オフェンス

セント・ジョセフ大学に学ぶ最新バスケ戦術 「ポジションレス」バスケを解説!

こんにちは、三原です。

今日は海外の情報をあなたにお届けします。

セント・ジョセフ大学の最新バスケ戦術です。

  • 自分のチームに新しい戦術を採り入れたい。
  • 得点力をアップしたい。
  • オフェンスがうまくなる練習方法を知りたい。

そんなあなたはぜひ最後までこの記事を読んでください。

動画の方がわかりやすいという方はYouTubeをどうぞ。全3回のシリーズです。

動画では実際のプレイも映像で見ることができます。なので1回目はガッチリと画面を見てみてください。

そしてその後は、音声を聞き流すだけでも学習効果があります。なので、ぜひくり返し聞き流してください。

 

セント・ジョセフ大学に学ぶ最新バスケ戦術

セント・ジョセフ大学は、アメリカのNCAAデビジョン3に所属するチームです。

現在の全米で最もオフェンスのうまいチームとして注目を浴びているのです。

しかし、このチームはずっとオフェンスがうまかったわけではありません。

2017−18年のシーズンは、1回のオフェンスあたりの得点は0.87点でした。これは決して高いわけではありません。

当時はどこのチームもやっているピック&ロールを多用した戦術をやっていました。

しかし、2018−19シーズン、その得点力を1.06まで向上させます。

さらに3Pの成功率が全米No1として表彰されたそうです。

もちろん、この数値の変化は、たまたまではありません。

ガラッと戦術を変えたんです。

戦術の原則はこの4つ

では、何をやったのか?それが気になりますよね。

セントジョセフ大学の戦術は、次の4つが原則です。

  1. セットプレイなし
  2. ピック&ロールなし
  3. ドリブルハンドオフなし
  4. パターンなし

現代のバスケは、5人の役割をはっきりとわけて、ピック&ロールで得点を取るのが一般的です。

それと比較すると、正反対の戦術といえるでしょう。おもしろいですよね。

このプレイのメリット

このプレイの最大のメリットは「ポジションレス」です。

ある特定のポジションを極めるのではなく、全員がアウトサイドもインサイドもプレイすることを求められます。

ということは、チーム全員がファンダメンタルを身につけることができるのです。

しかも、大学生以下のチームでも機能します。むしろ、高校生以下の育成年代こそ、オールラウンドなプレイを身につけられるので最適です。

6つのプレイ原則

では、これから戦術を具体的に紹介しますが、6つのプレイから成り立っています。

  1. 5アウト
  2. ポジションレス
  3. パス&カット
  4. サークルムーブ
  5. プレイメイカースポット
  6. ドリブルアット

これら6つのプレイが組み合わさったフリーオフェンスだと、まずは理解してください。

プレイの名称が読んだだけだとわからないと思いますが、大丈夫です!

では、1つずつわかりやすく説明します。

5アウト

まず、基本のスペースは5アウトにします。

インサイドを広く空けておくことで、ドライブやカットをしやすくするためです。

バスケは「行きたいところは空けておけ」が合言葉ですからね。

インサイドに立つならダンカースポットに

誰か1人はインサイドに固定したい場合は4アウト1インにしましょう。

また、5アウトでやっていても、動きの中で1人はインサイドに立つことがよくあります。

この戦術ではポストに立つのではなく、ダンカースポットと呼ばれる場所に立ちます。

制限区域の1歩外側です。

この動画がわかりやすいですね。

ポジションレス

次はポジションレス。

5アウトの立ち位置は、誰がどこでもいいという意味です。

  • センターだから下
  • ガードだから上

こういうことにとらわれないで、全員がどこにでも行きましょう。

  • センターもトップに
  • ガードもダンカースポットに

動きの流れで、どこでもプレイしましょう。

ロングドライブ

センターがリバウドを取ったら、ふつうはガードに渡しますね。

でも、この戦術はポジションレスなので、センターもできたらドリブルで運んじゃいましょう。

リバウンドを取ってそのままドリブルで直進することを、わたしはロングドライブと呼んでいます。

センターのディフェンスはボールマンにつくのが苦手なことが多いので、センターがドリブルできることはとっても大きなプラスになりますよ。

パス&カット

さて次のルールはパス&カット。

これは単純に、パスしたら必ず走りましょうということです。

リターンパスをもらうつもりでビュンと走れば、ディフェンスがついてきます。

するとスペースが空くので、1対1もしやすいし、パスも通りやすいということです。

パスしたら止まらないようにしましょう。

サークルカット

これはドライブへの合わせ方です。

  • 右のドライブには、右にずれる
  • 左のドライブには、左にずれる

というシンプルな約束事です。

わたしはうずまきに合わせるとイメージしています。

具体的には、こんな形の合わせになります。

こう合わせると、アウトサイドがオープンになるのはもちろんですが、ゴール下にパスが通ることも多く生まれます。

ドライブが始まったら必ずサークルに動きましょう。

プレイメイカースポット

いわゆるショートコーナーの位置を、プレイメイカースポットと呼びます。

なぜこう呼ぶかというと、ここにボールが入ると、アシストパスがしやすいからです。

たとえば、パスをした後にカッティングをするプレイ。ディフェンスは自分の背後にボールがあるので、見失いやすく、パスが通りやすいんです。

また、カバーが寄ったときにアウトサイドにアシストすることもできます。

そして、インサイドに入りすぎないこのポジションは、リングに正対して攻めることができるので、背が低くてもインサイドプレイをすることができます。

高い位置ばかりでボールを回すのではなく、どんどんプレイメイカースポットにボールを落としましょう。

ドリブルアット

最後はドリブルアット。これは自分にドリブルが向かってくるプレイを指します。

このとき、ふつうはハンドオフします。

でもこの戦術ではハンドオフは禁止ですから、どうするか?

それは必ずバックドアに抜けるという約束にするのです。

相手はハンドオフと思い込んでディフェンスすることも多いので、きれいにバックドアが決まることがよくあります。

練習方法を紹介します。

さて、以上が戦術のコンセプトです。

ここまで読んだあなたは「じゃあどういう練習すればいいんだ?」とお考えですね?

ちゃんとそれもご案内しますよ!

  1. 3対0
  2. 3対3ドリブルなし
  3. アドバンテージドリル
  4. 5対5

この順でやっていけばOKです!

まずは3対0から始める

まずは3対0の空動きからやりましょう。

ディフェンスをつけないで、オフェンスだけが動く練習です。

  • パスしてカット
  • スペースを保つ
  • ボールを持ったらリングを見る

このへんの基礎を身につける練習です。

パス&カットで動いた後、三角形が崩れないように、注意しましょう。

3対3ドリブルなし

3対0での動きがスムーズになったら、それにディフェンスをつけます。

まずはドリブルを禁止します。

ドリブルを禁止することで、得られるメリットはこちら。

  • オフボールがボールをもらうために動く
  • ボールマンにキープ力がつく
  • 体力もつく

かなりハードな練習になりますが、とても効果的です。

もちろん、ディフェンスも本気でやりましょう!

3対3、ワンドリブルOK

ドリブルなしをしばらくやったら、ワンドリブルだけOKにします。

こうすると本当に必要なときだけドリブルを使うことを覚えます。

  • シュート構えた
  • ディフェンスが出てきた
  • ワンドリブルでかわす

みたいなプレイが出てくるのです。

ワンドリブルのあとはツードリブルOKにしてもおもしろいです。

2ドリブルできると1対1のチャンスがあれば抜いていく意識が高まります。

このように限定的にドリブルを使わせる設定をする練習は、すごく効果があります。コーチの腕の見せどころですね。

アドバンテージドリル

最後はアドバンテージドリル。

これは「合わせ」の練習ですね。

下の図の2に注目しましょう。

ディフェンスが真横に立っています。抜けてる状況です。

わざと抜けてる状況にして、ドリルをスタートします。

  • 2がドライブを始めたら
  • ディフェンスはローテーション
  • オフェンスはサークルカット

こういう練習です。

オフェンスはドライブに合わせて動き、数的優位があればパスをパッとさばきましょう。

そして、ディフェンスが間に合わないうちにシュートします。

状況判断の練習です。

これらのドリルを使いながら、5対5をやっていくと、自然といいプレイができるようになります。

ポジションレスバスケのデメリット

今まで紹介した戦術はすばらしいです。

特に育成年代には最適でしょう。

しかし、すべてのものごとは両面ありますから、これにもデメリットがあります。

わたしが考えるのはこの3つ。

  1. インサイドプレイが育ちにくい
  2. フリーなので、はじめはごちゃごちゃする
  3. 指導に時間がかかる

5アウトなので、全員がリングに正対してプレイすることが多くなります。

なので背の高い選手がいても、ポストプレイは少なくなりますね。

それと、コーチが動きをガチッと決めないので、最初はぐちゃぐちゃになり、プレイヤー同士の息が合うまでには時間がかかります。

即効性のある指導法ではないです。

このあたりを自覚した上で、ぜひあなたのチームでも取り組んでみてください。

デメリットを余りあるほどのメリットがある戦術だと思います。

参考文献

この記事は「coach Daniel」さんのYouTubeチャンネルを参考にしています。

英語なので、わたしの解釈も含めて、日本語にしてみました。

原文はこちらです。

 

さらに、わたしの持論の含めて、5アウトのモーションオフェンスは1冊の本にまとめています。

スマホで読める電子書籍です。Kindle unlimited会員の方は永久で無料に読めます。

もしよかったらこちらもどうぞ。

 

 

 

 

ABOUT ME
三原学
1981年、東京都生まれ。早稲田大学大学院卒。学生時代にマネージャーとなり、バスケ指導者を志す。 22歳から高校バスケ指導を始めて、早稲田実業高校ではウインターカップ出場、関東新人大会優勝。現在は母校の安田学園高校で監督を務める。選手が主役のチーム作り「ボトムアップ理論®︎」により、日本の部活動モデル校を目指している。 2024年から早稲田大学男子バスケットボール部のヘッドコーチも務める 日々学んでいる指導体験をブログやYouTube「バスケの大学」で発信して、総フォロワーは30,000人を超える。 日本バスケットボール協会公認A級コーチ、ジュニアエキスパートコーチ。ボトムアップ理論®︎エキスパートコーチ。 月刊バスケットボールにて「まんが戦術事典」を連載中。著書多数。
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