こんにちは、三原です。いつもありがとうございます。

今日は、

「練習でAチーム、Bチームを分けるべきですか?」

というご質問についてお話しします。

中学男子バスケ部の顧問の先生から、こんなご質問をいただきました。

競り合いが成長につながると思い、1対1や2対2の練習では、能力の高いメンバー同士を指定して取り組ませています。

しかし、このままだといわゆるBチームの選手たちのモチベーションが上がらないのではないか、と悩んでいます。

三原先生はどのようにされていますか?

すごくよく分かるご質問です。

結論から言うと、

ABチームを分けることにも、分けないことにも一長一短があります。

ですので、

「何のために分けるのか」

という目的を持って行うことが大切だと思っています。

今回は、

  • ABを分けるメリット
  • ABを分けるデメリット
  • ABを分けないメリット
  • ABを分けないデメリット
  • 私自身はどうしているのか

という順番で考えていきます。


技術は一番下に、体力は一番上に合わせる

まず、チーム全体の練習を考えるうえで、私が大切にしている考えがあります。

それは、

「技術は一番下の選手に合わせる。体力は一番上の選手に合わせる」

ということです。

初心者であっても、上級者であっても、レギュラーであっても、控えであっても、基本的な技術は大きく変わりません。

トップレベルのプロ選手でも、

  • フットワーク
  • ハンドリング
  • レイアップ
  • シュート
  • フリースロー

といった基本練習を行います。

だから技術については、チームの中でも一番基礎的なところに合わせて、全員で徹底して取り組んでいいと思っています。

一方、体力については、できるだけ一番上の選手に合わせたい。

全員にとってきつい練習にしていく。

ここは重要だと思っています。

逆にしてしまうと、うまくいきません。

体力を一番下に合わせると、上の選手は手を抜かなければいけなくなります。

技術を一番上に合わせてしまうと、初心者の選手にとっては消化不良になりやすい。

ですので、

技術は下に、体力は上に合わせる。

まずはこれが、私の基本的な考えです。


ABチームを分けるメリット

そのうえで、ABチームを分けるメリットを考えてみます。

1.競争が生まれる

一番大きいのは、競争が生まれることです。

Aチームに入る。

ベンチメンバーに入る。

試合のローテーションに入る。

こうした仕組みがあることで、健全なライバル関係が生まれやすくなります。

競争そのものが悪いわけではありません。

むしろ、

「もっと上に行きたい」

という気持ちを生み出すことは、選手の成長につながると思っています。


2.同じ強度で練習できる

質問者の方がおっしゃっていたように、同じくらいのレベルの選手同士で練習することで、強度を保ちやすくなります。

例えば1対1。

ものすごく実力差がある2人が1対1をやっても、どちらにとっても良い練習にならないことがあります。

速攻の練習でも、

1人だけものすごく速く、1人だけ極端に遅い。

そうなると、どこかでスピードを合わせなければいけません。

だから、

強い選手同士、初心者同士など、ある程度レベルを合わせることは強度をコントロールする方法の一つ

だと思います。


3.自分の課題が分かりやすい

AとBが分かれていることで、自分の現在地も分かりやすくなります。

例えば、

「Aチームに入るためには何が必要なのか」

「ベンチメンバーに入るためには何が足りないのか」

「試合に出るためには何を伸ばせばいいのか」

こうした課題を意識しやすくなります。

勝ち負けや評価があるからこそ、自分自身と向き合える部分もあります。


ABチームを分けるデメリット

もちろん、デメリットもあります。

私が特に気をつけたいと思っているのが、

中間層の選手たちです。

例えば、

Bチームでは一番上。

でもAチームに入れば一番下。

このあたりにいる選手です。

トップの選手には目が行きやすい。

初心者の選手にも目が行きやすい。

ところが、その間にいる選手というのは、意外とケアされにくいんです。

しかも本人としては、

「あと少しでAに行ける」

「でもなかなか上がれない」

という悩みを抱えやすい。

ABに分けるのであれば、

Bチームの上位層をしっかり見ること。

ここはとても大切だと思います。


評価するということは、評価されるということ

ここで、指導者として覚えておきたいことがあります。

それは、

「評価するということは、評価されるということ」

です。

選手をAとBに分ければ、

「あの先生は、こういう選手を評価するんだな」

と、選手からも保護者からも見られます。

「ちゃんと見てくれている」

と思われることもあれば、

「見る目がない」

と思われることもあるでしょう。

全員が納得する評価というのは、なかなかありません。

だからこそ、

ヘッドコーチや監督が責任を持って決める。

そして、

全員の納得を得ることは難しい

ということも理解したうえで評価する必要があります。


ABチームを分けないメリット

では逆に、ABを分けず、全員を混ぜて練習するメリットは何でしょうか。

一番大きいのは、

チームの仲が良くなりやすいこと。

そして、

「みんなで頑張ろう」

という雰囲気を作りやすいことです。

ワンチームとして取り組むという意味では、非常に良い方法だと思います。


思わぬ選手の良さに気づく

私自身、ABを分けずに混ぜて練習したことで、何度も気づかされたことがあります。

「あれ、この選手こんなプレーできるんだ」

「こんなところに才能があるんだ」

「ちょっと試合に出してみようかな」

こうした発見です。

ABを完全に分けてしまうと、どうしても指導者側にも、

「この選手はA」

「この選手はB」

という決めつけが生まれてきます。

ある意味、選手を見る目が凝り固まってしまうんです。

ところが混ぜることで、新しい組み合わせが生まれる。

そこで初めて見える長所があります。

特に、小学生や中学生など、カテゴリーが下になればなるほど、選手の可能性は大きいと思います。

だからこそ、

育成年代では、ときどき混ぜることにも大きな意味がある

と感じています。


ABを分けないデメリット

一方で、混ぜることにもデメリットがあります。

それは、

競争が生まれにくく、強度を保ちにくいこと。

例えば、実力差の大きい選手同士で対人練習をしても、お互いに十分な負荷がかからないことがあります。

また、全員が同じように試合に出るような環境になると、

「もっと上を目指したい」

という選手にとっては、物足りなさが出ることもあります。

ABを分けた場合には、Bチームの上位層が不満を持ちやすい。

逆にABを分けない場合には、

主力選手が不満を持つことがあります。

例えば、

「自分たちはもっと高いレベルで真剣に練習したい」

「なぜ同じ温度感ではない選手とずっと練習しなければいけないのか」

ということです。

結局、

どちらを取るのか

という話になります。


私は基本的にABを分けています

では、私はどうしているのか。

私は20年以上バスケットボールを指導してきましたが、

基本的にはABを分けています。

大学生はもちろん、高校生も分けています。

高校生というカテゴリーを考えたとき、

  • 選手の成長
  • 試合に勝つこと
  • 成功体験
  • 競争心

こうしたものを考えると、

良い意味で負荷をかけるためにも、ある程度分けた方がいい

というのが、今のところの私の考えです。

これは体育の授業でも同じです。

例えば体育でサッカーをやるとき。

全員を混ぜる方法もあります。

でも、ときには同じくらいのレベルで分けた方が、初心者もボールに触れる回数が増えます。

上手な選手ばかりの中に初心者が入ると、

「全然ボールが回ってこない」

「ボールが来るのが怖い」

ということもあります。

そう考えると、

組織としては、ある程度分けるメリットは大きい

と思っています。


20人以上なら分けてもいい

特に人数が20人以上いるのであれば、私はかなり積極的に分けていいと思っています。

20人なら10人ずつ。

1対1をするとき。

シューティングドリルをするとき。

対人練習をするとき。

その都度ある程度、

「今日はこのグループ」

と分ける。

そうすることで、練習の強度も質も上げやすくなります。


ただし固定しない

ただし、ここが一番重要です。

一度決めたABを、そのまま固定しないこと。

頻繁に入れ替える仕組みを作る。

これはすごく大事だと思います。

選手の可能性を引き出すためにも必要ですし、ストレスをマネジメントする意味でも必要です。

選手の声を聞くこともあります。

「最近、頑張っている選手いる?」

「誰が良くなっていると思う?」

そうすると、

「○○が最近いいですよ」

という声が出てくることがあります。

それなら、

「次の練習試合でちょっと変えてみよう」

となる。

こうやってチームの中を活性化させていく。

AとBの間に行き来があること。

これがとても重要だと思います。


オフシーズンは混ぜる

大会がひとまず終わり、次の大きな大会まで時間がある。

そんなオフシーズンでは、あえて混ぜて練習することもあります。

シーズン中は競争を重視する。

オフシーズンは可能性を広げる。

このように時期によって使い分けることも一つの方法です。

私のチームでも、そのようにすることが多いです。


まとめ

ABチームを分けることには、

  • 競争が生まれる
  • 強度を保ちやすい
  • 自分の課題が明確になる

というメリットがあります。

一方で、

  • 中間層の選手が悩みやすい
  • 指導者の評価が固定化しやすい

というデメリットがあります。

逆に、ABを分けないことで、

  • チームの雰囲気が良くなる
  • 選手の新しい可能性に気づける

というメリットがあります。

一方で、

  • 競争が生まれにくい
  • 強度を保ちにくい
  • 主力選手に不満が生まれる可能性がある

という課題もあります。

ですので大切なのは、

ABを分けるか、分けないかではありません。

何のために分けるのか。

そして、

一度決めた評価を固定しないこと。

だと思います。

私は基本的には分けます。

ただし、頻繁に入れ替える。

オフシーズンには混ぜる。

選手の声も聞く。

そんな柔軟な運用をおすすめします。

そして最後に、もう一度。

「評価するということは、評価されるということ」

指導者が選手を見るとき、選手もまた指導者を見ています。

だからこそ、責任を持って評価しながらも、常に選手の変化や可能性を見続けたいものです。

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ABOUT ME
三原学
1981年、東京都生まれ。早稲田大学大学院卒。学生時代にマネージャーとなり、バスケ指導者を志す。 22歳から高校バスケ指導を始めて、早稲田実業高校ではウインターカップ出場、関東新人大会優勝。現在は母校の安田学園高校で監督を務める。選手が主役のチーム作り「ボトムアップ理論®︎」により、日本の部活動モデル校を目指している。 2024年から早稲田大学男子バスケットボール部のヘッドコーチも務める 日々学んでいる指導体験をブログやYouTube「バスケの大学」で発信して、総フォロワーは30,000人を超える。 日本バスケットボール協会公認A級コーチ、ジュニアエキスパートコーチ。ボトムアップ理論®︎エキスパートコーチ。 月刊バスケットボールにて「まんが戦術事典」を連載中。著書多数。
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