オフェンス

アタックモーション 2016年リオオリンピックで日本代表が世界を驚かせたアーリーオフェンス

こんにちは、三原です。

2020東京オリンピックのバスケットボール、すばらしかったですね。

男女、5人、3人問わず、すべてがすばらしかった。

その中でもやっぱり5人制の女子が銀メダルですよ。FIBAの公式アカウントもこの大絶賛っぷり!

この流れで、わたしもブログ記事(YouTube動画あり)を書いて、大好評でした。

バスケットボール日本代表女子の戦術「5アウト」モーションオフェンスを解説します 【祝!2020東京オリンピック銀メダル】2020東京オリンピック。日本代表女子バスケットボールは、銀メダル獲得という快挙を成し遂げました。小さくても勝てるための工夫。それを支えるチームプレイ。そういった戦術をわたしなりに分析し、解説します。5アウトのモーションオフェンスです。この記事が日本のバスケ指導に役立つことを願っています。...

こうなると、わたしとしては戦術的なルーツを学びたくなりまして、前回大会のリオオリンピックでの戦いぶりを、今回は解説したいと思います。あのときも素晴らしかったですからね。

当時のオフェンスシステムは、アタックモーションと名づけられました。ヘッドコーチは内海監督。

そのオフェンスシステムは、言うまでもなく2020東京オリンピックの土台となっています。

小さなチームで、走るバスケを追求したい方にはお役に立てる記事ですので、ぜひ最後までお読みください。

章ごとにYouTubeの動画があります。そちらも合わせてご覧ください。わたしの動画は、音声だけでも学べることを意識して作ってあります。なので聞き流しでもOKです。

アタックモーションのコンセプト

アタックモーションの考え方は、次の3つです。

  1. 速攻の流れで攻め切る
  2. ペイントアタック
  3. ビッグアドバンテージ

【1】速攻の流れで攻め切る

小さいチームなので、早く攻めよう。この考えは、誰もが持つと思います。

内海監督の話では、リオのオフェンス結果で

  • 半分が速攻、アーリー
  • もう半分がセット

だったそうです。

半分が速攻めという成果は、相当に高い数字なんです。練習でもことあるごとにアーリーを追求していたことでしょう。

その追求をしやすいように「アタックモーション」という名前をつけたはずです。

また、わたしが思うに、2020よりも2016の方がセンターを中心にオフェンスを組み立てているように感じます。

これは選手やコーチのメンバーが大幅に違うことが関係すると思いますが、あなたのチームにセンターがいて、それでも走るバスケをやりたいという場合、このアタックモーションの方が役に立つはずです。

トランジションについては、こちらの記事もどうぞ。

【バスケットボール】速攻 アーリーオフェンスの方法【バスケ戦術講座 第4回】試合のほとんどはハーフコートの攻防になるのがバスケなんですが、ときどき決まる「速攻」は、たんなる2点ではありません。 速攻の2点は勇気をくれます。チームが盛り上がり、試合の流れが大きく変わるのです。 戦術を考えるときは、ハーフコートばかりではなく、オールコートからまず考えていきましょう。 この記事を読めば、良い速攻のイメージがつかめるはず。...

【2】ペイントアタック

センターにせよ、ガードにせよ、インサイドを突破することが大事です。これをペイントアタックと言います。

ペイントアタックすれば

  1. ゴール下のシュートは高確率
  2. ファウルももらえる
  3. ディフェンスが収縮する

と言いことばかりです。

なので、できるだけ早くボールを進めて、ペイントアタックをしなさい。というのがアタックモーションの原点です。

【3】ビッグアドバンテージ

ペイントアタックをすれば、ディフェンスは放っておけないです。必ずヘルプに来ます。

そしたら、ヘルプに来た人のマークマンがフリーになります。この図で言えばコーナーの2です。

2は自分のマークマンが遠くに離れています。なので

  • シュートしたければできる
  • あわててディフェンスが来たら、ドライブで抜ける

という圧倒的に有利な状態です。これをアドバンテージと言います。

アドバンテージになれば、ディフェンスはローテーションするしかありません。つまり2を止めるにはX3が出てくるしかないのです。

そしたら、3がもっと大きなアドバンテージになっちゃいます。

こうやってビッグアドバンテージを作っていくことが、アタックモーションの狙いです。

こちらの記事もどうぞ。

アドバンテージを取る 【バスケ戦術講座 第12回】オフェンスをする上で、「アドバンテージ」という言葉を絶対に覚えておくべきです。アドバンテージは、オフェンスの方が有利な状況って意味で、具体的には「クローズアウト」を作るってことです。ただ攻めるのではなくて、「クローズアウトを発生させるぞ!」「アドバンテージを取るぞ!」という気持ちでオフェンスするかどうか。それだけでプレイがガラッと変わります。...

ドラッグスクリーン

では、具体的な戦術にいきましょう。

まず中心は、ドラッグスクリーンです。

ドラッグとは「引っ張る」という意味で、ポイントガードがドリブルでアタックしやすくするために、センターがスクリーンをするプレイになります。

ボール運びの早めの段階で、スクリーンをかけるのがコツです。

  • センターラインを超えて
  • 3ポイントラインの外
  • ここをポケットと呼ぶ

のですが、このポケットエリアでスクリーンします。

 

そして位置は、だいたいペイントの横辺くらいが目安です。

狙いはもちろん、1が直接ペイントアタックです。

チャンスがあれば5がダイブしてもいいでしょう。

これもペイントアタックになります。

ダイブすれば、もし5にパスが通らなくても、それだけでディフェンスを収縮させることができるからです。

こうなれば、サイドのシューター2がノーマークになります。

エキストラパス、なんて呼んだりますが、チャンスがあれば2から5のローポストにパスを入れることも可能です。ズドン!

あ、もちろん逆サイドの3にパスしてもいいですよ。どちらでもOKです。

ここで大事なことはリバウンドとセフティです。

3が打ったとします。

  1. 4と5は必ずリバウンド
  2. 逆サイドの2もリバウンド
  3. 1と3はセフティ

という形を作りましょう。

そうすると、リバウンドが取れやすくなるのはもちろん、ハリバックもしやすくなります。

そのあたりはこちらも記事もぜひどうぞ。

リバウンド、ルーズボールを取るために大切なこと 【バスケ戦術講座 第8回リバウンド、ルーズボールはディフェンスの「出口」です。いくらディフェンスをがんばっても、最後の出口がちゃんとできないと、すべてがムダになります。リバウンドとルーズボールの取り方のコツ、また練習方法を紹介します。...

ダブルドラッグ

先ほどお話しした、ドラッグスクリーンとほぼ同じです。

ただし「ダブル」なので、このように2人がスクリーンします。

かける位置は、ペイントのラインと、リングの正面が目安です。

ドリブルをしたら

5がダイブ、4がポップとたがい違いに動きましょう。

こうすると5と3にパスが出せるのはもちろん、ポップの4にもパスができます。

4の3ポイントも打てるし、4と5のハイローとか、いろいろできます。

スタガード

ドラッグスクリーンは、「センターが速攻の先頭を走らない」というのが前提でした。

しかし、理想の速攻はむしろ「センターが速攻の先頭を行く」です。これをリムランといいます。

相手が戻るのが遅ければ、リバウンドを取らなかったセンターはリムランをしましょう。直接パスが通れば、イージーシュートでおしまいです。

そして、ここにパスが通せなければ、2にパスをしてスタガードというプレイに移ります。

まず2にパスして、1はカット。

トレーラーの4が来て、5といっしょにスタガードスクリーン(時差スクリーン)をセットします。

これを使って3がカールカット。パスが通ればレイアップです。

ここにパスが通らなければ、1が上がりましょう。

スペースを取るために、2ヶ所でフレアースクリーンします。ちょっと複雑ですが、がんばってついて来てくださいww

そして5が1にピックします。

この上の図を見るとわかりやすいですが、アタックモーションでは常に4アウト1インを保つことが大切です。

先ほどのフレアスクリーンは、そのための意味もあるんです。

もちろん、フレアーにパスができたら、してもOKです。

フレアーからスリップ、なんていうプレイも、ちゃんと狙いましょう。

スタガードの使い方

スタガードの使い方も、ちょっと深掘りすると、いくつかあります。

まず基本はカールカット。

この間を抜けるギャグルという方法もあります。

スクリーンを使わない、バックカットも狙いましょう。

最後はフェイド。遠ざかるようにしてディフェンスの裏をかくもらい方です。

1つ注意点は、フェイドの時はパスの距離が長すぎるので、ドリブルで上がった方がいいってことです。

 

ドリブルハンドオフ

続いてのプレイ。これも最初はリムランから始めます。

パスを出せば先ほどのスタガードになりますが、今度はドリブルで進みます。

同時に、4はポケットエリアまで移動。

2は1のドリブルハンドオフでパスをもらって、4のピックを使います。

5はスペースを取るために逃げましょう。

ピック&ダイブで4がペイントアタックします。

そうしたら、5は3にフレアースクリーン。あくまで4アウト1インを保つようにしてください。

ハンドオフからピックを使ってドリブルするときは、ペイントアタックを狙いましょう。

最低限でも、エルボーの部分は踏むようにドライブです。

もちろん、フレアーにパスできたら飛ばしましょう。

フレアースクリーンした後、5がスリップすることもできます。

このときは4のダイブと5のスリップが重なっちゃいますね。

なので、ボールを優先して、4がリフトしてあげてください。

あくまでスペースは4アウト1インです。

意外と使える「キープ」

すごく単純なんですけど、かなり使えるプレイがこの「キープ」です。

  1. ドリブルする
  2. ハンドオフ、と見せかけて
  3. そのままドライブ

というのがキープ。パスしないでボールをキープし続けるって意味です。

図で書くとメチャクチャ単純なんですが、これがけっこう効きます。

ドリブルハンドオフだけでなく、すべての手渡しパスで使えますので、ぜひ覚えておきましょう。

 

トレイル

先ほどのドリブルハンドオフと、ほとんど同じプレイです。

今度はパスしてそのボールを追いかける(トレイル)になります。

1がここまでボールを運びました。

4にパスをして、すぐトレイル。

で、逆サイドでドリブルハンドオフをやります。

わざとトレイルして逆サイドから始めることで、ディフェンスをゆさぶることができます

どんなオフェンスでも、ボールを逆サイドに飛ばすことは、効果的ですよね。

もし、トレイルを狙っていながら、パスが出せなければ、グルーッとドリブルで行っちゃいましょう。

ピックしたら4はダイブしますが、それに合わせて5はリフト。あくまで4アウト1インのスペースを忘れずに。

5に飛ばしてからハイローもできるかもしれません。

チェイス

最後はチェイスです。これはドリブルハンドオフの裏のプレイみたいなものですね。

まずドリブルで進みます。ここまでは同じ。

1がフリースローラインの高さに来たら、チェイスの始まりです。

2が5にバックスクリーンをかけて、インサイドに飛び込ませます。

入ったらズドンとパスを入れて、イージーバスケットです。

スクリーン後にポップした2にパスをつなぎます。

ここにはかんたんにつなげるはず。

タイミングを合わせて4が2にピックです。

1はスペースを取るために、コーナーに広がります。

4がダイブ、5がリフト。こうして4アウトを保ちます。

 

5がつないでハイローも狙えますね。アタックモーションお得意のパターンです。

参考文献

以上が、2016年リオオリンピックでのアタックモーションです。

少し複雑なところもあったと思います。でも

  • 走るチームを目指したい
  • センターを生かしたい
  • オンボールスクリーンで攻めたい

というあなたには、すごく使えるアイデアがたくさんあります。

この記事をくり返し見て、また動画もチェックして、ぜひ覚えてください。

ちなみに参考文献はこのDVDです。

内海監督の細かな指導がわかりやすいので、深く学びたい方はぜひどうぞ。

 

ABOUT ME
三原学
三原学(みはらまなぶ)。1981年東京都生まれ。安田学園中学校高等学校教諭。同校高校男子バスケットボール部ヘッドコーチ。「ボトムアップ思考」による選手主体のチームづくりを目指す。また、YouTubeやブログでわかりやすく戦術を解説する「バスケの大学」を運営。日本バスケットボール協会公認B級コーチ、B級審判員。早稲田大学大学院修士課程(人間科学)修了。
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