。

中学生や高校生にプリンストンオフェンスを徹底的に教え込んだ場合、それなりにできると思いますが、デメリットはもう1つあります。それは、

1対1の基本や、走ることが身につかなくなる

ということです。

やっぱりたくさん走って、体力を身につけて、どんどんシュートに行かせないと、中高生はうまくならないです。

若いコーチが陥りがちなのは、フォーメーションに凝って個人技能を伸ばさないことだと思います。わたしもそういう時がありました。

プリンストンオフェンスは言わば「弱者の兵法」です。

だからプリンストンオフェンスだけやっているうちは、選手はずっと「弱者のまま」です。

あまり型にこだわらずに、1対1と走ることを叩き込んだ方がチームも強くなりますし、選手も育ちます。

こんなことを言うと「じゃあなんで三原は長々とプリンストンオフェンスの解説なんかしたんだ!?」と怒られそうですね。

誤解しないでほしいのですが、やっぱりプリンストンオフェンスは素晴らしいのです。

そしてそこから学ぶべきです。それは

  • 指導者がたった1つでもこだわりを持つ素晴らしさ
  • 状況判断こそがバスケットで最重要

ということなのです。

ピート・キャリルはバックドアにこだわり、それを軸に選手の状況判断能力を育てました。

わたし自身はパスアンドランにこだわっています。

あなたのこだわりは何ですか?

なんでも良いと思います。ただ、指導者は自分のこだわりを詰め込んでコーチングすべきです。

そして基準を示し、選手の状況判断能力を育てるのです。

プリンストンオフェンスの

  • バックドアに走る
  • ディフェンスが寄る
  • 3Pがノーマーク

という方程式はすばらしいです。わたしも大いに参考にしています。

このような1つの信じるものを持てたとき、そのチームは強くなり、選手も育つのです。

もしあなたが迷っているのならば、プリンストンオフェンスの一部分を取り入れてください。

まずはそっくりそのままやってみてもいいでしょう。

きっと今までになかった「あなた自身のこだわり」が生まれるはずです。

最後まで読んで頂いて感謝しています。あなたのお役に立てたら嬉しいです。

オススメの本

わたしがまとめたプリンストンオフェンスの本がこちらです。

わかりやすさにこだわって書きました。

ちなみに「noteのほうが読みやすい」という方はこちらをどうぞ。

最後までお読みくださり、感謝しています!

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ありがとうございました。それでは、また。

 

 

ABOUT ME
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三原学
1981年東京生まれ。小5からバスケを始める。早稲田大学では主務としてインカレ第3位に貢献。卒業後は、母校である安田学園高校の男子バスケットボール部を指導している。常に攻撃的なバスケットボールがモットーで「やって、見て、教えて日本一楽しいバスケ」を日々追及している。特にパス&ランのオフェンス指導には定評があり、選抜チームなどのコーチも歴任。ライセンスはJBA公認B級コーチ、B級審判。「5アウトのモーションオフェンス」「ドリブルドライブモーションオフェンス」など著書多数。運営ブログ「バスケの大学」はYouTube版も好評。
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今日もありがとうございました。

それでは、また。

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