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応援される選手のお手本 24-9-28 #378

こんにちは、三原です。いつもありがとうございます。

この記事はラジオの原稿です。

この放送は、Voicyでお話ししています。ぜひお聞きください

 

応援される選手のお手本 – デリック・ローズから学ぶこと

こんにちは、三原です。

今日は「応援される選手のお手本」というテーマでお話ししたいと思います。

部活動やスポーツ指導をしている方なら、きっと選手たちに「応援される選手になろう」「応援されるチームになろう」と言っていると思います。

でも、具体的に応援される選手って、どういう人なのでしょうか?

そんな疑問に答えるため、最高のお手本となる選手の話をしたいと思います。

その選手とは、NBAのデリック・ローズです。

デリック・ローズの輝かしい経歴

デリック・ローズは、先日NBAでの16年間の選手生活に終止符を打ちました。

彼の経歴を簡単に振り返ってみましょう。

大学時代、メンフィス大学で1年生から大活躍します。

ガードというポジションで、ボールを扱う個人技能がものすごく高い選手でした。

実は、ドリブルドライブモーションという今までにない戦術が世界中で流行ったことがありますが、これはメンフィス大学の監督がデリック・ローズを生かすために考えたものなんです。

つまり、デリック・ローズが今のバスケットボールの、ドリブルで縦に切り込んでいくスタイルの原型を作ったと言っても過言ではありません。

大学で大活躍した後、NBAのシカゴ・ブルズに入団します。

シカゴ・ブルズは彼の地元チームで、マイケル・ジョーダン引退後、優勝から遠ざかっていました。

そこにデリック・ローズが期待の新人として加入したのです。

最年少MVPの栄誉と突然の試練

シカゴでの活躍は目覚ましく、NBA3年目でMVP(最優秀選手賞)を獲得します。

この記録は今でも最年少MVP受賞として破られていません。

誰もが、デリック・ローズはこのまま素晴らしいキャリアを歩み、マイケル・ジョーダン以来の優勝をシカゴにもたらすと信じていました。

しかし、ここから彼の試練が始まります。

ある時は前十字靭帯を断裂し、またある時は半月板を損傷。とにかく怪我に悩まされ続けたのです。

大好きだったシカゴ・ブルズからトレードされ、その後はニューヨーク、クリーブランド、ミネソタ、デトロイト、再びニューヨークと渡り歩きます。

どんどんトレードされるようになり、試合に出る機会も減っていきました。

奇跡の50得点と感動のインタビュー

しかし、ミネソタ・ティンバーウルブズ時代に奇跡が起こります。

もう自分の役割を受け入れ、MVPだった選手が控えの選手になっていた時期です。

ある日のレギュラーシーズンの試合で、ものすごく好調のデリック・ローズが、キャリアハイとなる50得点を記録したのです。

1試合50点を取るのは本当にすごい記録です。

シカゴでMVPを取り、一度頂点に立った男が、大きな怪我で底に落ち、そこから這い上がって再び頂点に立った瞬間でした。

試合後、チームメイトたちはみんなローズを称え、彼は涙を流しながらインタビューに答えました。

「今日の試合はあなたにとってどのくらい大切なものですか?」という質問に、デリック・ローズはこう答えたのです。

「これは私の全てです。この瞬間のために、全ての努力をしてきたんです」

応援される選手の条件

デリック・ローズが引退を発表した時、世界中のファンがSNSで反応しました。

本当に世界各国で愛されていた選手だったんだなと、強く感じました。

スーパースターは時に嫌われることもありますが、ローズのように誰からも好かれ、応援される選手もいるのです。

この違いは何なのでしょうか。

それは、1度ダメになって落ちた後、そこから努力して這い上がるそのプロセスに、人は感動を覚えるからだと思うんです。

よく言われる感情のN字曲線。アルファベットのNの字のように、最初は何者でもない人から始まって、どんどん上に行って頂点まで行く。

そして怪我などでガクっと落ちて谷底まで行き、そこからぐっと上がってくる。

この成長曲線、感情の曲線が、人から応援される人の1つのパターンなんじゃないかと思います。

デリック・ローズから学ぶこと

デリック・ローズの場合は、ぐっと上がってMVPを取って、怪我でガクッと落ちて、でも努力をやめずに、たった1日かもしれないけどミネソタであの日に50得点を取る。

MVP時代でさえ取ったことがなかった50点を取ったという、このN字曲線が鮮やかに描かれていたんです。

尊敬できるのは、大怪我になってきっとバスケットをやめようと思った時もあったはずなのに、1度も手を抜かなかったことです。

「今日の試合はあなたにとってどんな意味がありますか?」と聞かれて「私の全てです。この瞬間のために私は全ての努力を捧げてきました」と答えたこの一言が、多くの人を感動させたんだと思います。

部活動などで子供たちに「応援される選手になろう」「応援されるチームになろう」と指導している方は、ぜひデリック・ローズのことを調べてみてください。

自分なりに解釈して、子供たちに伝えてあげると、きっといい指導になると思います。

人は完璧な人間よりも、挫折を乗り越えて這い上がった人間に共感し、応援したくなるものです。

デリック・ローズの生き方は、まさにそれを体現しています。

努力を続ける姿勢、謙虚な態度、そして感謝の気持ち。これらが人々の心を掴み、応援される選手になる秘訣なのかもしれません。

私たち指導者も、こういった姿勢を大切にしながら、選手たちを導いていけたらいいですね。

今日はこんなお話をさせていただきました。

少しでも皆さんの指導のヒントになれば嬉しいです。

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ABOUT ME
三原学
1981年、東京都生まれ。早稲田大学大学院卒。学生時代にマネージャーとなり、バスケ指導者を志す。 22歳から高校バスケ指導を始めて、早稲田実業高校ではウインターカップ出場、関東新人大会優勝。現在は母校の安田学園高校で監督を務める。選手が主役のチーム作り「ボトムアップ理論®︎」により、日本の部活動モデル校を目指している。 2024年から早稲田大学男子バスケットボール部のヘッドコーチも務める 日々学んでいる指導体験をブログやYouTube「バスケの大学」で発信して、総フォロワーは30,000人を超える。 日本バスケットボール協会公認A級コーチ、ジュニアエキスパートコーチ。ボトムアップ理論®︎エキスパートコーチ。 月刊バスケットボールにて「まんが戦術事典」を連載中。著書多数。
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