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3ポイントシュートの落とし穴 24-8-22 #341

こんにちは、三原です。いつもありがとうございます。

この記事はラジオの原稿です。

この放送は、Voicyでお話ししています。ぜひお聞きください

3ポイントシュートの落とし穴 〜正しいシュートフォームを作るために〜

今日は「3ポイントシュートの落とし穴」というテーマでお話しします。

結論から言うと、3ポイントシュートばかり練習することが、良いシュートフォーム作りの妨げになる可能性があるということです。

3ポイントシュート重視の時代

最近のバスケットボールを見ていると、3ポイントシュートが重視されていることがよくわかります。

オリンピックもそうですし、NBAやBリーグを見れば、特にコーナーからの3ポイントシュートが、今までのどの時代よりも多く打たれています。

小学生はまだ3ポイントラインがないですが、中学生や高校生でも3ポイントシュートは試合で重要になるので、たくさん練習しようと思う子が多いでしょう。

ミニバスの子たちも、アンダージュニアの子たちも、3ポイントラインはなくても、それに相当する距離から投げる練習をしているのではないでしょうか。

中距離シュートの重要性

しかし、3ポイントシュートばかりシューティング練習をして、近いところのフリースローレーンや制限区域近辺のシュートをあまりやらない選手が増えているように思います。

私も、チーム練習でシューティングメニューを考える時は、3ポイントシュートを打たせることが多くて、ペリメーターの2点のジャンプシュートはあまり打たせていませんでした。

最近のバスケットの戦術的な考え方では、2点シュートはあまり良くないと言われることが多いです。

3点シュートは2点の1.5倍だから得点効率が良い、ゴール下はシュートの確率が高いから良い、その中間のミドルシュートは入っても2点だし、距離の割に難しいから打つべきではない、というような考え方です。

シュートフォーム作りの秘訣

しかし、シュートフォーム作りに関しては、その「打っちゃいけない」と言われるような中間距離のシュート練習がものすごく大事だと私は思います。

ゴールデンステート・ウォリアーズのヘッドコーチで、アメリカ代表のコーチも務めたスティーブ・カーという方がいます。

スティーブ・カーは現役時代、名シューターとして知られていました。いわゆるロールプレイヤーで、スタメンで出ることはほとんどありませんでしたが、シカゴ・ブルズやサンアントニオ・スパーズで何度も優勝を経験しています。

勝負強いクラッチシューターで、重要な場面で3ポイントシュートを決める選手でした。3ポイントシュートの成功率も、キャリア通算で40%を超える、歴代最高の1人だと思います。

そんなスティーブ・カーが残した言葉で、非常に印象に残っているのがこれです。

「24フィートのいいシューターになりたければ、まず4フィートのいいシューターになりなさい」

つまり、遠くから3ポイントシュートを入れるようになりたければ、まずは近いところの練習をたくさんしなさい、ということです。

近距離シュートの重要性

これはすごく大事なことだと思います。

ゴール近辺やフリースローライン付近、制限区域の中のシュートフォームをしっかり固めると、3ポイントシュートは自然に入るようになってくるんです。

シュートフォームというのは、ある程度転移します。1つの場所でしっかり固めると、他の場所でも通用するんです。

だから、制限区域の中でしっかりとしたフォームを身につけるシュート練習をちゃんとやると、その練習は3ポイントシュートにも生きてくるんです。

2点シュートはよく入るけれども3ポイントシュートが入らない、という子がいたとしても、それは時間の問題です。

しかし、この逆はありません。3ポイントシュートはよく入るけど2点シュートが全然入らない、という場合、2点シュートが入るようになることはほとんどありません。

3ポイントシュートのために、遠くから投げるためのフォームが身についてしまっているので、ペイントエリアの中でのシュートが下手なままなんです。

正しいシュート練習の順序

だから、順番としては3ポイントシュートの練習をたくさんやるんじゃなくて、4フィート、つまり制限区域のところからシュート練習をまずたくさんやって、フォームを身につけることが非常に重要なんです。

試合中あまり打つなと言われる距離の2点シュート、ここでフォームを作ることがものすごく大事だということです。

名シューターであったスティーブ・カーが残した言葉、「24フィートのいいシューターになりたければ、まずは4フィートのシューターを目指しなさい」。2点の制限区域の中のシュートフォームをきちんと身につけましょう、ということを言っているんです。

これは結構盲点で、シューティング練習が始まると3ポイントをたくさん打つ子もいるし、チーム練習でも3ポイントをたくさん打たせることが多いと思います。

でも、それと並行して2点シュートでフォーム作り、これをやらないといけません。ここが落とし穴ですよ、というお話です。

最後に余談ですが、スティーブ・カーが指導しているゴールデンステート・ウォリアーズの選手といえば、ステフィン・カリーですよね。

カリーも16歳の時に、21日間、1度もペイントエリアの外からシュートしないという期間をあえて作ったことがあるそうです。

とにかくこの21日間、3週間は、シュートフォームを作ることに集中し、外から打つと良くないクセがつくので、ペイントエリアの中からだけシュートする。ここでフォームを作る、という21日間をやったことがあるそうです。

シュートフォームを改善すると、一時的にシュートが入らなくなります。でも、それでいいんです。カリーのように21日間続けて新しい習慣を身につければ、そこから先は時間の問題なんです。

ぜひ、2点シュートの制限区域の中のシュート練習をたくさんやって、新しい正しいシュートフォームを身につけるのはいかがでしょうか。

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三原学
1981年、東京都生まれ。早稲田大学大学院卒。学生時代にマネージャーとなり、バスケ指導者を志す。 22歳から高校バスケ指導を始めて、早稲田実業高校ではウインターカップ出場、関東新人大会優勝。現在は母校の安田学園高校で監督を務める。選手が主役のチーム作り「ボトムアップ理論®︎」により、日本の部活動モデル校を目指している。 2024年から早稲田大学男子バスケットボール部のヘッドコーチも務める 日々学んでいる指導体験をブログやYouTube「バスケの大学」で発信して、総フォロワーは30,000人を超える。 日本バスケットボール協会公認A級コーチ、ジュニアエキスパートコーチ。ボトムアップ理論®︎エキスパートコーチ。 月刊バスケットボールにて「まんが戦術事典」を連載中。著書多数。
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