こんにちは、三原です。
今回は「マッチアップゾーンディフェンスとは?」というお話です。
- マッチアップゾーンって聞いたことあるけど、よく知らない?
- 自分のチームでやってみたいけど、メリットを知りたい
と考えていませんか?
本記事ではこういった疑問に答えます。
本記事を読むメリット
- マッチアップゾーンとは何か、一言で説明できるようになる
- マンツーとゾーンの長所を確認できる
この記事を書いているわたしは、バスケ指導歴16年ほど。
現役の高校バスケ指導者で、日々バスケの研究と、役に立つ情報発信をしています。
マッチアップゾーンディフェンスとは?
マッチアップゾーンとは、マンツーマンとゾーンのちょうど中間のディフェンスです。
- マンツーマンが基本だ
- ゾーンの方が強い
とかいろいろと言われています。
確かにどちらの意見も一理あるのですが、
ただ一つ言えることは
- どちらも長所と短所がある
ということ。
なので、マッチアップゾーンを理解するには
まずマンツーとゾーンの長所を確認する必要があります。
マンツーマンの長所
マンツーマンは「対人防御」です。
簡単に言えば
- 1人が1人をマークする
- 人についていく
というディフェンスです。
長所としては「人を追いかけられる」ということです。
しつこくつきまとう、という感じですね。
どこでボールを持たれてもぴったりつくことができるので、
言い換えると「アウトサイドシュートに強い」ということになります。
- 外のシュートが得意な選手には持たせない
- 持たれてもシュートさせない
こういうことができるのがマンツーの長所です。
一方で短所は何かというと
- 抜かれるとカバーが難しい
ということです。
カバーすることはできますが、誰かが抜かれるとマークマンを捨ててカバーしないといけません。
「マークマンを捨てる」ということは、マンツーの魅力の放棄ですよね。
だから抜かれると弱い。
言い換えると「インサイドに弱い」ということです。
ゾーンの長所
じゃあゾーンの長所はなにか。
ゾーンとは「地域防御」です。
簡単に言えば
- 協力して守る
- 割り当てられた地域を守る
ということです。
長所は「インサイドに強い」ということです。
みんなで地域を固めていますから、当然ですね。
じゃあ逆に短所は何かといえば
- ボールにしつこくマッチアップできない
- アウトサイドに弱い
ということです。
みんなで決められた地域を守っているので、小さく中に固まっているわけです。
どうしてもボール周りは弱くなる。
- パス回しに時間を使われたり
- アウトサイドからシュートを打たれる
というのがゾーンの短所です。
マッチアップゾーンは「良いとこ取り」
いったんまとめましょう。
- マンツーマンの長所「アウトサイドに強い」
- マンツーマンの短所「インサイドに弱い」
- ゾーンの長所「インサイドに強い」
- ゾーンの短所「アウトサイドに弱い」
おわかりになりますよね?
マンツーマンとゾーンは、それぞれの短所を補う関係なのです。
となれば、よくばりな人間は何を考えるか?
- ボールにはマンツーマンで
- その他の4人がゾーンをすれば
- それって最強じゃね?
となりますよね。
そう、これこそが「マッチアップゾーン」なのです!
つまりマッチアップゾーンは
- マンツーの長所と
- ゾーンの長所の
- 良いとこ取り
と言えます。
こう考えてもらえばまちがいないです。
まとめ:マッチアップゾーンは最強です
マッチアップゾーンは理論上は完璧なディフェンスです。
これをされれば、相手オフェンスは混乱します。
どう攻めればいいか、わからないからです。
選手はもちろん、相手の監督も混乱します。
よくわからないうちに試合が終わる。
絶対にあなたが勝つ、というわけです。
1ー1ー3ゾーンの動き方
ここからは「マッチアップゾーンの動き方(1-1-3ゾーン)」というお話です。
マッチアップゾーンの動き方(1-1-3ゾーン)
さて、マッチアップゾーンの具体的な動きにいく前に
- マッチアップゾーンには3つのルールがある
- そのルールにしたがってプレイする
ということを押さえておいてください。
3つルールは
- ボールマンにはマンツーマン
- 隣のスポットを埋める
- ボールに最も近い人がマッチアップ
動きの理解を深めるために、まずはルールを理解しましょう。
1)ボールマンにはマンツーマン
最初のルールがこれです。
ボールにはマンツーマンでマッチアップです。
具体的には
- ワンアーム(腕一本分の距離)
- ノーミドルの方向づけ
でマッチアップします。
後ろの4人はゾーンでカバーの準備をしているので
ふつうのマンツーよりもより積極的に仕掛けてOKです。
2)隣のスポットを埋める
「スポット」というのは、下の図の場所です。
- ウイング(45度)
- エルボー(フリースローラインの角)
- ハイポスト
- ローポスト
- フープ(ゴール下)
例えば、ボールが右45度にあれば、
その隣から順に、4人がスポットを埋めるということです。
3)ボールに最も近い人がマッチアップ
これはそのままです。
ボールに誰がマッチアップするのか、については
その時に「ボールに最も近い人」です。
自分がマッチアップだと思ったら
「ボールいいよ!」と大声を出してマッチアップしましょう。
具体的な動き方
1-1-3のポジションは、下の図のようになります。
ざっくり分けると
- フリースローラインより上は、#1と#2の2人で守る
- フリースローラインより下は、#3、#4、#5の3人で守る
という感じで役割分担を考えます。
上の2人
#1はボールにマッチアップです。
#2は隣のスポットなので「ハイポスト」を埋めます。
パスが出されたら
- #2が一番ボールに近いので、マッチアップ
- #1がハイポストを埋める
というようにローテーションです。
必ずハイポストを埋める、ということが重要です。
上の2人は、基本このようなピストン運動です。
下の3人
下の3人は「見えないヒモでつながれている」とイメージしましょう。
3人が等間隔のまま、ごそっと動く感じです。
パスがウイングに出されたら
- #3がマッチアップ
- #4がローポストを埋める
- #5がフープを埋める
このように、3人がまとめて動きます。
ショートスライド
少し特別な動きは「コーナーにパスを出せれた時」ですね。
- 一番近いのは#5なので、ボールにマッチアップ
- 一瞬ローポストが空いてしまうので
- #3がローポストに下がってくる
- #4はフープでカバー
というローテーションになります。
「#3が真ん中の位置に下がる」というのがミソです。
この動きを「ショートスライド」と言います。
これは練習しないとできないので、やっておきましょう。
パスカットを狙うところ
ボールがウイングに落ちたら
- #3がマッチアップ
- 下の3人が連動
します。そして上の2人は
- #2がエルボー
- #1がハイポスト
というようにスポットを埋めます。
インサイドはまったく攻めるスペースがないことがわかりますね。
パスはコーナーに出すしかないので、コーナーに行きます。
- #3、#4、#5がショートスライド
- #2がウイング
- #1がエルボー
というようにスポットを埋めます。
特にウイングのディフェンスは、
- ちょっと空けといて
- わざとパスを出させて
- それをカット
パスカットを狙うのは、ここです。
とてもうまく行きやすいですよ。
まとめ:1-1-3は動きが簡単です
以上が1-1-3の動き方です。
上の2人と下の3人がわかれて練習できるので、理解しやすいです。
マンツーマンだけでなく、マッチアップゾーンも練習しておきましょう。
けっこう簡単で、すぐできます。
しかも効果絶大ですよ。
マッチアップゾーンでよくある悩み
ここからは「1-1-3マッチアップゾーン 動き方でよくある悩み」というお話です。
ハイポストにボールを入れられた
ハイポストはオフェンスにとって最高の場所です。
- コートの中央
- オフェンスは360度の選択肢がある
ここにオフェンスとしてはボールを入れたいわけです。
もちろん、ディフェンスからすれば、ここに入れられるのは嫌です。
でも入れられることはあります。
そんなときは
- 下3人のうち「真ん中」が必ずマッチアップ
- 上の2人は左右からカバーに寄る
というようにして、ハイポストからボールを出させましょう。
特に『下3人のうち「真ん中」が必ずマッチアップ』という約束は
明確にしておけば選手は迷わずプレイできます。
ローポストにボールを入れられた
ローポストはゴールに最も近い場所です。
シュートに直結するところなので、絶対にボールを入れられたくない所です。
通常は、図のように#5は
- 自分がオフェンスのつもりで
- オフェンスの前に立つ
というように守ります。
でも時にはそれができず、ローポストにパスが入れられることがあります。
この場合は
- #5はエンドラインを抜かれないように
- #3は後ろからカバーダウン
- #2はダブルチームに行く準備
という対処です。
「#5はエンドラインを抜かれないように」がとても大事で
エンドラインを抜かれると簡単にシュートされるからです。
内側を抜かれるには、カバーがいます。
これはローポストディフェンスの鉄則です。
ウイングは誰がマッチアップするの?
フリースローラインを境に
- 上は2人がディフェンス
- 下は3人がディフェンス
という役割にしているだけに、ちょうど境目は
- どっちがディフェンスするの?
と迷うところです。
これは「あいまいなところは下が出る」というルールにしましょう。
- マッチアップするときは
- ボール出るよ!と大声で知らせる
というルールも徹底させた上で、
境目は下から出るという約束にしておけば、迷いません。
上と下の2人が出ちゃっても大丈夫です。
このときは
- 下の人が「いいよ」と言ってあげて
- 上の人が「オッケー」と言って下がる
という受け渡しができればOKです。
最悪なのは「どっちも行かない」がダメです。
- 「基本、下が出る」と約束にしておいて
- 大きな声でコミュニケーション
これで迷いを断ちましょう。
途中で「変える」チェンジングディフェンス
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このディフェンスのやり方
まず、マンツーマンでディフェンスを始めます。
相手に「マンツーだ」と思わせることが重要です。
- ボールにはワンアーム
- パスコースにはディナイ
こういうディフェンスをすれば、相手は「マンツーだな」と感じるはずです。
当然、相手はマンツーマン用の攻め方をしてきます。
多くの場合、オフェンスは45度にボールを落としたところからスタートします。
45度にボールが落ちたらゴール下にいるディフェンスが「ゾーンするぞ!」とコールします。
なぜゴール下にいるディフェンスかというと、
コートの状況が一番見やすいからです。
多くの場合はセンターの選手になると思います。
なお、コールは「ゾーンするぞ」という言葉じゃない方がいいです。バレるので(笑)
- ゾーンぽいから「ゾー」でも
- 言いやすいから「ジェー」でも
何でもいいです。チームで決めてください。
これを聞いたら、みんながそのコールを復唱して、そこからゾーンに変えます。
相手は途中からゾーンに変わったことに気づかず、ミスを連発するはずです。
いつ使えばいいのか?
オススメの時間帯は「負けている時」です。
- このままじゃ絶対負ける
- どうせ負けるなら、チャレンジしたい
というときの武器としてやると良いでしょう。
あんまり長い時間使うと、相手が慣れちゃいます。
「伝家の宝刀」みたいなイメージで使う作戦です。
また、相手チームがタイムアウトを取った後、というのもオススメです。
精神的な駆け引きで優位に立つ。そのために使ってください。
ゾーンディフェンスはおもしろい
ここまで読んだあなたは、まちがいなくゾーンディフェンスに興味があることでしょう。
ぜひやってみてください。
ぜひ指導してみてください。
- 良いマンツーはゾーンに見える
- 良いゾーンはマンツーに見える
という名言がありますが、
ゾーンをすることでマンツーも上達する、という事実があります。
- カバーの感覚
- コミュニケーションの上達
- 予測能力の向上
こういうものはゾーンをすることで高まります。
試合で使えるのはもちろんですが、
- ディフェンス能力の向上のためにゾーンを練習する
というのは、良いことです。
ゾーンディフェンスはおもしろいです。
教えてあげれば、喜んでプレイします。
もしかしたら、ミニバス・中学の指導者の方なら
- ゾーンは禁止だからなあ
とお考えかもしれません。
確かに試合ではルール違反になりますが、
練習では「こういうものもあるよ」と教えてあげて、
「これでマンツーもうまくなるよ」と言ってあげれば、
練習でゾーンをやるのはありだと思います。
ぜひあなたのバスケットにお役立てください。
最後までお読みくださり、感謝しています。
ぜひあなたのバスケットにお役立てください!
【参考DVD】
明成高校・佐藤先生のビデオです。
ゾーンディフェンスを実際に高校生に指導しながら理論が学べる内容です。
コーチが見て勉強になるのはもちろん、選手に見せてもイメージトレーニングになります。
記事を最後までお読みくださり、感謝しています!
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