こんにちは、三原です。いつもありがとうございます。
日本代表、最高でしたね。
An unforgettable night in Okinawa!
Congratulations Japan! 👏#FIBAWC x #WinForJapan 🇯🇵 | #AkatsukiJapan pic.twitter.com/3DZAsc8ZZ4
— FIBA Basketball World Cup 2023 🏆 (@FIBAWC) September 2, 2023
ワールドカップで3勝。
48年ぶりに自力でのオリンピック出場。
バスケットボールファンとして、これほどうれしいことはありません。
一方で、バスケ研究者としても、日本代表のチーム作りは最高の教材でした。
背の低さを武器にするバスケは
こんなやり方があったのか!
という驚きを世界に与えました。
この記事では、5アウトオフェンスについて、わたしが学んだことを解説します。
あなたのお役に立てれば嬉しいです。
動画でも学べます。
音声だけの聞き流しでもいいので、ぜひどうぞ。
また、ラジオのVoicyでも話をしています。
こちらもぜひお聞きください。
明確なコンセプト
5アウトの具体的なプレーの前に、コーチは明確なコンセプトを立てる大切さをお話しします。
今回のホーバスジャパンは
ディフェンス
スピード
3ポイント
という3本柱を明確に立てていました。
これがまず最初にあって、そこから選手を選ぶ。
その選手たちが活躍するためのセットを考案する。
この順でオフェンスがデザインされています。
わたしもそうですが、コーチはえてして「人まね」をしがちです。
- ○○オフェンスであのチームはやってる
- いいなあと思った
- だから〇〇オフェンスをうちもやろう
みたいな感じです。
でも、これってダメで、コンセプトがないんです。
ホーバスジャパンのように、まずコンセプトありきで、そこから形を作っていく。
そのようにデザインするのがコーチの仕事です。
ホーバスジャパンのコンセプトは、この動画で語られています。
(クリックするとトムさんの話のところからスタートします)
フィニッシュスキル<スペース
なぜ5アウトなのか。
それはリムプロテクターをゴール下から外すためです。
どんなにシュートがうまい選手がいても、ゴール下に長身選手がいたら、邪魔で打てません。
なので、全員が外に立つことで、ディフェンスもゴール下にポジションを取らせない。
フィニッシュスキルよりも、スペーシングが大事。
その考え方だから、5アウトなのです。
そして、5アウトを成立させるために、全員が3ポイントを打つことが求められました。
身長に劣ることを武器にした「スモールボール」の魅力ですね。
5アウト
リムプロテクターをゴール下から外す pic.twitter.com/zx5jtTu7tQ— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) September 8, 2023
最終形はトップピック
ここから具体的な話です。
日本のオフェンスは、ほぼすべて最終的には「トップピック」になっていました。
トップピック pic.twitter.com/Ui9ZymCI9U
— 三原学🏀バスケの大学 (@coach_manabu) September 8, 2023
ゴール下に誰もいない状況で、トップピック。
そのゴール下にドライブ。
ディフェンスが収縮したら3ポイント。
ホーバスジャパンのアナリティックバスケットボールの形です。
The game has changed.
(📷 @ESPNNBA) #NBA pic.twitter.com/iaZVsqm6in
— One Sports (@OneSportsPHL) January 15, 2020
2つのトップピック
トップピックにも2つあります。
- 味方が1人の方にドライブ
- 味方が2人の方にドライブ
便宜上、①を「コーナー1」、②を「コーナー2」と呼びます。
コーナー1はドライブ&ポップ
コーナー1は、スペースが広いのでドライブいしやすいです。
コーナー1 pic.twitter.com/jIW9YOOitt
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また、ドライブをしたらスクリーナーのディフェンスが下がることが多いので、ポップが有効です。
コーナー1 pic.twitter.com/a9TwaN0DP0
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コーナー2はダイブしやすい
対して、コーナー2はドライブしにくいです。
そのかわり、スクリーナーのダイブがしやすいです。
コーナー2 pic.twitter.com/hPOZUEEpBY
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ダイブに対してディフェンスが寄ったら、シューターがノーマークです。
コーナー2 pic.twitter.com/hPOZUEEpBY
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もし、スクリーナーがダイブしなかったら、コーナーがダイブすることもできます。
コーナーバックカット pic.twitter.com/LwILRuvsIl
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このように、トップピックにもドライブの方向によって2種類あり、相反するメリットがあります。
最終形はすべてトップピック。
状況に応じて2つを使い分ける。
シンプルながら、すばらしい戦術です。
エントリー例「ホーンズフレアー」
最後にエントリーの例です。
オフェンスでいきなりトップピックになるのではなく、いくつかのアクションをしてからトップピックに入ります。
よくあったのがホーンズフレアー。
まずハンドオフ
ホーンズフレアー pic.twitter.com/yqqujJFR3E
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ビッグマン同士のフレアーをして
ホーンズフレアー pic.twitter.com/Sa1w36Klhw
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トップピック
ホーンズフレアー pic.twitter.com/bD57eDRUby
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シュート力があるからこそのエントリーですね。
エントリー例「カッティング」
もうひとつがカッティング。
マッカビアクションによる動きの多いエントリーです。
ドリブルエントリーから、最初のカッティングをします。
カッティング pic.twitter.com/IgE1PEqq8o
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カッティング後は、ボールサイドのハンドオフ。
ヘルプサイドは広がってスペースを取ります。
カッティング pic.twitter.com/Sscm4qA80i
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逆サイドで、再び同じ動き。
カッティング pic.twitter.com/a18sknp1L9
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カッティング pic.twitter.com/QBf0DwNkNY
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そしてトップピックへ。
カッティング pic.twitter.com/hM01eQnDkt
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カッティング pic.twitter.com/Cpm3Zoj0IH
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バックカットを入れて、日本のスピードを生かしたすばらしいセットですね。
まとめ:やり方より、あり方
以上が、わたしが学んだ日本代表の5アウトです。
本当のチームルールはもっと複雑で、もっと多彩だと思います。
しかし、わたしにとっての最大の学びは
やり方より、あり方
です。
なぜ5アウトなのか。
なぜトップピックなのか。
それは明確なコンセプトのもとに作られていたからです。
わたしも戦術を作るときは、たんなる人まねでなく、コンセプトありきで作っていきたい。
そう強く感じたワールドカップでした。
あらためて日本代表のみなさん、ありがとうございました。
そして、おめでとうございます!
Paris 2024!!! pic.twitter.com/ShlHkzShR6
— Tom Hovasse (@TomHovasse) September 2, 2023
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最後までお読みくださり、感謝しています。
ありがとうございました。三原学でした。それでは、また。
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