戦術講座

【NBA】スパーズのモーションウィーク・ストロングをわかりやすく 【バスケ戦術講座 第27回】 

こんにちは、三原です。

今回はNBAサンアントニオ・スパーズのモーションオフェンスを紹介します。

スパーズといえば、NBA史上「最も美しいオフェンス」として有名なチームです。2014年頃は、本当に強かった。

それ以来、NBAのオフェンスの主流として、

  1. モーションウィーク
  2. モーションストロング

というプレイが定着しました。

ここではそのモーションオフェンスを、わかりやすく解説します。

YouTubeでも解説しています。

聞き流しでも学べるので、移動中とかに音声だけでもぜひどうぞ。

2

「モーション=オフボールスクリーン」のこと

さっそくですが具体的なプレイとしては、こんな感じです。

このツイートの動画を見てください。

モーションオフェンスって言葉はよく聞くと思いますが、わたしの解釈では「モーション=オフボールスクリーン」のことです。

最近のバスケはオンボールスクリーン(つまりピック&ロール)が多いですが、モーションというと、ボールのないところのスクリーンを多用するんですね。

オフボールのスクリーンは、ボールスクリーンよりもかかりやすく、かんたんにノーマークができる特徴があります。

オンボールはスイッチしたり、ディフェンス方法がけっこうやりやすいのに対して、オフボールはいろんなところで何度もかけることができます。

中高生にはピックばかりでなく、モーションを多用することをおすすめします。

NCAAの名称、デューク大のコーチKも、モーションオフェンスが大好きなことで有名。

 

で、今回紹介するスパーズのモーションは2つ

  1. モーションストロング
  2. モーションウィーク

この2つです。

ストロングというのは、ボールがある方のサイドでポストアップをするって意味。

ウィークというのは、ボールのない方のサイドでスクリーンをかけ合うって意味です。

具体的に見ていきましょう。

トランジションの走るコース

ストロングもウィークも、ボール運びの走るコースからプレイに入ることができます。

速攻の走るコースは、基本的にこうです。

  1. ポイントガードがボールを運ぶ
  2. 右ウイング
  3. 左ウイング
  4. リバウンダーは最後尾から追う(トレーラー)
  5. リングにダッシュする(リムランナー)

こうすると自然とセットオフェンスの形になります。

このトランジションのコースはどんなオフェンスをやるにしても共通の基本なので、ぜひ覚えておきましょう。

モーションストロング

では、ボールを運び終わって、ここからモーションオフェンスです。

1から4、そして3にボールをスイング。

それに合わせて5がストロングサイド(ボールのあるサイド)にポストアップします。

狙いは5へのパスです。

5はボールをもらったらローポストでパワープレイ。1対1をゴリゴリやりましょう。

このパスをしやすくするために、ウィークサイドではスタガードスクリーンをかけておきます。

2はフリーになったら打てるように、シューターがいいですね。

シンプルですが、ここまでがモーションストロングです。

ストロングの応用

ここまででシュートにいけなかったら、いろいろなパターンあります。

例えば、5がハイポストにフラッシュして、ホーンセットにうつってもいいでしょう。

またはスタガードスクリーンをカールカットして、コーナーまで切れるのもよくやります。

コーナーにパスが通ったら、2と5でピックをする。

あんまり複雑にするのも良くないのですが、シュートまでいけなかったら続きのプレイはどうするのかまで決めてくといいでしょう。

モーションウィーク

次はモーションウィーク。

1が4にボールをスイングするところまでは、先ほどと同じです。

違うのは、1がパスした後にボールを追いかけるようなカットをすること。

再びボールを1がもらいます。

この動きと同時に、3がカットして5にスクリーン。

5はスクリーンを使ってポストアップです。

このウィークサイドでのスクリーンから始まるので「モーションウィーク」なんです。

1から5にパスを通すのが最初の狙い。

そのパスが入らなかったら、3に4がダウンスクリーンします。

3はさっきまでスクリーナーだったので、「スクリーン・スクリーナー」になります。こりゃ守りにくい。

ここまででシュートにいけなかったら、4と5が「ハイローポスト」にちゃんといるので、ここから先はフリーオフェンスで攻めるのです。

フロアバランスが良いので、いろんなプレイができるはずです。

ウィークのオプション

モーションウィークの発展的なプレイとして、5がサイドピックにいくことが多いです。

まず、こうやって。

ローポストアップせずに、5が1にピック。

これ、効きます。

動いてディフェンスを休ませない

以上がスパーズのモーションオフェンスです。

トランジションからスムーズに入れて、サインなしで「ささっ」とオフェンスに入れるのが特徴です。

そして、ボールと人の動きが止まらない。常にディフェンスが動かされていることになります。

こうすれば、ディフェンスがズレて、1対1がしやすくなる。というわけです。

シンプルですが、中高生にはすごく合うと思います。

ぜひあなたのチームでもモーションオフェンス、やってみてください。

ABOUT ME
三原学
1981年、東京都生まれ。早稲田大学大学院卒。学生時代にマネージャーとなり、バスケ指導者を志す。 22歳から高校バスケ指導を始めて、早稲田実業高校ではウインターカップ出場、関東新人大会優勝。現在は母校の安田学園高校で監督を務める。選手が主役のチーム作り「ボトムアップ理論®︎」により、日本の部活動モデル校を目指している。 2024年から早稲田大学男子バスケットボール部のヘッドコーチも務める 日々学んでいる指導体験をブログやYouTube「バスケの大学」で発信して、総フォロワーは30,000人を超える。 日本バスケットボール協会公認A級コーチ、ジュニアエキスパートコーチ。ボトムアップ理論®︎エキスパートコーチ。 月刊バスケットボールにて「まんが戦術事典」を連載中。著書多数。
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