こんにちは、三原です。
今回は「UCLAカットを完全解説 【バスケのセットオフェンス】」というお話です。
この記事を読むメリット
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「UCLAカット」という言葉、聴いたことありますか?
ある!という人、多いと思います。
そもそも「UCLA」とは何か?
- アメリカ・ロサンゼルスにある大学
- カリフォルニア大学ロサンゼルス校のこと
- 英語だとUniversity of California, Los Angeles
- 頭文字をとってUCLA
この大学、バスケの超名門校なんです。
- 歴代最多11回の全米制覇
- 1960~70年代に7連覇
- 最近だとウエストブルック、ケビンラブが卒業生
というチームです。
その中で「ジョン・ウッデン」というコーチがいます。
- 20世紀で最も偉大なスポーツ指導者
と言われた人物です。
このジョン・ウッデンの功績はたくさんあります。
そのひとつが「UCLAカット」の考案です。
UCLAカットとは?
UCLAカットとは、次のような動きです。
- #1が#2にパス。
- #5が#1にバックスクリーン。
- #1または#5にパス。
これの何がいいのか?
それは「簡単にハイポストにパスが入る」ということです。
ハイポストにパスが入るメリットは
- コートの中央なので
- 360度、オフェンスを展開できる
- シュートにもパスにも最適
つまり「オフェンスにとって最高の場所」
それがコートのまん中、ハイポストなのです。
そんな最高の場所、ディフェンスが警戒しないわけないじゃないですか!
ふつうにパスを回しているだけでは、ハイポストになかなかパスできないものなんです。
ところが「UCLAカット」を使えば、
- ゴール下にノーマークができる
- 最低限、ハイポストにパスできる
という良いことしか起きないのです。
素晴らしくないですか?
UCLAカットが止められない理由
UCLAカットは詳しく言えば、
- #1のポイントガードに
- #5のセンターが
- バックスクリーン
ということです。
この動きのすぐれた部分は3つあります。
- 一番引っかかりやすいバックスクリーン
- ポイントガードがロ―ポストで1対1できる
- スクリーナーはパスがもらいやすい
(1)一番引っかかりやすいバックスクリーン
スクリーンが引っかかるポイントは、たったひとつです。
ディフェンスが自分の正面にいること。
これだけです。
下の図は、ディフェンスが#1の正面にいるので、かかります。
次の図は、ディフェンスが自分の正面にいません。
#1の横にいます。
こうなると、スクリーンはかわされます。
では、手っ取り早くディフェンスを正面に持ってくる方法は何か?
それは「ボールを持つこと」です。
ボールを持てば、無条件に正面に入りますよね。
だから
- さっきまでボールを持っていた人に
- パスした直後に
- バックスクリーン
この動きが最高に引っかかるスクリーンなわけです。
(2)ポイントガードがロ―ポストで1対1できる
UCLAカットのスクリーンが完全にかかれば
ゴール下でノーマーク、レイアップシュートになります。
もしこうならなくても、
- #1はそのままローポストで1対1ができます。
- #1はポイントガードです。
ふつう、ポイントガードはローポストで1対1しません。
ふつうはセンターですよね。やるの。
だから相手チームのポイントガードは、
ローポスト1対1のディフェンスに不慣れなはずです。
そこで逆に、あなたのチームはガードにローポストで攻める練習をしておく。
するとそれだけで簡単に点数が取れるようになります。
(3)スクリーナーはパスがもらいやすい
これはどの場所でも言えますが、
- バックスクリーンすると
- ユーザーより
- スクリーナーのほうが
- パスをもらいやすい
図で言えば#1より#5がパスもらえる、ということです。
どうしてもディフェンスが#1の方を警戒するからです。
そうすると、前に言ったようにハイポストに簡単にパスが入るということになります。
- オフェンスにとって最高の位置、ハイポスト
- ディフェンスはふつう警戒する
- そこに簡単にパスが入る
というこの計画性。さすが伝説の男、ジョン・ウッデンですよね。
以上が「UCLAカット」の完全解説です。
UCLAカットを含めたセットオフェンス全体を解説したブログとかはけっこう多いのですが、
- UCLAカットそのものの
- 何が優れているのか
それを解説したのはわたしが日本で初めてだと思います。
5人でのUCLAオフェンス
さて、5人でのセットプレイを紹介します。
UCLAカットは、これから解説するオフェンスの1部分なのです。
- #1が#3にパス
- #5のスクリーンを使って
- #1がゴールに向かってカット
これがUCLAカットってやつです。
続けて
- #5にパス
- #4がロ―ポストアップ
- #2が45度に広がる
というようにします。
さらに、これと同時に
- #3が#1にスクリーン
- #1が45度に広がる
- #3がロ―ポスト
ということです。
こうなると、最終型として
- #1、#2が45度
- #3、#4、#5がハイとロ―ポスト
となります。
そして、ここからが大事なのですが、
コンティニュティ(continuity)と言って
次のような動きになるのです。
- #1にボールがあれば
- #3はローポストで面取り
- #5は#4にダウンスクリーン
というオフェンスをします。
- #5は#4にダウンスクリーンすると、
- #3のローポストでの1対1にヘルプが行けません
- さらに#4がハイポストでノーマークになる
つまり、
どちらにしても確率の高いシュートで終わる
という優れたオフェンスなのです。
もちろん、これでシュートに行けなければ
- #4から逆サイドにパス
- #2がボール
- #5がロ―ポストアップ
- 逆サイドはダウンスクリーン
という攻撃を「くり返す(コンティニュティ)」わけです。
つまりUCLAオフェンスとは
- コンティニュティが目的
- その導入として
- UCLAカットから入る
というオフェンスなのです。
UCLAのオフェンスはとても有名ですが、
「コンティニュティが目的」ということは、ほとんどの人が理解していないことです。
それだけでもこの記事は有益じゃないかな、と思っています。
動画ではもう少し詳しく解説しています。
どうぞ併せてご覧ください。
その他のオプションプレイ
今回は、下の図のような状況からオフェンスのスタートです。
- #3、#5にパスできない
- しかたなく
- 逆サイドの#2にパスした
このパスのあとは、ちょっと複雑なんですが
- #3は逆サイドへカット
- ボールは#4まで展開
- #2は#4から手渡しパスを受ける
- #5は移動
- #4は手渡しパスをした後
- #5のスクリーンを使ってカット
このスクリーンは「さっきまでボールを持っていた人にバックスクリーン」なので、めちゃめちゃ引っかかります。
- #4にパスが入らなければ
- #5にパスして
- #1は45度へ
この形から、コンティニュティに入ります。
ボールを逆サイドに飛ばしたときのエントリーです。
特にバックスクリーンが引っかかります。
とても使えるプレイです。
続いて、下の図のような状況
- #2にもパスできない
- どこにもパスできない
こういう時です。困りましたね。
こんな時は、こうすれば解決です。
- #4がハイポストにフラッシュ
- #1がバウンドパス
- #2がバックドアに走りこむ
このプレイは「ブラインドピッグ」と言われています。
直訳すると「盲目の豚」です。
誰が何でこんな名前つけたのかわかりませんが「裏を突く」ってことだと思います。
ブラインドピッグをしてもシュートにつながらないときは、
- #1は#4から手渡しパスをもらう
- #5、#3がダブルスクリーンをセット
- #4は#1に手渡しパスか
- ダブルスクリーンを使った#2
- どちらかにパス
- 狙いはもちろん「即シュート」です
- #2にパスしたら
- #1は45度に上がる
- #2がボールを持つと同時に
- #3はハイポストに上がる
- #4はローポストに下がる
この動きをすると、
- #3が通過した瞬間に
- #5の目の前がぽっかり空くので
- #5のローポストにパスが入りやすい
ロ―ポストに入れるためにとても計算されたプレイです。
この形まで行って、コンティニュティです。
いかがでしたでしょうか?
UCLAオフェンスは「UCLAカット」の一部分だけが有名ですが、全体を見てみると、かなり計算されたセットオフェンスなことがわかります。
計算されつくしているだけに、中高生には難しいかもしれません。
わたしが一番感じるのは、これを考えたジョン・ウッデンの「こだわり」です。
選手の適材適所を考え、全員が均等にボールを持てるオフェンスを考案した。
この勝利への執念と賢さ。
指導者にはこだわりが大事。
そんなことをこのオフェンスから、わたしは感じました。
動画ではもう少し詳しく解説しています。
最後までお読みくださり感謝しています。
三原学でした。それでは、また。
記事を最後までお読みくださり、感謝しています!
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