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クロスマッチアップは、試合中にすぐ使えるディフェンスの工夫

こんにちは、三原です。いつもありがとうございます。

今日はディフェンスの話です。マンツーマンディフェンスというと、普通はポイントガードにはポイントガード、2番には2番、センターにはセンターというように、同じポジション同士でマッチアップすることが多いと思います。

でも、最近のバスケットでは、あえてそのマッチアップをずらす考え方がよく使われています。いわゆる「クロスマッチアップ」です。

これは、試合中にシステムを大きく変えるよりも、ずっと取り入れやすい方法だとわたしは思っています。ハーフコートマンツーマンをフルコートプレスに変える。マンツーマンをゾーンに変える。こういう変更は効果もありますが、同時にリスクもあります。

うまくいけば流れが変わります。でも、うまくいかなかったときには、一気に失点につながることもある。コーチとしては迷うところです。

その点、マークマンを交換するだけなら、タイムアウトを取らなくてもできます。ベンチから「4番と5番、マークを替えよう」と声をかけるだけで、すぐに試せる。しかもリスクが比較的小さい。ここに、クロスマッチアップの大きな価値があります。

 

ポイントセンターにどう対応するか

最近は、背の高いインサイドの選手が、必ずしもゴール下だけでプレイするわけではありません。アウトサイドに出てきて、パスの起点になったり、ドリブルハンドオフをしたり、オンボールスクリーンをかけたりすることが増えています。

いわゆる「ポイントセンター」のような使い方です。

たとえば相手に大きなセンターがいて、その選手を外に引っ張り出したい。そういう狙いで、センターをトップ付近に置くチームがあります。大きいけれど横の動きがあまり得意ではない選手にとっては、外でスクリーンディフェンスをするのはかなり大変です。

では、守る側はどうするのか。

1つの考え方が、最初からマッチアップを変えておくことです。センターが相手センターにつくのではなく、フォワードが相手センターにつく。そして自分たちのセンターは、外にいるフォワードやノンシューターにつく。こうすることで、大きい選手を無理に外へ出さず、リング周辺に残しやすくなります。

ここで覚えておきたい言葉が、「ビッグイン・スモールアウト」です。

大きい選手は中を守る。小さい選手、動ける選手は外を守る。当たり前のようですが、マンツーマンの中でもこの原則を保てるかどうかは、とても大きいです。

ビッグイン・スモールアウトで守る

相手の5番がオンボールスクリーンに来る。そこで普通にセンター同士で守っていると、大きい選手が外で対応しなければいけません。すると、スピードについていけなかったり、リバウンドに戻れなかったりします。

でも、クロスマッチアップをしておけば、外のスクリーンには動けるフォワードが対応できます。そして自分たちのビッグマンは、ゴール下に残ってカバーやリバウンドに備えられる。

これはサッカーでいえば、ゴールキーパーのようにリング周辺を守る感覚です。

特に最近は、オフェンスリバウンドの価値がまた高まっているように感じます。2ビッグで体を張るチームも増えていますし、コーナーにいる選手が必ずしもシューターではなく、スクリーンやリバウンドで仕事をするノンシューターであることもあります。

そう考えると、そこにわざわざスモールをつけ続ける必要はありません。シュートを打たない選手にビッグをつけて、中を守らせる。外で動き回る選手には、機動力のある選手をつける。これがクロスマッチアップの発想です。

ただし、ただマークをずらすだけでは足りません。ポジションチェンジやオフボールスクリーンが起きたときに、全部そのまま追いかけてしまうと、結局ミスマッチになります。

そこで必要になるのが、声を出してスイッチすることです。場合によっては、指さしで「こっち、あっち」と確認するようなポイントスイッチで十分です。大事なのは、ビッグイン・スモールアウトの原則を崩さないことです。

スイッチ力がこれからのディフェンスを決める

この戦術で特に大事になるのは、ビッグマンよりもスモール側の守備力です。

たとえばフォワードの選手が、ガードのオンボールスクリーンに対応する場面が出てきます。ウイングの選手は手足が長くても、ガードほどクイックネスがないことも多いです。それでも、ある程度1対1で守り切れるかどうか。ここがチームディフェンスの強さにつながります。

これからのバスケットでは、ディフェンスにおいて「高さ」だけではなく、「誰とでも平面で守れる力」がますます求められると思います。

スクリーンに対してスイッチする。ダイブした選手にはビッグが残って対応する。さらにコーナーへローテーションして、必要ならトリプルスイッチまで行う。こういう整理ができると、マンツーマンのままでも、かなり柔軟に守れます。

試合中に流れが悪くなったとき、すぐにシステムを変える前に、まずは「誰と誰をマッチアップさせるのがいいか」を考えてみる。これはベンチワークとして、とても現実的な工夫です。

ディフェンスがうまくいかないとき、つい「もっと頑張れ」「足を動かせ」と言いたくなります。でも、選手の努力だけでは解決しないこともあります。マッチアップそのものを少し変えるだけで、選手が守りやすくなることがあるんです。

クロスマッチアップは、難しい戦術に見えるかもしれません。でも考え方はシンプルです。

大きい選手は中へ。動ける選手は外へ。

まずはこの原則を持って、自分たちの試合映像を見返してみてください。「このマッチアップ、本当にこれでよかったかな?」と考えるだけでも、次の試合のヒントが見えてくるはずです。

 

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ABOUT ME
三原学
1981年、東京都生まれ。早稲田大学大学院卒。学生時代にマネージャーとなり、バスケ指導者を志す。 22歳から高校バスケ指導を始めて、早稲田実業高校ではウインターカップ出場、関東新人大会優勝。現在は母校の安田学園高校で監督を務める。選手が主役のチーム作り「ボトムアップ理論®︎」により、日本の部活動モデル校を目指している。 2024年から早稲田大学男子バスケットボール部のヘッドコーチも務める 日々学んでいる指導体験をブログやYouTube「バスケの大学」で発信して、総フォロワーは30,000人を超える。 日本バスケットボール協会公認A級コーチ、ジュニアエキスパートコーチ。ボトムアップ理論®︎エキスパートコーチ。 月刊バスケットボールにて「まんが戦術事典」を連載中。著書多数。
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