シクサーズの「ピック+ダンカー」から学ぶ!NBAのシンプルで効果的なセットオフェンス
こんにちは、三原です。いつもありがとうございます。
NBAの新シーズンが始まりました。
わたしも各チームがどんなオフェンスをしているのか、プレシーズンから研究しています。
今回は、その中からフィラデルフィア76ers(シクサーズ)が使っていた、シンプルで効果的なセットオフェンスをご紹介します。
テーマは「トップピック+ダンカースポット」です。
NBAの戦術というと難しそうに感じるかもしれませんが、今回のプレーは基本的なオンボールスクリーンとオフボールの合わせを組み合わせたものです。
ボールハンドラー、スクリーンをかけられるビッグマン、そして外からシュートを狙える選手がいれば、中学生や高校生のチームでも十分に応用できると思います。
大事なのはセットの形を覚えることではなく、ディフェンスの動きを見て、数的優位を作ることです。
今回は、その仕組みを順番に解説します。
1.トップピックから4対3を作る
まずは基本的な選手の配置です。
1番がボールハンドラーとして左側のスロットに立ち、5番が右側のスロットからオンボールスクリーンをかけます。
4番はボールサイドのダンカースポットに待機。残りの2番と3番は外側に広がり、シュートを狙える位置でスペースを取ります。
ダンカースポットとは、ゴールの横、制限区域の少し外側にあるポジションです。
ここから5番がトップピックをかけます。
最初のポイントは、ディフェンスに簡単にアンダーさせないことです。
アンダーで守られてしまうと、スクリーンによってディフェンスを崩す効果が小さくなります。
そこで、5番は適切な角度でしっかりスクリーンをかけ、ディフェンスのスイッチを誘います。
スイッチが起きたら、5番は自分についてきた小さいディフェンスを押さえ、ターンしてショートロールします。
そして、ボールハンドラーから5番へパスを入れる。
この瞬間が重要です。
ボールハンドラーが相手のビッグマンを引きつけることで、ショートロールした5番を中心に、残りの4人で4対3の数的優位を作ることができます。
つまり、オンボールスクリーンは単にボールマンを抜かせるためのものではありません。
スクリーンによってディフェンスを引きつけ、その後の4対3を攻めることが狙いなのです。
2.ダンカースポットはドリブルに合わせて移動する
このプレーで特に注目したいのが、4番の動きです。
4番は最初、ボールマンと同じサイドのダンカースポットに立っています。
そして、トップピックからボールマンがドリブルを始めたら、反対側のダンカースポットへ移動します。
ドリブルと同じ方向へ動く、と考えるとわかりやすいでしょう。
なぜ、この動きが必要なのでしょうか。
それは、ショートロールした5番がプレーするスペースを空けるためです。
4番が同じ場所に残っていると、5番の進行方向にディフェンスが集まり、ゴール下が狭くなってしまいます。
そこで、4番が逆サイドへ移動することで、5番のプレースペースを確保します。
そして、5番に対して4番のディフェンスがカバーに来たら、逆サイドのダンカースポットへパス。
そのままゴール下でシュートを狙います。
非常にシンプルですが、効果的な合わせです。
3.カバーが来たらキックアウト、さらにフレアスクリーン
もちろん、ディフェンスも簡単には得点させてくれません。
ショートロールした5番に対して、外側のディフェンスがカバーに来ることもあります。
その場合は、外のシューターへキックアウトします。
中を守れば外が空く。外を守れば中が空く。
この関係を利用するわけです。
さらに面白いのが、ダンカースポットの4番による判断です。
例えば、4番のディフェンスが深くカバーに入っていて、4番自身がパスを受けられない場合。
このとき、4番はただ立ってパスを待つのではありません。
外側のシューターに対してフレアスクリーンをかけます。
すると、ディフェンスは外へのクローズアウトが遅れ、シューターがノーマークになる可能性があります。
もしスクリーンをスイッチしてきたら、今度は4番がスリップしてゴールへ向かうこともできます。
つまり、4番には複数の選択肢があります。
- 自分が空いていれば、パスを受けてシュート
- ディフェンスが深くカバーしていれば、フレアスクリーン
- スイッチされたら、スリップしてゴールへ向かう
ここが非常に興味深いところです。
あらかじめ決められた動きを繰り返すだけではなく、ディフェンスの状況を見てプレーを変えているのです。
また、最初のオンボールスクリーンがうまくいかなかった場合も、4番がゴール下でディフェンスをシールして直接パスを受けることができます。
1つのセットから、いくつもの攻撃方法が生まれます。
4.トランジションから自然につなげる
わたしが特におすすめしたいのは、このセットをトランジションから始めることです。
例えば、ディフェンスリバウンドを取った場面を考えてみましょう。
まず1番がボールを受けて、速攻をプッシュします。
2番と3番はウイングからコーナーへ走り、コートを広く使います。
そして、4番がリムランナーとしてゴール下まで全力で走ります。
この時点では、当然ながら速攻で得点することが第1の狙いです。
4番がゴールへ走ることでディフェンスが中央に集まれば、外側のシューターにもチャンスが生まれます。
そして、速攻で得点できなかった場合。
4番はボールサイドのダンカースポットに残ります。
後から走ってきた5番が、そのままドラッグスクリーンをかけます。
これで、最初に紹介した「トップピック+ダンカー」の形が自然に完成します。
ディフェンスが完全にセットする前に攻撃できるので、非常に効果的です。
セットオフェンスというと、一度全員が止まって配置についてから始めるイメージがあるかもしれません。
しかし、トランジションから流れるようにセットへ入ることで、より大きなチャンスを作れると思います。
5.ダイブに合わせた「リフト」も覚えておきたい
最後に、外側のシューターの合わせについても触れておきます。
5番がオンボールスクリーンをかけ、ショートロールではなくゴール下まで深くダイブしたとします。
当然、逆サイドのディフェンスがゴール下へカバーに寄ってきます。
ここで、高校生によく見られるミスがあります。
それは、スクリーナーがゴールへダイブしたら、必ずそこにパスを入れようとしてしまうことです。
ディフェンスが何人も寄っているのに、無理にインサイドへパスを入れてしまう。
そうではありません。
中が狭くなったら、外を使えばいいのです。
このとき、外側のシューターがパスを受けやすい位置まで上がってくる動きを「リフト」と呼びます。
5番のダイブに対して、ディフェンスが中へ寄る。
そこでシューターがリフトして、空いたスペースでパスを受ける。
これで、ノーマークのシュートが生まれます。
さらに、外へクローズアウトしてきたら、今度は5番がインサイドで再びパスを受けられるかもしれません。
このように、インサイドとアウトサイドの両方を使うことが、オフェンスの基本だとわたしは考えています。
6.セットの形よりも、ディフェンスを見ることが重要
今回紹介したシクサーズのオフェンスは、決して複雑なものではありません。
トップピックをかける。
ショートロールする。
ダンカースポットが移動する。
ディフェンスが寄れば、空いた選手へパスを出す。
基本的には、この繰り返しです。
しかし、ここにはバスケットボールの大切な考え方がたくさん詰まっています。
それは、ディフェンスを見て、最も有利な選択肢を選ぶことです。
わたし自身、高校生を指導していて、選手がセットの形にとらわれすぎていると感じることがあります。
決められた場所へパスを出すことが目的になってしまい、ディフェンスがどう守っているかを見ていない。
でも、本来は逆です。
ディフェンスを崩すためにセットがあり、セットによって生まれたズレを攻めるために合わせがあります。
今回のようなオフェンスは、その考え方を学ぶうえでも非常に参考になると思います。
ぜひ、あなたのチームでも試してみてください。
YouTubeでは、実際の選手配置や動きを作戦図で示しながら解説しています。
文章だけではわかりにくいショートロールやダンカースポットの移動も、動画で見れば理解しやすいと思います。
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