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接戦の残り1分で、ベンチは何を判断するのか

こんにちは、三原です。いつもありがとうございます。

バスケットボールの試合で、残り1分を切った接戦ほど、ベンチワークの差が出る場面はありません。

選手の技術やメンタルももちろん大きいです。ただ、それと同じくらい、コーチが何を判断し、どのタイミングで何を指示するかが、勝敗を分けることがあります。

今回は、NBAファイナル第5戦、ニューヨーク・ニックスとサンアントニオ・スパーズの残り1分の攻防から、指導者として学べることを整理してみたいと思います。

わたし自身、ニックスが大好きなので、かなり興奮しながら見ていました。ただ、コーチの視点で見ると、ただの名勝負ではなく、接戦の終盤に必要な判断がぎゅっと詰まった試合でもありました。

 

最後はエースに攻めさせる

まず大事なのは、終盤に誰に攻めさせるかです。

この試合では、スパーズはこの日当たっていたハーパーに攻めさせました。ニックスはもちろん、ブランソンです。この日のブランソンは45点。まさに大エースでした。

接戦の終盤で、誰にボールを託すのか。これは、チームとしての覚悟でもあります。

もちろん、うまくいくとは限りません。外すこともあります。止められることもあります。でも、最後にエース、あるいはその日いちばん当たっている選手に託したなら、チームとして後悔は少ないと思うのです。

指導者として避けたいのは、誰に攻めさせるのかが曖昧なまま終わることです。

「何となくパスが回って、何となくシュートになった」
「本当はエースに持たせたかったけど、そうならなかった」

これでは、試合後に悔いが残ります。

だからこそ、普段の練習から終盤の形を決めておく必要があります。残り1分、2点差、タイムアウト明け。この場面で誰に持たせるのか。どこでボールを受けさせるのか。そこまで準備しておくことが、ベンチワークだと思います。

ファールゲームは残り時間だけで考えない

次に学びたいのは、ファールゲームの判断です。

わたしは、ファールゲームをするかどうかは、ただ残り時間を見るだけではなく、ゲームクロックからショットクロックを引いて考えるべきだと思っています。

たとえば、残り26秒でショットクロックが22秒なら、守り切ったとしても残りは4秒です。反対のゴールから4秒で攻めるのは、かなり難しい。そう考えると、ここでファールゲームに行く判断は理解できます。

1つの基準として、ワンポゼッション差なら、守り切ったあとに8秒以上残るかどうか。8秒以上残るなら我慢。8秒以下になりそうならファール。わたしは、こう考えています。

ただ、この試合では、その後に難しい場面がありました。

ニックスがフリースローを外し、ロビンソンがオフェンスリバウンドを取りました。これは本当に大きなプレーでした。しかも、オフェンスリバウンドなのでショットクロックは14秒。ゲームクロックは25秒前後ありました。

つまり、スパーズからすれば、ここは守り切れば10秒ほど残してマイボールにできる場面だったのです。

でも、そこでファールをしてしまった。しかも、フリースローのうまい選手にファールしてしまった。

もちろん、NBAファイナルの舞台で、わたしが簡単に批判できるものではありません。ただ、指導者の勉強として見るなら、「ここは守る選択もあったのではないか」と考えさせられる場面でした。

ファールゲームは、早ければいいわけではありません。誰にファールするのか。何秒残るのか。守り切った場合に、次の攻撃が成立するのか。そこまで考えて判断する必要があります。

勝っているチームがファールする選択もある

もう1つ、非常に面白かったのが、勝っているチームのファールです。

残り8秒、3点リード。普通なら「ノー3」と言って、3ポイントだけは絶対に打たせない守り方をします。

しかし、この場面でニックスは逆にファールをしました。

これは、3ポイントを打たれる前にファールをして、相手を2本のフリースローにするという考え方です。2本決められても、まだ1点リードでマイボール。もちろんリスクはありますが、究極の「ノー3」として、こういう選択もあるのです。

日本の中学、高校の試合でも、接戦の終盤は必ずあります。

そのときに、ただ「守れ」と言うだけではなく、何を守るのかを明確にしなければいけません。3点リードなら、2点は許してもいい。逆に、3ポイントだけは絶対に打たせない。

この整理が、ベンチにも選手にも必要です。

そして最後に、ワンプレーのための交代です。

ニックスは終盤、ブランソンをオフェンスでは出し、ディフェンスでは下げるような交代をしていました。得点を取りに行くときはエースを出す。でも、リバウンドやサイズが必要なときは、大きな選手を入れる。

これは本当に勉強になります。

「エースだから最後まで出す」
「スタメンだから最後まで出す」

そうではなく、次の1プレーに必要な5人を選ぶ。フリースローのリバウンドを取りたいなら大きな選手を出す。守りたいなら守れる選手を出す。攻めたいなら得点できる選手を出す。

接戦の終盤は、1ポゼッションごとに試合の意味が変わります。

わたしたちの現場でも、ここは学べるところがたくさんあります。特別な戦術ではなく、明日の試合から考えられることです。

最後は誰に攻めさせるのか。
ファールゲームに行くのか、守り切るのか。
3点リードのとき、何を守るのか。
ワンプレーのために交代できる準備があるか。

こういうことを、普段からチームで共有しておくことが大事です。

接戦は、偶然だけで勝ち切れるものではありません。もちろん選手のビッグプレーはあります。でも、そのビッグプレーが出る前に、ベンチが準備していることがある。

わたしも、こういう試合を見るたびに、まだまだ学ばなければいけないなと感じます。

あなたのチームも、いつか必ず接戦を迎えます。そのときに、今日の話が少しでも役に立てば嬉しいです。

 

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ありがとうございました。それでは、また。

ABOUT ME
三原学
1981年、東京都生まれ。早稲田大学大学院卒。学生時代にマネージャーとなり、バスケ指導者を志す。 22歳から高校バスケ指導を始めて、早稲田実業高校ではウインターカップ出場、関東新人大会優勝。現在は母校の安田学園高校で監督を務める。選手が主役のチーム作り「ボトムアップ理論®︎」により、日本の部活動モデル校を目指している。 2024年から早稲田大学男子バスケットボール部のヘッドコーチも務める 日々学んでいる指導体験をブログやYouTube「バスケの大学」で発信して、総フォロワーは30,000人を超える。 日本バスケットボール協会公認A級コーチ、ジュニアエキスパートコーチ。ボトムアップ理論®︎エキスパートコーチ。 月刊バスケットボールにて「まんが戦術事典」を連載中。著書多数。
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