ディフェンス

パックラインディフェンスとは? わかりやすく 【バスケ理論】

こんにちは、三原です。

今回は「パックラインディフェンスとは? わかりやすく」というお話です。

この記事を読むメリット

  1. パックラインディフェンスとは何か、よくわかる
  2. 自分のチームでパックラインをプレイすることができる
  3. あなたがコーチなら、試合のいつパックラインを使うべきかがわかる

パックラインディフェンス、という名前を最近よく聞くようになりました。

これはアメリカのバージニア大学のヘッドコーチ、トニーベネットさんが考案したディフェンスです。

バージニア大学は2019年にNCAAトーナメントを優勝しました。この優勝の原動力が、

パックラインディフェンス

ということで一躍有名になりました。

パックラインって何?

簡単に言えば、

小さく守るマンツーマン

これなんです。パックラインディフェンスというのは。

で、パックラインとは何かというと

3Pラインから1mうしろにイメージしたライン

のことなんです。

とにかくこの中を、小さく固めて守れ、ということです。

なぜ小さく守るのか?

それはもちろん

外のシュートの方が入らないから

です。

バスケットボールは、リングに近い方がシュートの確率は下がるわけです。

だから優先的に小さく守って、シュートされるにしても遠くからシュートさせましょう、ということになります。

シャドーに入れ

ボールを#1が持っています。

それにAがマッチアップです。

ボールの隣は#2、#3で、ふつうのマンツーマンであれば「ディナイ」と言って、パスコースを防ぐように守ります。

→ ディナイを詳しく知るにはこちら

しかし、パックラインディフェンスではディナイしません。

そのかわりに「シャドー」に入ります。

シャドーというのは「影」という意味です。

ボールが太陽だとして、光が照らされたらディフェンスAの影ができますよね。

ちょうど上の図のような感じです。

そのシャドーを踏むようにB、Cはポジションを占めるのです。

こうすると、

  • パスは簡単に回される
  • でもドリブルで抜かれない

というポジション取りになります。

上の図を見ると、#1はドリブルで抜いていくコースがないことはわかりますよね。

そのかわり簡単にパスは出されます。

優先順位として「パックラインの中を小さく守れ」というのは、こういうことです。

内側にドリブルさせろ

ディフェンスにとって最大の味方は、サイドライン・エンドラインです。

ラインを踏んだら、絶対にマイボールだからです。

最強のディフェンダーです。

だからふつうのマンツーマンでは、「サイド・エンドに追い込め」が合言葉で、

下の図のようにドリブルを誘導します。

しかしパックラインディフェンスでは、「シャドーに入る」という約束があるので、

あえて内側にドリブルをさせて、となりのディフェンスと挟みます。

内側にドリブルをさせると、何が良いことがあるか。それは

  • 簡単に止められる
  • ローテーションしなくてすむ

ということです。

エンドライン、サイドラインを踏ませることはできませんが、シャドーに入る味方の協力で

狭くさせる

というディフェンスをします。

許すシュートは?

シュートの優先順位として

  1. ゴール下のシュートは絶対にダメ!
  2. パスをキャッチして即シュートはダメ
  3. ドリブルからのストップ・ジャンプシュートをさせる

というようにします。

ゴール下は問題外。

そして、たとえ遠くの3Pシュートとしても、気分よく打たれてしまう「キャッチ&シュート」はさせない。

ドリブルを無駄につかせて、苦しい「ストップ・ジャンプシュート」をさせる。

これがパックラインディフェンスの狙いです。

5つのポジションは死守!

ドリブルを内側にさせるとしても、絶対に通過されてはいけないところが5つあります。

  • 左右のブロック
  • 左右のエルボー
  • プラグ(フリースローラインの真ん中)

ここにパスを通されてもいけないし、ドリブルで通過されてもダメです。

ここをやられると、さっきダメと言った

  • ゴール下のシュート、または
  • キャッチ&シュート

につながりやすいからです。

ブロック、エルボー、プラグは死んでも守れ

が合言葉です。

パックラインは高校生で使えるのか?

わたしの指導者としての経験上、

すごく使えます!

理由は簡単で、そんなに外のシュートは入らないから、です。

高校生、中学生など、年代が若ければ若いほど有効です。

そもそも、パックラインディフェンスと名前がついたことこそ最近ですが、

「小さく守れ」というマンツーマンは昔からありました

3Pルールがなかった40年ほど前は、どこからシュートを決めても2点だったわけです。

だから遠く離れたところの相手なんて「ほっとけ、ほっとけ」となって当然です。

シュートを遠くから決められても同じ2点ですから。

広がる必要がないのです。

自然とパックラインディフェンスみたいな考えが主流になりました。

それから時代が流れて、いろいろと戦術が多様化し、

忘れかけていた昔のディフェンスを、あえて蘇らせたのが「パックライン」なのです。

本質的で、シンプル。

だから絶対に有効です。

変に動きすぎたり、がむしゃらに守るより、

パックラインディフェンスのような堅実な守りを最初に教えるべきかもしれません。

しいて弱点をいえば

簡単にパスが回されてしまうので、時間稼ぎに弱いことでしょうか。

たとえば残り5分で10点負けてる、なんてときにパックラインのままだと、試合が終わっちゃいます。

そんなときはボールを奪いに行くプレスディフェンスや、ディナイディフェンスが必要です。

パックラインをメインにしつつ、そんなときのためにプレスも準備しておく。

高校生以上であればゾーンプレスも良いと思います。

そんなふうに使い分けられたら理想ですね。

ABOUT ME
三原学
1981年、東京都生まれ。早稲田大学大学院卒。学生時代にマネージャーとなり、バスケ指導者を志す。 22歳から高校バスケ指導を始めて、早稲田実業高校ではウインターカップ出場、関東新人大会優勝。現在は母校の安田学園高校で監督を務める。選手が主役のチーム作り「ボトムアップ理論®︎」により、日本の部活動モデル校を目指している。 2024年から早稲田大学男子バスケットボール部のヘッドコーチも務める 日々学んでいる指導体験をブログやYouTube「バスケの大学」で発信して、総フォロワーは30,000人を超える。 日本バスケットボール協会公認A級コーチ、ジュニアエキスパートコーチ。ボトムアップ理論®︎エキスパートコーチ。 月刊バスケットボールにて「まんが戦術事典」を連載中。著書多数。
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