コラム

【#月バス載るってよ】 最高の引退試合をした2人の3年生

こんにちは、三原です。

今日は自分のチームのお話を少しだけさせてもらいます。

きっかけはこのツイート。

 

おぉ、あの月バスさんに載せてもらえるチャンスがあるなら、ぜひ投稿しよう!

絶対に生徒たちも喜ぶし。

そう思ってこの記事を書いています。

これは「#月バス載るってよ」に向けた内容の文章です。

月バスのスタッフのみなさん、お読みくださって感謝しています。

ぜひ最後までお付き合いください。

突然の引退

わたしが指導するチーム「安田学園高校」は2020年1月12日の新人戦東京都大会で敗退し、都32位で終わりました。

負けたことをプラスにとらえて、これから練習をがんばろう」。この経験を糧に、生徒たちは春の関東大会出場を目標に練習を積み重ねました。新チームが発足した当初から、目標が「都でベスト8、関東大会に出場!」だったからです。

練習の中心は現高校3年生でした。11名いるのですが、全員が力を合わせて、日々よい練習を積み上げていきます。

しかし、誰もが予想できなかった自粛と休校。最初は少しの間の我慢だと誰もが思いました。でも、都大会がなくなり、関東大会がなくなり、ついにはインターハイがなくなりました。

突然の引退を余儀なくされた生徒たち。その落胆ぶりは言葉にできません。

最後の大会は、もういいです。

世の中が少しずつ日常を取り戻した9月、「2020 Tokyo Thanks Match」と銘打った大会が企画され、3年生にも出場の機会が与えられます。

これはもちろん、例年にない大会です。バスケを奪われた3年生のための大会とも言えるでしょう。わたしはこの大会について、参加を生徒の意志に任せました。そして、みんな喜んで出場するものかと、心の中では思っていました。

しかし、すでに受験勉強に気持ちを切り替えた多くの生徒たちは、バスケットボールへの情熱を取り戻すことはなく、出場を辞退します。

とても寂しくもあり、でも仕方ないと割り切ろうとしました。

ぼくたちは出たいです!

そんな中、11名の3年生部員の中で、2名だけ「出場したい」と手を上げてくれました。

その生徒の名前は、天畠蓮(あまはたれん)くんと、松本隆希(まつもとりゅうき)くん。

 

まず、天畠くんはスタメンのポイントガードとしてチームを牽引する存在でした。

そんな兄を慕って、4月からは弟も本校に入学します。兄弟そろってコートに立つことを楽しみにしていた2人でしたが、コロナによってすべての試合がなくなり、その夢は叶わなくなりました。

しかし、もう一回チャンスがある!

一時はみんなといっしょに引退を決めた天畠くんでしたが、

  • 最後までチームに貢献したい
  • 弟といっしょにプレイしたい

という熱い思いを胸に、最後の大会に出場を決めます。

 

一方、松本くんは12月の練習試合で大怪我をしました。

接触プレイから壁に激突し、足を骨折してしまったのです。その日に緊急入院。2度の手術をして、3カ月間は車椅子の生活でした。

わたしがキャプテンの山田くんといっしょに松本くんのお見舞いに行った日、その日はウインターカップの決勝の日でした。病室のテレビで決勝戦を見ながら、バスケの話をあれこれしたのがとても記憶に残ってます。

がんばって練習してきたのに出られなかった1月の新人戦。その日は車椅子で応援しました。

「怪我を治して、インターハイ予選には絶対に活躍してやる!」

そう心に誓った矢先に、コロナにすべてを奪われてしまいました。

 

そんな松本くんですが、バスケに対する情熱を持ち続け、

  • 最後はコートの上で引退したい
  • バスケをもう一度楽しみたい

その思いで最後の大会に臨みます。

勝っても負けても、最高の日にしますよ

2人とも受験勉強もあるので、日々の練習に参加するのも大変な思いでした。

そして、試合前からこう言ってました。

たとえ勝ったとしても、ぼくたちは13日の試合で引退します。

あとはかわいい後輩たちに譲ります。

だから勝っても負けても、最高の日にしますよ。

それだけに、この日の試合にかける思いは、アツかったです。

 

試合は81-61で勝利。

最初のスタメンは後輩に譲り、天畠くんと松本くんは第2Qからの出場でした。

序盤は硬さが目立った試合でしたが、2人の活躍もあり、徐々に点差を広げます。

チームも全員出場しましたし、2人とものびのびとプレイして、心からバスケを楽しんでいました。

 

天畠くんは弟の薪くんとのプレイを楽しみ、兄弟で最高のプレイをしました。

松本くんも悔いを残さぬように次々とシュートを放ちます。

第4Q、天畠くんのアシストが通り、松本くんのゴール下シュートが決まって、タイムアップ。楽しかった試合が終わりました。

2人がバスケを好きでいてくれて、そして最後にコートに立つことができて、本当に感謝しています。指導者人生の中で、特別な1日になりました。

左の2番が松本くん。右の4番が天畠くんです。試合直後の記念写真。

 

天畠蓮くんと弟の薪(しん)くん。2人ともすっきりした顔をしてますね。

 

本来であれば3年生全員を取り上げたいのですが、新人戦以前の試合も含めて、全員が1度に出場した試合はありませんでした。なのでその映像も残っていません。

そこでわたしは「せめてこの2人だけでも」という思いで投稿しました。

「無観客」ということで、この試合は保護者の方に見てもらうこともできませんでした。

なので、少しでも形に残るものを、と思い、この企画に応募させてもらいました。ぜひよろしくお願いします。

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

わたし自身も子どものころから月バスを読んで育ちました。

これからも月バスを応援しています!

追記:本当に載せてもらえました

この記事が月バスの方に届き、本当に載せてもらえました。

2020年の12月号です。

生徒、保護者の一生の宝になりました。

感謝してもし尽くせないほど感謝です。ありがとうございました!

 

 

追記2:TBSテレビ「スポーツを止めるな」に出演しました

さらに、月刊バスケで取り上げて頂いた2名の生徒を中心に、安田学園バスケットボール部を応援していただきました。

TBSテレビさん、そして一般社団法人「スポーツを止めるな」さんのご協力により、最高の思い出ができました。

みなさん本当にありがとうございます!

 

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ABOUT ME
三原学
1981年、東京都生まれ。早稲田大学大学院卒。学生時代にマネージャーとなり、バスケ指導者を志す。 22歳から高校バスケ指導を始めて、早稲田実業高校ではウインターカップ出場、関東新人大会優勝。現在は母校の安田学園高校で監督を務める。選手が主役のチーム作り「ボトムアップ理論®︎」により、日本の部活動モデル校を目指している。 2024年から早稲田大学男子バスケットボール部のヘッドコーチも務める 日々学んでいる指導体験をブログやYouTube「バスケの大学」で発信して、総フォロワーは30,000人を超える。 日本バスケットボール協会公認A級コーチ、ジュニアエキスパートコーチ。ボトムアップ理論®︎エキスパートコーチ。 月刊バスケットボールにて「まんが戦術事典」を連載中。著書多数。
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