こんにちは、三原です。
今回は「プリンストンオフェンス 「チン・シリーズ」 バスケのセットオフェンス解説」というお話です。
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プリンストンオフェンスとは、プリンストン大学の元ヘッドコーチ「ピート・キャリル」が考案した、世界で最も有名なオフェンス戦術です。
プリンストンオフェンスは何が優れているかというと
- 身体能力が低くてもできる
- 「バックドア」でゴール下のノーマークが多くできる
- 3Pがノーマークになりやすい
- ポジションがあまり関係ないオフェンス
というところですね。
バスケというと「背の大きい選手が有利」みたいなとこありますが、その常識をくつがえす戦術なわけです。
プリンストンオフェンスのリンク貼っときます。
「チン」とは?
それで、今回は「チン・シリーズ」です。
チンというのは「CHIN」で、「あご」という意味です。
これはプリンストン大学が、
あごを触ったらこのオフェンスをやる、というサインプレイ
だったわけです。
ふつうサインプレイというのは、
- 手で番号を出したり
- グーチョキパーをしたり
しますが、「あごを触る」という仕草は画期的ですよね。
なかなか敵にも気づかれなかったようです。
気づかれないうちに何度も引っかかる。
そのうちに「なんかおかしい」と相手は思う。
世界中がこのオフェンスを研究して、今や有名になってしまった、ということです。
基本の動き
ではさっそくプレイの解説をします。
- センターがハイポスト
- それ以外の4人が4アウト
というセットです。
全員がフリースローラインより上に上がる「ハイセット」ですね。
この目的は
- ゴール下でノーマークを作りやすくする
ということです。
ハイポストにいる#5だけ固定で、
他の4人は誰がどこでもいいです。
- 3Pシュートが上手で
- 動きがすばやい
という選手だと効果的なので、選手をそのように鍛えましょう。
チンの命「バックスクリーン」のコツ
チンの最大の武器は
- バックスクリーン
です。
バックスクリーンとは、ディフェンスの背後からかけるスクリーンのことです。
このスクリーンの利点は
- ディフェンスから見えない
ということになります。
特に
- ついさっきまでボールを持っていた選手が
- パスを手放した瞬間
- バックスクリーンする
となると、ディフェンスはとても引っかかりやすいのです。
この「ついさっきまでボール持ってた人にスクリーン」というのがミソです。
ついさっきまでボール持っていたわけですから
- ディフェンスはボールを守る
- マークマンだけ集中してみる
- 後ろは見えない
となるわけです。
- この「ついさっきまでボール持ってた人にスクリーン」が
- 背後から(バックスクリーン)
- しかも連続して
計画されているのが「チン」オフェンスの武器です。
動き(1)ガードが「展開パス」をしたらスクリーン
ボールを#1が持っています。
そして#2にパスをしました。
このガード間でのパスは、ボールサイドが変わるので「展開パス」と呼びます。
(名前はわたしが勝手につけました)
展開パスをしたら、その#1に#5はバックスクリーンです。
- さっきまでボールを持っていた#1に
- 見えない背後からバックスクリーン
です。
ボールは#2から#3に流れてパス。
ゴール下で#1がノーマークだったらそこにパスして、楽々シュートです。
動き(2)ウイングにパスされたらフレアスクリーン
この#1にボールが入らなければ、次のスクリーンです。
- #2に#5がスクリーン
- #2は広がるように動いて(フレア)パスを受ける
スクリーンを使う側が広がってボールをもらう動きを「フレアスクリーン」と言います。
このスクリーンがかかれば、ノーマークで3Pが打てます。
動き(3)ドリブルで上がってくり返す
- まずガードにバックスクリーン
- 次にフレアスクリーン
基本的に、チン・オフェンスはこれだけです。
これをくり返す、しつこいオフェンスなのです。
フレアスクリーンにもパスが出せなければ、どうするか?
- #3はドリブルで上に上がって
- #2にパスを出します。
すると、今度はこの#3が「展開パス」を出した人になりますので、
- #3に#5がバックスクリーン
- さらに#2にフレアスクリーン
と続けるわけです。
スイッチされたら、スリップ
もう1つのプレイとして、
スクリーンをスイッチされたら、スリップ
というプレイが考えられます。
下の図を見てください。
- #1に#5がバックスクリーン
- ディフェンスがスイッチ(入れ替わる)をした
- #1にパスは通らない
- そのかわり#5がノーマーク
ということです。
ノーマークになった#5はゴール下に飛び込み、パスをもらえれば楽々シュート、ということです。
#5はただの壁になるのではなく、
いつでも自分がボールをもらうつもりで周囲を見ましょう。
チンの何が良いのか?
最後に、わたしの感想です。
チンの何が良いかというと、まずはやっぱり
- 「さっきまでボールマンだった人にバックスクリーン」
という一番守りにくいスクリーンが連続されていることです。
これはパスが通ればゴール下のシュートになります。
チンに限らず、すべてのオフェンスで
「さっきまでボールマンだった人にバックスクリーン」
はやる価値のあるプレイです。
そしてもう1つは、
- 相手がゾーンでも使える
ということです。
こういうセットプレイは、たいていがマンツーマンに対してしか使えません。
しかし、このチンは相手がゾーンでも使えるのです。
ゾーンに対しては、ゴール下でノーマークにはなりませんが、
「ショートコーナー」を使うのです。
たとえば、相手が3-2のゾーンだとします。
これに対して、
- まずはバックスクリーンで#1が飛び込む
- ショートコーナーで#1がパスを受ける
- こうすると
- #5がスリップすればノーマーク
というプレイができます。
「ショートコーナーに落として、縦にカット」というプレイはゾーンオフェンスの基本です。
これがマンツーマンと同じ動きでできるというのは、チンの大きなメリットです。
チンオフェンスのデメリットは、特にありません。
しいていえば
- 有名なので読まれやすい
- シュートパターンが限られる
- 1対1が好きな選手には向かない
くらいでしょうか。
でも、コーチがそれを信じて教えれば、どんな選手でもチンの魅力を理解して、良いプレイができるでしょう。
オススメ動画
アメリカの高校生のチンシリーズ
エアフォース大学のプリンストンオフェンス
いずれも素晴らしいプレイが見られます。ぜひ併せてご覧ください。
オススメの本
わたしがまとめたプリンストンオフェンスの本がこちらです。
わかりやすさにこだわって書きました。
なお、プリンストンオフェンスについては、別の記事でも詳しく解説しています。
ぜひこちらもあわせてお読みください。
記事を最後までお読みくださり、感謝しています!
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