こんにちは、三原です。
プリンストンオフェンス。
- バスケ界最大の謎
- 賢者は強者に勝る
こういわれる、超有名なオフェンスです。
世界中の高校、大学、プロのチームが、過去数十年間、プリンストンオフェンスで成功しました。
そのやり方を、とてもわかりやすく解説します。
バスケ指導者の方は、ぜひお読みください。
YouTubeでも解説しています。
音声だけ聞き流しても学べるので、お気軽に見てみてください。
まずは実際の動画を見てみましょう。
第1シード、UCLAを破った伝説の試合です。
こちらはハイライトですが、ジョージタウンを最後まで追いつめた試合。
このオフェンスシステムの基礎が、この記事で学べます。
プリンストン=バックドアオフェンス
最近、センターがアウトサイドに出てプレイするオフェンスが増えてきました。
理由は、センターが器用になり、パスがうまくなったからです。
速攻を成功させる3要素
1️⃣リバウンドを取る
2️⃣ファーストパスが速い
3️⃣ファーストパスが長いセルビア出身のヨキッチほどパスがうまいセンターはいないですね。
・ボールをもったらリング見る
・パスできるときはドリブルするなという基礎が完ぺきにできてます☺️🏀
pic.twitter.com/G4ccFxS0Fo— 三原まなぶ🏀バスケの大学 (@coach_manabu) July 26, 2020
ゴール下のシュートやリバウンドだけでなく、パスを出すことで、オフェンスパターンの幅が広がります。
それが最近の流行りですが、この考え方で昔からプレイしていた大学がプリンストン大学です。
バックドアでゴール下を攻める
プリンストンオフェンスとは、別名バックドアオフェンスです。
ディフェンスのスキをついて、ゴール下に走り込むプレイ。それがバックドアですね。
ボールサイドのハンドオフから攻めると見せて、実は逆サイドのバックドア。ミニバスからNBAまで、バスケはけっきょくのところ「だましあい」ですね。うーん、おもしろい。
pic.twitter.com/KN5qvwSr7k— 三原まなぶ🏀バスケの大学 (@coach_manabu) October 26, 2020
バスケはゴール下の方がシュート確率が高いので、当たり前のことですが、ゴール下のシュートが多ければ多いほど勝ちます。
そしてゴール下のシュートにはいろんなやり方がありますが、運動能力によるところが大きいのも事実。
ポストプレイをするにはやっぱり身長が必要です。
ドリブルでドライブするには、技術とスピードがいります。
でも、バックドアは能力が関係ない!
練習さえすれば、バックドアは誰でもできるんです。
ここがプリンストンオフェンスの大事なところです。
とても思想が好きです
プリンストンオフェンスの考案者は、ピートキャリルさん。
バスケ界屈指の名監督です。
Princeton coach Pete Carril always pushed for 3-pointers. The NBA is finally listening https://t.co/01jBMZ2KYY via @WSJ pic.twitter.com/UQVpS4KBNP
— Chris Oliver (@BBallImmersion) March 8, 2017
わたしはプリンストンオフェンスの動き方そのものというより、その思想が好きです。
- 個人よりも組織で勝つ
- 能力よりも練習で勝つ
プレイそのものは、コーチの好みがあるので、プリンストンオフェンスをそっくり真似できないかもしれません。
でもこの考え方は、ぜひ取り入れるべきだと思います。
ルールはシンプルで2つだけ
具体的なプレイの解説の前に、おさえておきたいのは「ルール」です。
プリンストンオフェンスのルールは、たった2つ。
- 味方の動きをよく見て、連動しなさい
- ディフェンスが激しければ、バックドアに抜けなさい
スペーシングを保ち、パスを回す。
そしてディフェンスががんばったら、バックドア。
これがルールです。覚えておきましょう。
プリンストンオフェンスのルールというより、すべてのオフェンスはこのルールで成り立つ。
わたしはそう思います。
オフェンス方法は3つ
では、具体的な方法をいきましょう。
オフェンスは3つの方法があります。
- ローポストシリーズ(基本)
- ハイポストシリーズ
- チンシリーズ
この3つです。
【1】ローポストシリーズ
一番基本的なのが、このローポストシリーズです。
どのセットも4アウト1インで始めます。
5のセンターだけが固定で、他の4人は誰がどこでもできるようにしましょう。
1は3にパスしたらコーナーにカットします。
そして3が5にパスを入れます。
その後、ガードの2にスクリーンをして、ポジションを入れ替わるようにしましょう。
この動きを「スプリット」と呼びます。
スプリットをするときに、チャンスがあればどんどんバックドアに抜けましょう。
センターのパスはバウンドパスがいいですね。
外科医のように繊細なバウンドパスを出しましょう。
バックドアに抜けると、ディフェンスはそれに収縮しますから、3がポップアウトすればノーマークです。3ポイントが打てます。
ここまでやってシュートまでいけなければ、3対3はおしまいです。
スペースを取り直して、今度は逆サイドの2対2にパスを展開します。
一番かんたんなのは、パスを飛ばして、ドライブです。
広いスペースがあるので、1対1しやすいはず。
シュートまで行くことができなければ、キックアウトでもOKです。
もう1つ、すごく使えるのがドリブルアットです。
「ドリブルが近づいてきたら、バックドア」というプレイのことをドリブルアットといいます。
これはけっこう効きます。積極的にやりましょう。
ドリブルアットでバックドアにパスが通らなくても、ディフェンスが収縮しているので、1にはかんたんにパスができます。
1はパスがもらいやすいように、ちょっとだけ上がりましょう(リフト)。
4はバックカットにパスが来なかったら、ターンしてローポストアップできます。
ガードやフォワードはポストプレイを守るのに慣れてないので、パワープレイは点が取りやすいです。
ぜひどんどんやりましょう。
以上が1と4の2対2ですが、これと同時に、逆サイドも動いておきます。
3はパスを出したら5にダウンスクリーンです。
センターを上にあげて、スペースを取りましょう。
1は攻めきれなければ、5にパスを返します。
再び、右サイドにボールが返ってきましたね。
最後のツメです。
5がドリブルで進み、2とハンドオフをします。
そしてハンドオフからピックのプレイになりますね。
プロでもよくあるピック&ダイブのプレイです。
- ハンドオフ
- ピック&ダイブ
- 3はリフト
という3対3の動きです。
さあ、ここまでがローポストシリーズです。
- スプリット
- ドリブルアット
- 3メンオートマチック
この3つの動きの組み合わせってことですね。
ここまでやり切ると、元の4アウト1インに戻っています。
ショットクロックが残ってれば、しつこくプレイを続けましょう。
【2】ハイポストシリーズ
ローポストシリーズがプリンストンオフェンスの基本です。
これをやろうとしたときに、ディフェンスが密集していて、ウイングにパスができないときがあります。
こんなときは、2から1へのスイングパスからプレイを始めましょう。
2はパスをしたら、コーナーにカットです。
するとハイポストにスペースができます。
5がフラッシュしてパスをもらいましょう。
ここからハイポストシリーズが始まります。
パスした1ができる動きは3つです。
- ボールから遠い方にスクリーン(アウェイ)
- ボールに近い方にスクリーン
- バックドアに抜ける
もちろんどれをやってもいいんですが、「最初から3つどれでもいいよ」と教えると選手が迷うかもしれません。
なので基本は「アウェイ」に決めておくことをおすすめします。
1がアウェイにスクリーン。
4はスクリーンを使って、バックドアです。
バックドアに抜けた4にパスが通せなければ、1がポップアウトします。
打てるなら3ポイントを打ちましょう。
このあと、ハイピックに入るのがいいでしょう。
スペースがちゃんと取れています。
ピックが来たのを使わずに、逆をつくのもいいですね。
「リジェクト」といいますが、ピック&ロールのバックドア版みたいなものです。
さて、ちょっと場面を戻して、1がポップアウトしたところをもう一度見てみましょう。
また別のプレイを紹介しますので。
バックカットした4はそのまま広がるのではなく、3のシングルスクリーンを使うという方法があります。
こうすると何がいいのかというと、3がポストアップできるんです。
ガード、フォワードのローポストプレイは得点しやすいので、おすすめですよ。
5と1はせまければフレアースクリーンしておきましょう。
4は3にパスが入らなければ、ドリブルアットしてバックドアです。
1の目の前には広いスペースがあるので、けっこう通ります。
ということで、以上がハイポストシリーズです。
センターがローにいるか、ハイにいるかで、これだけちがうんですね。
使い分けられるように練習しましょう。
【3】チンシリーズ
チンとは「あご」のことです。
ふつうセットプレイのサインは「グーチョキパー」みたいなものを手で出しますが、プリンストン大学では「あご」を触ることをサインにしていました。
相手はそれがサインとは気づかず、何回も引っかかってしまったそうです。
かつてはバレなかったチンですが、あまりにいいセットなので、今では世界一有名なセットオフェンスになりました。
4アウトから始めます。
1があごを触ったら、5はハイポストに上がりましょう。
逆サイドにスイングパスをします。
パスを出した1に5がバックスクリーン。
ゴール下に飛び込みます。
これはシャッフルカットといいますが、かなり使えるプレイです。
5は1にスクリーンしたあと、すぐに2にスクリーンします。
フレアスクリーンして、スペースを取ります。
2はボールを持ったら、目の前に広いスペースがありますので、ドライブしましょう。
1にも2にもパスできなければ、4はドリブルで上がって、スペーシングを取り直します。
再び、シャッフルカットをくり返します。
チンはかんたんに言えば
- シャッフルカット
- フレアー
- スペースを取りなおす
というプレイをしつこくくり返すオフェンスです。
理想は、シャッフルカットした4がレイアップできることです。
でも、ディフェンスと競り合ってポストアップすることもあります。
何度もいいますが、ローポストは得点チャンスです。どんどんパスを入れましょう。
ローに入ったあと、5は2にフレアースクリーンします。
うまくかかれば、2はゴール下までカットできます。
これもいいプレイですね。
さて、何らかの理由で、センターがいる方のサイドにパスが回ったとします。
こうなるとシャッフルカットはできませんね。
こんなときは、ボールサイドでシャッフルカットをします。
UCLAカットといわれる、とても有名なプレイですね。
カットにパスが入らなければ、スペースを取り直して、チンを続けてもOKですし。
または5をローポストに下げて、最初に説明した「ローポストシリーズ」に移ってもいいでしょう。
以上がチンシリーズです。
チンシリーズについては、次の記事もぜひ読んでみてください。
バックドアのアイデアだけでも取り入れよう
さて、いかがでしたか?
プレイそのものは、少し複雑に思えたかもしれませんね。
でも、わたしがおすすめなのは
バックドアというアイデアだけでも取り入れる
ということですね。
冒頭にお話ししたように、プリンストンオフェンスはその思想がステキです。
コーチは結局、自分が好きなというか、馴染みのあるオフェンスを指導するでしょう。
なので、その思想だけでもあなたのオフェンスに生かしてみてください。
とても良い成果になること間違いなしです!
もう少し詳しく知りたい人は
プリンストンオフェンスの本もあります。
わかりやすさにこだわって書きました。
もしよかったら手に取ってみてください。
記事を最後までお読みくださり、感謝しています!
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