戦術講座

ディレイ・オフェンス 【バスケ戦術講座 第26回】

こんにちは、三原です。

最近、NBAとかで「ディレイ」という戦術が流行っています。

ディレイは「遅れる」って意味で、センターがわざと遅れてオフェンスに参加し、インサイドに入らないセットのことです。

センターが中に入らないことで、ゴール下のスペースを広げる狙いがあります。

そんなディレイセットをわかりやすくお伝えします。

YouTubeでも解説をしています。この文章はそのレジュメです。

音声だけでも学べるので、聞き流しでもぜひどうぞ!

ディレイの目的はスペーシング

ふつう、センターはゴール下にポジションを取ります。

ポストアップして、ディフェンスを引きつけるためです。

もちろんこれは、今も昔も有効です。戦術の基礎です。

ただし、ディレイはこの戦術とは真逆の発想になります。

  1. センターが中に入らない
  2. 相手のセンターも中に入ってこない
  3. だからガードがカットインできる

という考え方です。

こんなふうに図で見ると、インサイドに誰もいないことがよくわかりますね。

そして具体的なアクションとしては

  1. シカゴ
  2. ピストル

という2つが代表的です。

シカゴ

その名の通り、シカゴブルズが愛用したことで有名になったセットです。

5がセンターで、トップにいます。

  1. 5がドリブル
  2. 4が2にダウンスクリーン
  3. 2がボールをもらう

という流れでピック&ロールに入ります。

逆サイドは広がっていてもいいし、図のようにダウンスクリーンしてもOKです。

バックドアもできます。

次のツイートの動画を見ると、シカゴのすべてがわかりますよ。

 

ピストル(21)

ピストルオフェンス。または「21」と呼ばれます。

一瞬で仕留めるからピストル。

21は2番(シューティングガード)と1番(ポイントガード)のスクリーンからオフェンスが始まるから、21です。

やり方は次の通り。

  1. 2が1にスクリーン
  2. 5が2にフレアスクリーン
  3. 1と5でピックアンドロール

なるべく時間をかけずに、速攻の流れのままシュートまで持っていく戦術です。

センターのスキルが重要

ということで、センターがあえて中に入らないディレイセットの紹介でした。

いうまでもなく、ポイントになるのはセンターのスキルです。

ナゲッツのヨキッチとか。うーん、うまい。

最近はオールラウンド化を目指した指導が大事で、ビッグマンでもアウトサイドのスキルを身につけさせましょうという意見が多いですね。

それをすると具体的には、こんな戦術が可能になるよ。というお話が、このディレイセットでした。

あなたのお役に立てば幸いです。

ABOUT ME
三原学
1981年、東京都生まれ。早稲田大学大学院卒。学生時代にマネージャーとなり、バスケ指導者を志す。 22歳から高校バスケ指導を始めて、早稲田実業高校ではウインターカップ出場、関東新人大会優勝。現在は母校の安田学園高校で監督を務める。選手が主役のチーム作り「ボトムアップ理論®︎」により、日本の部活動モデル校を目指している。 2024年から早稲田大学男子バスケットボール部のヘッドコーチも務める 日々学んでいる指導体験をブログやYouTube「バスケの大学」で発信して、総フォロワーは30,000人を超える。 日本バスケットボール協会公認A級コーチ、ジュニアエキスパートコーチ。ボトムアップ理論®︎エキスパートコーチ。 月刊バスケットボールにて「まんが戦術事典」を連載中。著書多数。
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