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ポジションはあるものじゃなく、つくるもの 24-6-30 #289

こんにちは、三原です。いつもありがとうございます。

この記事はラジオの原稿です。

この放送は、Voicyでお話ししています。ぜひお聞きください

 

今日は「ポジションにとらわれない、新しいバスケットの形」というテーマでお話しします。

最近、日本代表の女子バスケットボールチームのメンバー発表がありました。その発表を見て、私は大きな気づきを得たんです。

その気づきを、今日はみなさんと共有したいと思います。

この話は、単に日本代表チームの話だけではありません。あなたが指導しているチーム、あなたが所属しているチーム、そういったすべてのバスケットボールチームに当てはまる、普遍的な話です。

ですので、最後までじっくりとお付き合いください。きっと、あなたのバスケットボール観を大きく変える可能性がある内容だと思います。

 

メンバー発表と批判の声

まずは、発表されたメンバー構成についてお話ししましょう。

 

12人のメンバーのうち、ガードが5人もいるんです。内訳を見てみると、ポイントガードが3人、シューティングガードが2人。

一方で、センターの登録は高田選手1人だけ。しかも、高田選手はオールラウンドプレイヤーで、いわゆる従来型のセンターとは異なります。

フォワードは、シューター的な役割を期待されている選手が多く、パワーフォワード登録の選手も含めて、全員が3ポイントシュートを打てる選手たちです。

この構成に対して、SNSなどで批判の声が上がっていました。

「ガードが多すぎる」
「センターがいない」
「リバウンドは大丈夫なのか」
「身長の高い外国人選手にどう対応するのか」

こんな声が多く聞かれました。

確かに、一般的なチーム編成からすると、違和感があるかもしれません。従来の「常識」からすれば、ガード3人、フォワード3人、センター3人くらいの構成が「正しい」とされてきました。

でも、私はこの構成に、新しいバスケットの形を見たんです。そして、それは単なる思いつきや実験的な試みではなく、世界のバスケットボールの流れを見据えた、革新的なアプローチだと感じたのです。

 

ポジションは「ある」ものじゃない

ここで、私たちの「当たり前」を一度疑ってみましょう。

バスケットボールには、ガード、フォワード、センターというポジションがあります。これは、バスケットボールを知っている人なら誰でも知っている「常識」です。

多くの人は、これらのポジションが「元々ある」ものだと考えています。そして、チームを作る時は、それぞれのポジションに適した選手を当てはめていく。これが一般的なチーム作りの方法でした。

例えば、

  • 身長が低くて足が速い選手→ガード
  • 中間的な身長で全面的なプレーができる選手→フォワード
  • 身長が高くてリバウンドが取れる選手→センター

このように、選手の身体的特徴や能力を見て、既存のポジションに当てはめていく。

これは、ある意味で効率的な方法かもしれません。誰がどの役割を担うべきか、一目で分かりますからね。

でも、本当にそれでいいんでしょうか?

私は、ポジションは「ある」ものじゃなく、「作る」ものだと考えています。

この考え方の違いは、チーム作りに大きな影響を与えます。

 

選手を見てから、役割を決める

今回の日本代表チームは、まず選手を見ているんです。

誰が一番得点力があるか。
誰が一番走れるか。
誰が一番ハッスルするか。
誰が一番シュートが上手いか。
誰が一番パスが上手いか。
誰が一番ディフェンスが強いか。

こういった観点で選手を選び、そのあとで役割を決めています。

つまり、「ポジション→選手」ではなく、「選手→役割」という順番なんです。

この考え方は、チーム作りの幅を大きく広げます。

例えば、従来のセンターの役割とされていた「リバウンドを取る」という仕事。身長が高い選手がいなければ、複数の選手でカバーすることもできます。あるいは、速い展開でリバウンドの重要性を相対的に下げるという戦略も取れます。

また、ガードの仕事とされていた「ボールを運ぶ」という役割も、全員がドリブルとパスの技術を持っていれば、誰でもできるようになります。

このように、固定的なポジションにとらわれず、選手の特性を最大限に活かせる役割を作り出していく。これが、新しいチーム作りの方法なのです。

 

新しいバスケットの形

今回の日本代表チームは、全員が1対1に強く、3ポイントシュートを打てる選手たちです。

これは、世界の中でも特殊なバスケットスタイルになるでしょう。

従来の「バスケットボールの常識」からすれば、こんなチーム構成では勝てないと思われるかもしれません。

でも、だからこそ面白い。

なぜなら、相手チームにとっては対応が難しいからです。

例えば、従来型のチームであれば、ガードにはガード、フォワードにはフォワード、センターにはセンターというように、比較的シンプルなマッチアップで対応できました。

しかし、全員が多様な能力を持つチームの場合、そう簡単にはいきません。

どの選手にどうマッチアップするか、常に頭を悩ませなければなりません。そして、その判断を一瞬一瞬、繰り返さなければならない。これは、相手チームにとって大きな負担になります。

また、全員が3ポイントシュートを打てるということは、コートの広い範囲をカバーしなければならないということです。これは、ディフェンスを広げることになり、その結果としてドライブなどの内側への攻撃の余地も生まれます。

つまり、一見するとアウトサイド重視のチームに見えて、実は内側の攻撃もしやすくなる。そんな相乗効果も期待できるのです。

私は、この挑戦的なアプローチに、大きな可能性を感じています。

 

バスケットボールの進化

ここで、バスケットボールの歴史を少し振り返ってみましょう。

バスケットボールは、誕生以来、常に進化を続けてきました。

例えば、センターの役割を見てみましょう。

かつてのセンターは、ただ身長が高ければよかった時代がありました。ゴール下に立って、パスをもらってシュートする。それだけで十分な役割を果たせていたのです。

しかし、時代と共にセンターに求められる能力は変化していきました。

単にゴール下だけでなく、ミドルレンジのシュートも求められるようになりました。さらに、パスの能力も重要視されるようになっています。

最近では、3ポイントシュートまで打てるビッグマンが増えてきています。

つまり、「センター」という概念自体が、時代と共に変化してきているのです。

これは、他のポジションでも同じことが言えます。

ガードに求められる能力も、フォワードに求められる能力も、時代と共に変化し、多様化しています。

そう考えると、今回の日本代表チームの構成は、そんなバスケットボールの進化の最先端を行くものだと言えるでしょう。

固定的なポジションにとらわれず、選手一人一人の能力を最大限に活かせるチーム作り。これこそが、これからのバスケットボールの形なのかもしれません。

 

あなたのチーム作りは?

さて、ここであなたに問いかけたいと思います。

あなたは自分のチームをどう作っていますか?

既存のポジションに選手を当てはめていませんか?

「この選手は身長が高いからセンターだな」
「この選手は足が速いからガードだな」

こんな風に、無意識のうちに選手を分類していませんか?

それとも、選手の特性を見て、新しい役割を作り出していますか?

「この選手は3ポイントシュートが得意だから、センターだけどアウトサイドで使おう」
「この選手はパスが上手いから、フォワードだけどボール運びもさせよう」

こんな風に、柔軟に役割を考えていますか?

ポジションにとらわれないチーム作り。これは、バスケットの新しい可能性を開くかもしれません。

 

新しいチーム作りの実践

では、具体的にどうすればポジションにとらわれないチーム作りができるのでしょうか。

いくつかのポイントを挙げてみましょう。

 

1. 選手の特性を細かく分析する

まずは、選手一人一人の特性をよく観察することから始めましょう。

シュート力、ドリブル力、パス力、ディフェンス力、スピード、ジャンプ力、体力、精神力など、様々な角度から選手を見てみてください。

そして、その選手の「強み」を明確にしていきます。

 

2. チームの戦略を考える

次に、チーム全体としてどんなバスケットをしたいのかを考えます。

速い展開で勝負したいのか、じっくりとした攻めで勝負したいのか。
外からのシュートで勝負したいのか、内側の攻めで勝負したいのか。

チームとしての大きな方向性を決めます。

 

3. 選手の特性とチームの戦略をマッチングさせる

そして、1で分析した選手の特性と、2で決めたチームの戦略をマッチングさせていきます。

ここで大切なのは、固定観念にとらわれないことです。

例えば、身長の低い選手でも、ジャンプ力があってタフならインサイドでも使えるかもしれません。
逆に、身長の高い選手でも、シュート力があるならアウトサイドで使うのも一つの手かもしれません。

 

4. 役割を明確にする

最後に、各選手の役割を明確にします。

ただし、この「役割」は固定的なものではありません。状況に応じて変化させていくものだと考えましょう。

そして、その役割をチーム全員で共有することが大切です。

誰がどんな役割を担っているのか、チーム全員が理解していることで、よりスムーズな連携が可能になります。

 

5. 継続的に見直す

チーム作りは、一度やって終わりではありません。

選手の成長、相手チームの分析、試合の結果など、様々な要因を考慮しながら、常に見直していく必要があります。

「この選手、最近〇〇の能力が伸びてきたな。役割を少し変えてみようか」

「この戦略、〇〇というチームには通用しなかったな。少し修正が必要かもしれない」

こんな風に、柔軟に対応していくことが大切です。

 

まとめ

ポジションにとらわれないチーム作り。

一見すると、難しく感じるかもしれません。

確かに、従来の方法よりも手間がかかるでしょう。選手一人一人をよく見て、チームの戦略を考え、それらをマッチングさせていく。そして、それを常に見直していく。

簡単なことではありません。

しかし、この方法には大きな可能性があります。

選手一人一人の能力を最大限に活かせる。
相手チームが対応しづらい、予測不可能なプレーができる。
チーム全体の可能性が大きく広がる。

こんな魅力があるのです。

今日のお話が、あなたのチーム作りのヒントになれば嬉しいです。

明日からのチーム作り、少し違った視点で選手を見てみてはいかがでしょうか。

きっと、新しい発見があるはずです。

 

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ABOUT ME
三原学
1981年、東京都生まれ。早稲田大学大学院卒。学生時代にマネージャーとなり、バスケ指導者を志す。 22歳から高校バスケ指導を始めて、早稲田実業高校ではウインターカップ出場、関東新人大会優勝。現在は母校の安田学園高校で監督を務める。選手が主役のチーム作り「ボトムアップ理論®︎」により、日本の部活動モデル校を目指している。 2024年から早稲田大学男子バスケットボール部のヘッドコーチも務める 日々学んでいる指導体験をブログやYouTube「バスケの大学」で発信して、総フォロワーは30,000人を超える。 日本バスケットボール協会公認A級コーチ、ジュニアエキスパートコーチ。ボトムアップ理論®︎エキスパートコーチ。 月刊バスケットボールにて「まんが戦術事典」を連載中。著書多数。
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