「学生らしいバスケ」とは何か?わたしが大切にしたい2つの姿勢
こんにちは、三原です。いつもありがとうございます。
今日は「学生らしいバスケ」とは何か、というテーマについてお話しします。
先日、Instagramでこんな質問をいただきました。
「よく学生らしいバスケという言葉を耳にします。あれは必要なのでしょうか?また、海外でもそういった学生らしいバスケを指導者は教えているのでしょうか?」
とても考えさせられる質問です。
わたし自身、学校の教員であり、高校と大学でバスケットボールの指導をしています。まさに学生スポーツの現場にいる人間ですので、改めて考えてみました。
結論から言うと、わたしは「学生らしさ」には2つの意味があると考えています。
それは「学ぶ人であること」と「両立する人であること」です。
これはプレースタイルの話ではありません。バスケットボールに取り組む姿勢の話です。
1.学生とは「学ぶ人」である
学生とは、読んで字のごとく「学ぶ人」です。
学ぶ立場にいる以上、まず必要なのは教わることへの謙虚さと感謝だと思います。
そして、教わったことを実際にやってみる素直な行動力です。
例えば、指導者から「このプレーに挑戦してみよう」と言われたとします。
自分が得意なプレーではないかもしれません。自分のやりたいポジションとは違うかもしれません。
それでも、まずはやってみる。
やってみた結果、うまくいかないこともあるでしょう。しかし、その経験によって新しい可能性が見つかることもあります。
最初から「自分には向いていない」「そんなことをやっても意味がない」と決めつけてしまうと、成長の機会を自分で狭めてしまいます。
もちろん、指導者の言うことを何でも無条件に聞けばよいという意味ではありません。
疑問があれば質問してもいいし、自分の考えを伝えてもいい。
そのうえで、まずは挑戦してみる姿勢を持ってほしいと思います。
また、学ぶことは1人ではできません。
教えてくれる先生やコーチ、支えてくれる保護者、そして一緒に練習するチームメイトがいます。
そうした周囲の人たちへの感謝や尊重も、学生として身につけてほしい姿勢です。
チャレンジ精神、自主性、謙虚さ、感謝。
こうしたことが、わたしの考える学生らしさの1つ目です。
2.学生とは「両立する人」である
もう1つは「両立」です。
学生というのは、バスケットボールだけをやっていればよいわけではありません。
学校では勉強があります。学校行事もあります。家庭での生活もあります。
人によってはアルバイトをしている学生もいるでしょう。
限られた24時間の中で、さまざまなことに取り組む。それが学生という立場なのだと思います。
わたしは生徒によく「大学とは、たくさんある教科の中から、自分の好きな1教科を極めに行くところだ」と話しています。
わたし自身は保健体育という教科を専門的に学ぶために早稲田大学に進学しました。
しかし、小学生や中学生の頃は、国語も数学も理科も社会も、さまざまな教科を勉強しました。
最初から好きだったものもあれば、あまり興味がなかったものもあります。
それでも、いろいろなことを経験したからこそ、自分の好きなものや向いているものが見つかったのだと思います。
これはバスケットボールでも同じです。
ガードをやりたい選手がインサイドのプレーを経験する。シュートが得意な選手がディフェンスやリバウンドに力を入れる。
そうした経験が、その選手の可能性を広げることがあります。
学生時代というのは、自分の可能性を見つけていく時期でもあります。
だからこそ、食わず嫌いをせず、何事にも一生懸命取り組んでほしい。
勉強も部活動も、どちらも前向きに頑張ってみる。
その過程で自分の好きなことや得意なことを発見していく。
これが学生らしさの2つ目だと考えています。
3.学生だからこそ本気で勝利を目指す
では、この2つの姿勢をバスケットボールに置き換えると、どうなるでしょうか。
例えば、試合で最後まで諦めずにボールを追いかけること。
仲間と協力すること。
失敗を恐れず、新しいプレーに挑戦すること。
そして、何よりも本気で勝利を目指すことです。
わたしは「育成だから勝たなくていい」「楽しくやれればそれでいい」という考え方には、少し違和感があります。
もちろん、勝利だけがすべてではありません。
しかし、勝ちたいからこそ一生懸命になれるのではないでしょうか。
本気で勝利を目指したからこそ、勝ったときに心から喜べるし、負けたときには本当に悔しい思いをする。
その経験が人を成長させるのだと思います。
一生懸命やらなければ、負けてもそれほど悔しくないかもしれません。
しかし、毎日の練習に真剣に取り組み、仲間と努力を重ねて、それでも負けてしまった。
その悔しさには大きな価値があります。
学生スポーツが多くの人に感動を与えるのも、選手たちのひたむきな姿勢が伝わってくるからでしょう。
ただし、勝つためなら何をしてもよいということではありません。
ルールを守り、相手を尊重し、正々堂々と勝利を目指す。
そこまで含めて、学生らしいスポーツなのだと思います。
4.「学生らしさ」を押しつけてはいけない
一方で、わたしは「学生らしい」という言葉が、理不尽なルールを押しつける理由になってはいけないとも思っています。
例えば「学生なんだから髪を短くしなさい」とか「学生なんだから指導者に意見を言うな」といったことです。
これは学生らしさの本質とは違うのではないでしょうか。
また「勝っても負けても常に笑顔でいなさい」という指導もあります。
もちろん、負けたからといって物に当たったり、相手を侮辱したりすることは許されません。
しかし、本気で戦って負けたのであれば、悔しさを表現してもよいと思います。
泣いてもいいし、悔しい顔をしてもいい。
むしろ、そうした姿こそ学生らしいと感じることもあります。
大事なのは表面的な態度をそろえることではなく、なぜその行動が必要なのかを理解することです。
指導者が「学生らしくしなさい」と言うのであれば、まず指導者自身が、その意味を言葉にできる必要があると思います。
5.海外でも人間教育は重視されている
最後に、海外でも学生らしさを指導しているのか、という質問についてです。
これは国や指導者によって違うので、一概には言えません。
ただ、わたし自身の経験では、海外にも人間教育を重視する指導者はたくさんいました。
2003年頃、大学院生だったわたしは、日本代表のサポートスタッフとして活動する機会をいただきました。
当時のヘッドコーチはジェリコ・パブリセビッチさんでした。
わたしはビデオ撮影やスタッツ集計などを担当しながら、代表チームの練習や遠征に同行させていただきました。
そこで印象に残っているのが、ジェリコさんが選手たちに人間としての振る舞いを指導されていたことです。
飛行機でのマナー、ホテルでの過ごし方、チームの荷物を協力して運ぶこと。
日本代表の選手たちに対しても、そうしたことを伝えていました。
わたしは、その姿がとても印象に残っています。
また、UCLAの名将ジョン・ウッデンも、技術や戦術だけでなく「成功のピラミッド」を通して人間としてのあり方を説いていました。
バスケットボール選手である前に、スポーツマンであること。そして、スポーツマンである前に、1人の人間であること。
これは日本だけでなく、世界にも共通する考え方なのだと思います。
学生らしいバスケットボールとは、特定の髪型やプレースタイルを求めることではありません。
学び続けること。いろいろなことに挑戦すること。勉強と部活動を両立すること。そして、仲間とともに本気で勝利を目指すこと。
わたしは、そのような姿勢を選手たちに伝えていきたいと思っています。
皆さんは「学生らしいバスケ」について、どのように考えますか?
ぜひ、ご自身のチームでも考えてみてください。
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