こんにちは、三原です。
若い先生はご存じないかもしれませんが、吉井四郎さんという伝説のコーチがいます。
日本バスケ界のコーチングの歴史をつくった方です。
1964年、東京オリンピックの男子代表チームの監督でもあった吉井先生は、数多くの著書を出されています。
その集大成といえる本が「私の信じたバスケットボール」という本なのですが、これは日本バスケ史上最高の1冊です。
その名著には、次のように書かれた一文があります。
私は、数多くのドリルを創案してきたが、この「ボールキープドリル」は、最高傑作として自画自賛できるものである。
吉井式バスケットボールがあるとすれば、これこそが吉井式バスケットボールであると言いたい。指導によってプレーヤーの生来の素質以上にスケールの大きいプレイヤーに発達させることができるのは、これらのドリルの使用を除いてほとんど不可能であるとさえ感じている。
もし、チームの素材以上の成績をあげようと考えるならば、だまされたと思って試みてほしい。それは、必ず試みるだけの価値あるドリルであることを私は保証する。
わたしはこの本を大学4年生のときにはじめて読んでから、今まで何度読んだかわかりません。
そして実際に、ボールキープドリルを10年以上指導してきました。これは必ず試す価値のあるドリルだと、わたしも保証します。
YouTubeでも解説しています。
そちらの方が、わかりやすいかもしれません。ぜひ見てみてください。
ドリブルなしの2対2です
では、実際にボールキープドリルとは何かを説明します。
これ、結局は「ドリブルなしの2対2」なんです。
ただし、何となくやるんじゃなくて、以下の2つのドリルをやります。
- シェービングドリル
- パッシングダウン
シェービングドリルは、制限区域を使って、ストップ、ピボット、ドリブルをする練習です。
そして、パッシングダウンは、オールコートを使った2対2です。ただし、ドリブルを禁止して行います。
強さの秘訣は脚力にあり
具体的に練習方法を紹介する前に、大前提として、この言葉を覚えておきましょう。
強さの秘訣は脚力にあり
もちろん、これも吉井四郎さんの言葉です。
1964年、東京五輪の日本代表監督は吉井四郎さん。理詰の戦術家として知られた吉井さんは、バスケ指導の極意をこう結論づけました。
「強さの秘訣は脚力にある」
レベルが上がるほど、技術の差はなくなる。その上で差がつくのは体力。中でも走る、止まるの「脚力」だ。
時代を超えた金言です。
— 三原まなぶ🏀バスケの大学 (@coach_manabu) August 11, 2020
バスケットボールは細かいボールの技術も大切ですが、勝敗を分けるのは「脚力」である。
- 走って、止まる
- 止まって、走る
- ターン、ピボットする
という床を踏みしめる力の強さが、すべての競り合いの勝敗を決める。
そういう意味です。
だから練習では、どんなドリルをしていても、そこに必ず「脚力強化」がプラスされなければ、バスケットボールの練習にはならない。そんなことも吉井先生は言っています。
そしてボールキープドリルは、脚力をつける最高のドリルです。
ようするに、キツいです。
というか、自分で脚に負荷をかけて、自分でキツくするんです。
それがボールキープドリルのポイントだと、最初に抑えておきましょう。
シェービングドリル
では、まずシェービングドリルですね。
制限区域の下に並びます。
そしてボールに向かってダッシュして、キャッチ。
ターンをして、ドリブルで出発地点に戻ります。
たったこれだけなんですが、もらい方は6種類あります。
- 前向きストップ、前回り(ストライドストップ)
- 前向きストップ、後ろ回り
- 後ろ向きストップ、前回り
- 後ろ向きストップ、後ろ回り
- 外足、前向き(片足のジャンプストップ)
- 外足、後ろ向き
この6つです。
1つずつ、動画を見てください。
①前向きストップ、前回り
②前向きストップ、後ろ回り
③後ろ向きストップ、前回り
④後ろ向きストップ、後ろ回り
⑤外足、前向き
⑥外足、後ろ向き
ピボットを2回練習することになりますが、行きと帰りで逆の足が練習できることに注目してください。
たとえば、最初が右足軸なら、ドリブルを終えて、止まった時は左足が今度は軸になるってことです。
メリットとデメリット
この6種類のピボットで、試合中のすべての動きに対応できます。
メリットとデメリットをまとめておきますと、
前向きストップ、前回りなど「前」は、
- リングを向いて、視野が保てる
- ディフェンスにボールを触られやすい
後ろ向きストップ、後ろ回りなど「後ろ」は、
- ボールを背中で守れる
- 視野が失われる
という相反する意味があります。
また、ストライドストップ(2拍子)とジャンプストップ(1拍子)は、
- 2拍子は止まるのが遅く、次の動き出しが早い
- 1拍子は止まるのが早く、次の動き出しが遅い
という相反するものになっています。
これらを使い分けることが、プレイの幅を広くします。
そして、脚力の向上にも最高のドリルです。
慣れたらディフェンスをつける
最初はゆっくりとステップを覚えるだけでOKです。
そのあと、慣れてきたらディフェンスをつけましょう。
要は、制限区域の周りで、延々と2対2をする。これがシェービングドリルです。
かなりハードな練習になりますが、
- バスケットボールらしい動き
- 強い脚力
これを身につける最高のドリルです。
パッシングダウン
シェービングドリルができたら、ドリブルなしの2対2をやりましょう。
これはやり方がどう、というよりは、「まずやってみる」という方がいいですね。
- ドリブルがないので
- パスをして走る
- ディフェンスを振り切って、もらう
とにかくこのくり返しになります。
動きの例としては、こんな感じになります。
この図はハーフで書いていますが、慣れてきたらオールコートでやるといいです。
ディフェンスもハードにプレイしましょう。
そして、レイアップになるまで、動いて動いて攻めるのです。
パスミスが起きたら、だいたいの原因はピボットが踏めてないことにあります。
なので、そのときはシェービングドリルでやったピボットがちゃんとできているか、確認しながら進めてください。
50年前に書かれた吉井四郎さんの本を読んでいます。吉井さんは1964年、東京オリンピック日本代表監督です。吉井さんはピボットの重要性を説くコーチでした。今ではゼロステップもあり軽視されがちですが、わたしはピボットこそナイスプレーの基礎だと信じてます☺️🏀 pic.twitter.com/QtH97NXRqk
— 三原まなぶ🏀バスケの大学 (@coach_manabu) May 3, 2020
シュート以外のすべての技術が伸びます
シェービングとパッシングダウン。
吉井先生のボールキープドリルは、この2つが中心です。
- ディフェンスを振り切る
- パスをつなぐ
- ミスをしない
こういったシュート以外のすべての技術が鍛えられます。
さらには「脚力」も向上しますので、ディフェンスもよくなります。
最初に紹介したように、このドリルはだまされたと思って試してみる価値があります。
その効果は、わたしが保証します。
私の信じたバスケットボール
この記事の参考文献はこちらです。
わたしが最も学んだ1冊ですね。
記事を最後までお読みくださり、感謝しています!
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