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パスのリズムが悪いチームに、まず取り入れたいタイミングドリル

こんにちは、三原です。いつもありがとうございます。

試合を見ていて、「なんだかパスのリズムが悪いな」と感じることはありませんか。ボールがいちいち止まってしまう。いいところにボールが回らない。選手は一生懸命やっているのに、オフェンス全体が重たく見える。

これは、パスの技術だけの問題ではないと、わたしは考えています。大事なのは、ボールを受ける側のタイミングです。

わたしは、よいオフェンスのリズムを

「静から動」

「集から散」

という言葉で表現しています。止まっているように見せて、パッと動く。ぎゅっと縮まっておいて、パッと広がる。このリズムがないと、パスはなかなか気持ちよく回りません。

今日は、その感覚を身につけるための「タイミングドリル」を紹介します。地味な練習ですが、パスのリズムを作るうえで、かなり効果のある練習です。

パスは出す人より、受ける人のタイミングで決まる

まず紹介したいのは、Vカットだけでパスを5回回す練習です。

形は3対0です。トップの高い位置に1人、45度のウイングに2人立ち、三角形を作ります。トップの選手がドリブルで入り、3ポイントラインの少し外あたりでジャンプストップします。

この「止まった瞬間」がポイントです。

トップの選手が止まった瞬間に、両ウイングの選手が制限区域あたりから外へ跳ねるようにVカットします。ドリブルしている間に片方だけが先に動き終わってしまうと、パスコースが1つに限定されます。そうではなく、ボールマンが止まった瞬間に、左右の選手が同じタイミングでパッと広がる。

これが「集から散」です。

このタイミングが合うと、ボールマンからすると左右どちらにもパスが出せます。もし試合でディフェンスが外に広がって守ってきたら、今度はトップの選手が1対1で攻めるチャンスも出てきます。だから最初のこのタイミングが、とても大事なんです。

「ボールの隣はVカット」でリズムを作る

次に、パスを出した後の動きです。

トップからウイングへパスを出したら、ボールの隣の選手がVカットをします。ガードの選手であれば、縦に動くよりも横にアウェイして、また戻ってミートするようなVカットが試合では多いと思います。ですから、わたしはこの練習では横のVカットを多めにしています。

大事なのは、ボールを持った選手がリングを向いた瞬間に、次の選手がパッと出てくることです。

ボールをもらってから考えるのでは遅い。ボールマンがリングを向いたときには、もう次のパスコースができている。これがパスのリズムになります。

この練習では、ボールを止めません。もらったらすぐ次へ。ドリブルで整えたり、ボールを持って考えたりしない。パスを5回回して、最初にボールを持った選手に戻ったら、ジャンプシュートでもドリブルレイアップでもいいのでフィニッシュします。

本当に地味です。ですが、こういう形の練習をバカにしてはいけません。選手が「いつ動けばパスがもらえるのか」を覚えるには、こうしたタイミング合わせの練習が必要です。

バスケットカットを入れると、ポストアップにもつながる

Vカットで5回パスを回す練習に慣れてきたら、次はバスケットカットを入れます。

最初の形は同じです。トップからドリブルで入り、止まった瞬間に両ウイングがパッと広がる。どちらかにパスを出します。

そこから、先ほどは横にVカットしてボールをもらい直しました。しかし、もし自分のディフェンスがしっかりついてこなかったらどうでしょうか。横に動くふりをして、そのままリングに向かって走り込めます。

これがバスケットカットです。

バスケットカットした選手には、ディフェンスが遅れてついてくることが多いです。すると、制限区域付近で身体接触が起き、ポストアップの形になります。ここで一度しっかりポジションを取って止まります。

同時に、逆サイドの選手は大きめのVカットをして、トップに上がってボールを受けます。元々トップにいた選手がカットしていなくなったので、そこにスペースができます。ただ、なんとなく真っすぐ上がるとディフェンスに守られやすい。だから一度ディフェンスを押し込んでから、パッと出る。ここでも「静から動」です。

そして、ボールがトップに戻った瞬間、ポストアップしていた選手と逆サイドの選手が、同じタイミングで外へ広がります。そうすると、ボールマンから見て左右どちらにもパスが出せます。

最後はパスを5回回して、5回目の選手がシュートしてもいいですし、バスケットカットでポジションを取った選手にリターンパスを入れてフィニッシュしてもいいです。ポストマンを使いたいチームにとっては、この練習は特に意味があります。

ポストアップは、ただ「中で張れ」と言えばできるものではありません。いつ中に入るのか。いつ止まるのか。いつ外が広がるのか。そのタイミングが合わないと、ポストにボールは入りません。

だからこそ、「静から動」「集から散」という感覚を、3対0の段階で体に入れておく必要があります。

まずは3対0でいいから、タイミングをそろえる

試合の中でパスが止まると、どうしても指導者は「早く出せ」「動け」と言いたくなります。わたしもそう言いたくなることがあります。

でも、選手からすると、動くタイミングがわかっていないだけかもしれません。どこに動くかは知っていても、いつ動くかがそろっていない。だからパスが出ないし、ボールが止まる。

そう考えると、まずやるべきことは複雑な戦術ではなく、タイミングを合わせる練習です。

ディフェンスをつけなくて構いません。まずは3対0で、Vカット5回。次にバスケットカットを入れて5回。これを丁寧にやってみてください。

合言葉は、「静から動」「集から散」です。

止まるから、動きが生きる。縮まるから、広がりが生きる。パスのリズムは、ボールだけで作るものではありません。ボールを持っていない選手のタイミングで作られます。

明日の練習で、ぜひ一度やってみてください。地味ですが、チームのオフェンスが少しずつ変わっていくはずです。

 

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ABOUT ME
三原学
1981年、東京都生まれ。早稲田大学大学院卒。学生時代にマネージャーとなり、バスケ指導者を志す。 22歳から高校バスケ指導を始めて、早稲田実業高校ではウインターカップ出場、関東新人大会優勝。現在は母校の安田学園高校で監督を務める。選手が主役のチーム作り「ボトムアップ理論®︎」により、日本の部活動モデル校を目指している。 2024年から早稲田大学男子バスケットボール部のヘッドコーチも務める 日々学んでいる指導体験をブログやYouTube「バスケの大学」で発信して、総フォロワーは30,000人を超える。 日本バスケットボール協会公認A級コーチ、ジュニアエキスパートコーチ。ボトムアップ理論®︎エキスパートコーチ。 月刊バスケットボールにて「まんが戦術事典」を連載中。著書多数。
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