こんにちは、三原です。いつもありがとうございます。
わたしは現在、東京の安田学園で高校生の男子バスケ部を教えています。
指導者として大事にしているのは、生徒主体の「ボトムアップ理論」です。
- みんなが主役
- みんなで成長
- いきいきした組織
をモットーに、令和時代の部活動モデル校を目指しています。
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さて前回の記事では、ゲームモデルの「クリエイト局面」について詳しく書きました。
そしてこの記事では、ピック&ロールについて詳しく書きます。
- ピック&ロールについて詳しく知りたい
- いつも簡単に守られてしまう
- ピック&ロールでかえってミスが増えてしまう
こんな悩みをお持ちの方はぜひ最後までこの記事をお読みください。
動画はこちらです。
音声だけの聞き流しでも学べるようにつくってあります。
ピック&ロールは16歳から
まず最初にお伝えしたいのは、ピック&ロール(PNR)は16歳からということです。
【育成カリキュラム「クリエイト局面」】
U12は1対1でやっつけることが最優先。そのためのカッティングもやりましょう。ポストアップも全員が習得すべきです。ボールをもらう前を助けるオフボールのスクリーンはU14から。オンボールスクリーンはU16以降に取り組みましょう pic.twitter.com/Ta1zoBeauW— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) March 26, 2023
小さいころから取り組んだ方がうまくなりそうですが、世界の動向はそうなっていません。
はじめからオンボールを助けてしまうと、個人でディフェンスをやっつけるスキルが身につかない。
だから最初はスクリーンせずに、ドリブルやハンドリングを磨くべき。
これが世界中の考え方です。
JBAの育成指針もこのようになっています。ぜひご確認ください。
【バスケ育成プログラム オフェンス】
①1対1とサポートはいつでも大事
②トランジションも大事
③それがやりやすい5アウトが最高
④14歳からオフボールスクリーンを入れる
⑤4アウトにしてポストマンも入れていい
⑥オンボールスクリーンは16歳以降
⑦3アウトもセットプレイも16歳以降 pic.twitter.com/sCjNJhvjBG— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) March 21, 2023
パニッシュメント(構造をやっつける)
ピック&ロールを完全攻略するために、パニッシュメントという考えがとても重要です。
パニッシュメントとは「罰」という意味。
ディフェンスは何かの方法で守ったら、他の方法を守れません。その代償を払ってもらいますよ、というのがパニッシュメントです。
わかりやすく例を出します。
ハードショウのパニッシュメントはダイブ
pic.twitter.com/eIr5bK8g75— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) April 2, 2023
このツイート動画は、ハードショウ(ボールマンに積極的に仕掛ける)をすると、スクリーナーに走り込まれる(ダイブ)は止められない、というプレーです。
このような「代償」をパニッシュメントと言います。
構造をつくらせない
もうひとつの考えは、構造をつくらせないというものです。
たとえば先ほどのハードショウですが、スクリーナーのディフェンスが遅れてしまえば、ハードショウしたくてもできなくなります。
なので構造として、ハードショウをさせないようにする、という考え方です。
たとえば、スクリーナーにスクリーンするのがひとつの方法です。
RAMスクリーンとスペインピック
pic.twitter.com/Nrxjb49llW— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) April 2, 2023
このように、ディフェンスが守りたくても守れない工夫をすることを、構造をつくらせないと言います。
やっつける > つくらせない
ちなみに、育成としては構造をやっつけるを優先してください。
その方が、個人のスキルが高まるからです。
構造をつくらせないのは、どちらかというと戦術面が強くて、コーチの仕事です。
構造をやっつけることを優先した方が、選手の判断力が高まります。
U18までは、構造をやっつけることだけをするといいでしょう。
まずはリジェクトを狙え
どんなスクリーンも、前提としてリジェクトを狙いましょう。
このツイートを参照してください。
オンボールスクリーンは、必ず「リジェクト」を狙いましょう。スクリーンを断り(リジェクト)、まっすぐ抜き去ることを第一にする。するとディフェンスは正面に入るから、はじめてスクリーンがかかります。すべての攻撃は、リジェクト狙いから始まる。 pic.twitter.com/AZMzbQZYhY
— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) March 26, 2023
これはけっこう大事なことなので、必ず頭に入れておきましょう。
では、1つずつピック&ロールの攻め方を見ていきます。
一覧はこちらです。
【クリエイト局面のピック&ロール】
ピックにはいろんな守り方があります。すべての共通点は「必ず守れないプレイがある」こと。ボールを守ればダイブは守れない。中を固めれば、外を守れない。その代償(パニッシュメント)を払わせるか、守るための構造をつくらせないことが攻略のカギ pic.twitter.com/dUuZzyIQCK— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) March 22, 2023
ハードショウ
スクリーナーのディフェンスが高く上がる守り方です。
ボールハンドラーを苦しめるのが目的です。
その代わり、ダイバーがパニッシュメントになります。
【オンボールスクリーンの守り「ハードショウ」】
ボールマンにプレッシャーをかける守り方がハードショウです。ボールに積極的に仕掛けることがメリットですが、ダイブに弱いのがデメリットになります。 pic.twitter.com/cQQ7H9Dsqt— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) March 26, 2023
ハードショウ
pic.twitter.com/BdEvRKIkj3— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) April 2, 2023
ハードショウに対するダイブ
pic.twitter.com/RVOKlQ15hs— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) April 2, 2023
スリップスクリーン
pic.twitter.com/yTMfk0Mokv— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) April 2, 2023
コンテイン
コンテインはスクリーナーのディフェンスが下がることです。
ゴール下のシュートを許しません。
スクリーナーのポップアウトがパニッシュメントです。
ハンドラーがジェイルすると、ペイント内が2対1になるので、これもパニッシュメントになります。
【オンボールスクリーンの守り方「コンテイン」】
スクリーナーのディフェンスがゴール方向に下がるのがコンテインです。ゴール下のイージーシュートを許さない代わりに、スクリーナーのポップアウトに無力です。 pic.twitter.com/yI0l1CBjaA— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) March 26, 2023
コンテインディフェンス
pic.twitter.com/VUhOm3zdqG— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) April 2, 2023
コンテインに対するジェイル
pic.twitter.com/bVfwGAWTkN— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) April 2, 2023
ピック&ポップ
pic.twitter.com/0hLQ0HEDz8— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) April 2, 2023
スイッチ
マークマンを交換するのがスイッチです。
2人だけで守りを完結させます。
他のカバーを必要としないのが最大のメリットです。
しかし、ミスマッチが起こるのがパニッシュメントです。
【オンボールスクリーンの守り方「スイッチ」】
マークマンを交換して守るのがスイッチ。比較的かんたんに守れるのがメリット。また最大の魅力は、ヘルプを必要とせず、2人でスクリーンディフェンスが完結できること。ただし、サイズやスピードのミスマッチアタックをされるのがデメリット。 pic.twitter.com/nLZh8DYgnw— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) March 26, 2023
ブーメランパスというのは、パスしてもう一度もらうプレーです。スペースと体制を整えます。
スイッチとブーメランパス
pic.twitter.com/J8iYPzv4wc— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) April 2, 2023
あいまいなスイッチには、シールしちゃえば勝てます。
pic.twitter.com/tkXpCD1Pyf— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) June 11, 2022
スイッチの瞬間にダイバーがノーマークにもなります。
アーリースイッチに対するショートロール
pic.twitter.com/EGgkAeZ9s2— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) April 2, 2023
アイス
アイスは、ボールマンをサイドライン方向に限定してディフェンスする方法です。
スクリーナーのディフェンスは下がります。
下から上にセットアップスクリーンされると守れないのがパニッシュメントです。
【ピック&ロールディフェンス】アイス
サイドライン方向に限定してボールマンを誘導させるディフェンス方法 pic.twitter.com/xdHVe22HR3— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) April 4, 2023
ピック&ロールの守り方「アイス」
・ボールマンはサイド方向に限定
・センターはゴール近くに下がる
・ミドルシュートをさせるピックには仕掛ける「ショウ」で守るのが理想的ですが、センターが動けないなら最初から下がっちゃう。するとレイアップはされません。
— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) July 23, 2020
【構造をつくらせない】
アイスディフェンスに対するセットアップスクリーン pic.twitter.com/u8PmauDcEN— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) April 4, 2023
セットアップスクリーン
pic.twitter.com/X8clnXUbF1— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) April 2, 2023
ダブルチーム
ボールマンに2人仕掛けて、ミスをさせるのがダブルチームです。
突破されると後ろが4対3になっちゃうのがパニッシュメントです。
【ピック&ロールディフェンス】ダブルチーム
ボールマンに2人行き、仕掛ける。リスクを負い、ミスを誘うディフェンス pic.twitter.com/3uynro4q7I— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) April 4, 2023
ダブルチーム
pic.twitter.com/MCFjuhKH1t— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) April 2, 2023
ダブルチームとスキップパス
pic.twitter.com/RJhNl4oZ0q— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) April 2, 2023
ジャム
ジャムはスクリーナーのディフェンスがお腹をべったりつけて、ダイブさせない守り方です。
ハンドラーが自由になってしまうのがパニッシュメントです。
【ピック&ロールディフェンス】
ダイブをさせない「ジャム」ディフェンス。ダイバーの5にX5がくっつく守り方。ハンドラーを自由にさせてしまうのがデメリット pic.twitter.com/Eig4vjNNjb— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) April 4, 2023
【ピック&ロールディフェンス】
ダイブをさせない「ジャム」ディフェンス。ダイバーの5にX5がくっつく守り方。ハンドラーを自由にさせてしまうのがデメリット pic.twitter.com/Eig4vjNNjb— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) April 4, 2023
ジャムには、スクリーン行くふりして行かない「ゴースト」も有効です。
ゴーストとは、おばけという意味です。
消えちゃうってことですね。
ゴーストスクリーンでスペースをつくる
pic.twitter.com/KR3zKzXTfQ— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) April 2, 2023
ネクスト
ネクストは、隣のディフェンスがカバーに行くことです。
3人以上の複雑なスイッチになります。
【ピック&ロールディフェンス】
ネクスト。隣のディフェンスがカバーに出る。 pic.twitter.com/LTSBjUV3r2— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) April 4, 2023
ピック&ロールの場面ではありませんが、ローテーションのイメージはこんな感じです。
レイカーズのスイッチアップとローテーションもすごくいいですね!まるでコート上に6人いるみたい!
pic.twitter.com/CvoD6Lt8ZW— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) September 20, 2020
パニッシュメントとしては、オフボールに動かれるとカバーできないことです。
【構造をつくらせない】
ネクストディフェンスをさせないために、オフボールのムーブを入れる。ネクストはそこにオフェンスがいなければできませんからね。 pic.twitter.com/qwUde4i4oO— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) April 4, 2023
ピック&ロールを成功させるには、2人のスキルというより「となりに邪魔がいないこと」が大事です。つまり、ピックに入る前の他の3人がどう動くかで、ほとんど決まり。この動画くらいガラガラのスペースが作れたら、もう最高🏀
pic.twitter.com/26HO7bQv91— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) December 4, 2020
戦術的負荷を高めよう
以上が代表的なピック&ロールの守り方と、パニッシュメントです。
よい動画があれば、また更新します。
これを見て「ずいぶん複雑だなあ」と思われたかもしれません。
でも、戦術的負荷という言葉があります。
戦術の理解を少しずつ高めていき、プレーヤーの頭を鍛える指導法です。
サッカーですが、この本に詳しく書かれています。
U16以降にピック&ロールを導入したら、急にではなく徐々にでいいので、戦術的負荷を高めましょう。
判断力に優れたプレーヤーが育つこと間違いなしです。
安田学園の練習に来てください
わたしたちは東京都墨田区にある私立の進学校です。
- 平日は月・水・木の16時から
- 土曜日は午後
- 日曜日は午前か午後のどちらか
週5日間活動しています。
活動内容はこちらのページもご覧ください。
https://coach-mm.com/yasuda/
「高校で勉強もバスケもがんばりたい」、「ボトムアップ理論で成長したい」という中学生とその保護者の方。
また「ボトムアップ理論を学びたい」という指導者の方が、おかげさまで日本中から見学にいらしています。
あなたもぜひ、お気軽に安田学園バスケ部に遊びに来てください。
最後にお知らせ
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- 三原の頭の中を共有する記事
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- 月に1回のオンライン勉強会
などをしています。ぜひ案内ページをのぞいてみてください。
最後までお読みくださり、感謝しています。
ありがとうございました。三原学でした。それでは、また。
記事を最後までお読みくださり、感謝しています!
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