こんにちは、三原です。
2020東京オリンピックのバスケットボール、すばらしかったですね。
男女、5人、3人問わず、すべてがすばらしかった。
その中でもやっぱり5人制の女子が銀メダルですよ。FIBAの公式アカウントもこの大絶賛っぷり!
The pride of a nation 🇯🇵🥈
Japan win silver to end an incredible Olympic campaign where they captured the hearts of a nation and the world!
The future of basketball is bright here 🌟#Tokyo2020 | #Basketball #東京2020 #バスケットボール pic.twitter.com/hjjXPsp7zI
— FIBA (@FIBA) August 8, 2021
この流れで、わたしもブログ記事(YouTube動画あり)を書いて、大好評でした。

こうなると、わたしとしては戦術的なルーツを学びたくなりまして、前回大会のリオオリンピックでの戦いぶりを、今回は解説したいと思います。あのときも素晴らしかったですからね。
リオオリンピック
女子バスケ 予選リーグ
試合終了日本 79-71 フランス
世界ランキング4位のフランスに勝利!!(((o(*゚▽゚*)o))) pic.twitter.com/Bdsr2PrOUo
— パワーハウス横浜 (@powerhouse045) August 13, 2016
当時のオフェンスシステムは、アタックモーションと名づけられました。ヘッドコーチは内海監督。
<リオ五輪>能代工OB・内海監督、走るバスケでメダル狙う https://t.co/zTDxkkDaQq #akita pic.twitter.com/HkiF4sU2PL
— 秋田魁新報社 (@sakigake) August 7, 2016
そのオフェンスシステムは、言うまでもなく2020東京オリンピックの土台となっています。
小さなチームで、走るバスケを追求したい方にはお役に立てる記事ですので、ぜひ最後までお読みください。
章ごとにYouTubeの動画があります。そちらも合わせてご覧ください。わたしの動画は、音声だけでも学べることを意識して作ってあります。なので聞き流しでもOKです。
アタックモーションのコンセプト
アタックモーションの考え方は、次の3つです。
- 速攻の流れで攻め切る
- ペイントアタック
- ビッグアドバンテージ
【1】速攻の流れで攻め切る
小さいチームなので、早く攻めよう。この考えは、誰もが持つと思います。
内海監督の話では、リオのオフェンス結果で
- 半分が速攻、アーリー
- もう半分がセット
だったそうです。
半分が速攻めという成果は、相当に高い数字なんです。練習でもことあるごとにアーリーを追求していたことでしょう。
その追求をしやすいように「アタックモーション」という名前をつけたはずです。
また、わたしが思うに、2020よりも2016の方がセンターを中心にオフェンスを組み立てているように感じます。
これは選手やコーチのメンバーが大幅に違うことが関係すると思いますが、あなたのチームにセンターがいて、それでも走るバスケをやりたいという場合、このアタックモーションの方が役に立つはずです。
トランジションについては、こちらの記事もどうぞ。



【2】ペイントアタック
センターにせよ、ガードにせよ、インサイドを突破することが大事です。これをペイントアタックと言います。
ペイントアタックすれば
- ゴール下のシュートは高確率
- ファウルももらえる
- ディフェンスが収縮する
と言いことばかりです。
なので、できるだけ早くボールを進めて、ペイントアタックをしなさい。というのがアタックモーションの原点です。
【3】ビッグアドバンテージ
ペイントアタックをすれば、ディフェンスは放っておけないです。必ずヘルプに来ます。


そしたら、ヘルプに来た人のマークマンがフリーになります。この図で言えばコーナーの2です。


2は自分のマークマンが遠くに離れています。なので
- シュートしたければできる
- あわててディフェンスが来たら、ドライブで抜ける
という圧倒的に有利な状態です。これをアドバンテージと言います。
アドバンテージになれば、ディフェンスはローテーションするしかありません。つまり2を止めるにはX3が出てくるしかないのです。


そしたら、3がもっと大きなアドバンテージになっちゃいます。


こうやってビッグアドバンテージを作っていくことが、アタックモーションの狙いです。
こちらの記事もどうぞ。



ドラッグスクリーン
では、具体的な戦術にいきましょう。
まず中心は、ドラッグスクリーンです。
ドラッグとは「引っ張る」という意味で、ポイントガードがドリブルでアタックしやすくするために、センターがスクリーンをするプレイになります。
ボール運びの早めの段階で、スクリーンをかけるのがコツです。
- センターラインを超えて
- 3ポイントラインの外
- ここをポケットと呼ぶ
のですが、このポケットエリアでスクリーンします。


そして位置は、だいたいペイントの横辺くらいが目安です。


狙いはもちろん、1が直接ペイントアタックです。


チャンスがあれば5がダイブしてもいいでしょう。
これもペイントアタックになります。


ダイブすれば、もし5にパスが通らなくても、それだけでディフェンスを収縮させることができるからです。
こうなれば、サイドのシューター2がノーマークになります。


エキストラパス、なんて呼んだりますが、チャンスがあれば2から5のローポストにパスを入れることも可能です。ズドン!


あ、もちろん逆サイドの3にパスしてもいいですよ。どちらでもOKです。


ここで大事なことはリバウンドとセフティです。
3が打ったとします。
- 4と5は必ずリバウンド
- 逆サイドの2もリバウンド
- 1と3はセフティ
という形を作りましょう。




そうすると、リバウンドが取れやすくなるのはもちろん、ハリバックもしやすくなります。
そのあたりはこちらも記事もぜひどうぞ。



ダブルドラッグ
先ほどお話しした、ドラッグスクリーンとほぼ同じです。
ただし「ダブル」なので、このように2人がスクリーンします。


かける位置は、ペイントのラインと、リングの正面が目安です。


ドリブルをしたら


5がダイブ、4がポップとたがい違いに動きましょう。


こうすると5と3にパスが出せるのはもちろん、ポップの4にもパスができます。
4の3ポイントも打てるし、4と5のハイローとか、いろいろできます。


スタガード
ドラッグスクリーンは、「センターが速攻の先頭を走らない」というのが前提でした。
しかし、理想の速攻はむしろ「センターが速攻の先頭を行く」です。これをリムランといいます。


相手が戻るのが遅ければ、リバウンドを取らなかったセンターはリムランをしましょう。直接パスが通れば、イージーシュートでおしまいです。


そして、ここにパスが通せなければ、2にパスをしてスタガードというプレイに移ります。
まず2にパスして、1はカット。


トレーラーの4が来て、5といっしょにスタガードスクリーン(時差スクリーン)をセットします。


これを使って3がカールカット。パスが通ればレイアップです。


ここにパスが通らなければ、1が上がりましょう。


スペースを取るために、2ヶ所でフレアースクリーンします。ちょっと複雑ですが、がんばってついて来てくださいww


そして5が1にピックします。


この上の図を見るとわかりやすいですが、アタックモーションでは常に4アウト1インを保つことが大切です。
先ほどのフレアスクリーンは、そのための意味もあるんです。
もちろん、フレアーにパスができたら、してもOKです。


フレアーからスリップ、なんていうプレイも、ちゃんと狙いましょう。


スタガードの使い方
スタガードの使い方も、ちょっと深掘りすると、いくつかあります。
まず基本はカールカット。


この間を抜けるギャグルという方法もあります。


スクリーンを使わない、バックカットも狙いましょう。


最後はフェイド。遠ざかるようにしてディフェンスの裏をかくもらい方です。


1つ注意点は、フェイドの時はパスの距離が長すぎるので、ドリブルで上がった方がいいってことです。


ドリブルハンドオフ
続いてのプレイ。これも最初はリムランから始めます。


パスを出せば先ほどのスタガードになりますが、今度はドリブルで進みます。
同時に、4はポケットエリアまで移動。


2は1のドリブルハンドオフでパスをもらって、4のピックを使います。
5はスペースを取るために逃げましょう。


ピック&ダイブで4がペイントアタックします。
そうしたら、5は3にフレアースクリーン。あくまで4アウト1インを保つようにしてください。


ハンドオフからピックを使ってドリブルするときは、ペイントアタックを狙いましょう。
最低限でも、エルボーの部分は踏むようにドライブです。


もちろん、フレアーにパスできたら飛ばしましょう。


フレアースクリーンした後、5がスリップすることもできます。


このときは4のダイブと5のスリップが重なっちゃいますね。
なので、ボールを優先して、4がリフトしてあげてください。
あくまでスペースは4アウト1インです。
意外と使える「キープ」
すごく単純なんですけど、かなり使えるプレイがこの「キープ」です。
- ドリブルする
- ハンドオフ、と見せかけて
- そのままドライブ
というのがキープ。パスしないでボールをキープし続けるって意味です。


図で書くとメチャクチャ単純なんですが、これがけっこう効きます。
ドリブルハンドオフだけでなく、すべての手渡しパスで使えますので、ぜひ覚えておきましょう。
ハンドオフと見せかけて、パスを渡さないプレイを「キープ」と言いますが、これはかなり使えます。とくにディフェンスが激しいほど効くフェイントです。シュートは外れちゃったけどナイスプレイ
pic.twitter.com/JG23dyTsq7— 三原まなぶ🏀バスケの大学 (@coach_manabu) February 8, 2021
トレイル
先ほどのドリブルハンドオフと、ほとんど同じプレイです。
今度はパスしてそのボールを追いかける(トレイル)になります。
1がここまでボールを運びました。


4にパスをして、すぐトレイル。


で、逆サイドでドリブルハンドオフをやります。




わざとトレイルして逆サイドから始めることで、ディフェンスをゆさぶることができます。
どんなオフェンスでも、ボールを逆サイドに飛ばすことは、効果的ですよね。
もし、トレイルを狙っていながら、パスが出せなければ、グルーッとドリブルで行っちゃいましょう。


ピックしたら4はダイブしますが、それに合わせて5はリフト。あくまで4アウト1インのスペースを忘れずに。


5に飛ばしてからハイローもできるかもしれません。


チェイス
最後はチェイスです。これはドリブルハンドオフの裏のプレイみたいなものですね。
まずドリブルで進みます。ここまでは同じ。


1がフリースローラインの高さに来たら、チェイスの始まりです。
2が5にバックスクリーンをかけて、インサイドに飛び込ませます。
入ったらズドンとパスを入れて、イージーバスケットです。


スクリーン後にポップした2にパスをつなぎます。
ここにはかんたんにつなげるはず。


タイミングを合わせて4が2にピックです。
1はスペースを取るために、コーナーに広がります。
4がダイブ、5がリフト。こうして4アウトを保ちます。


5がつないでハイローも狙えますね。アタックモーションお得意のパターンです。
参考文献
以上が、2016年リオオリンピックでのアタックモーションです。
少し複雑なところもあったと思います。でも
- 走るチームを目指したい
- センターを生かしたい
- オンボールスクリーンで攻めたい
というあなたには、すごく使えるアイデアがたくさんあります。
この記事をくり返し見て、また動画もチェックして、ぜひ覚えてください。
ちなみに参考文献はこのDVDです。
内海監督の細かな指導がわかりやすいので、深く学びたい方はぜひどうぞ。
記事を最後までお読みくださり、感謝しています!
このブログをお読みのあなたは、きっとバスケの悩み、特にチームづくりのことでいろいろと悩んでいることでしょう。
そんなあなたはぜひ「バスケの大学メルマガ」をのぞいてみてください。
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